突き止めれば予防できる!?しわができる原因について

顔に現れる邪魔な線、シワ。
シワの形成には、細胞機能の低下やホルモンレベルの変化などの内的要因と、日光暴露や温度・湿度といった外的な要因とが複雑に合わさっています。
今回は、4種類のシワの形成要因についてお話しします。

角層機能の低下


お肌の角層の水分量と、小ジワの発生には因果関係があり、角層水分量が下がると小ジワの程度が上がることが分かっています。
これは、角層の水分量が下がると、角層の柔軟性が失われるためではないかと考えられています。
お肌の角層の水分量が下がる原因の一つには加齢もかかわっているのではないかといわれていますが、むしろ個人の特質や、温度や湿度など、その時の生活環境による影響の方が大きいのではないかと考えられています。

ケラチノサイトの老化

細胞は、加齢に伴って様々な機能が低下し、だんだんと細胞分裂も起こりにくくなってきます。
また、通常細胞は分裂できる回数に限りがあるため、年齢を重ねるごとに全体の細胞の数は減ってしまいます。
表皮の大部分を占めるケラチノサイトも例外ではなく、加齢とともに細胞分裂が鈍くなるため、表皮はだんだん薄くなり、さらに真皮最上層の乳頭層にある乳頭突起の凹凸が扁平化し、表皮と真皮の接着が弱くなってくるので皮膚の表面に細かいシワができやすくなると考えられています。

真皮構成成分の加齢による変化

以前に真皮のはなしでもお話ししたとおり、真皮にはコラーゲン線維(膠原線維:コラーゲンから成る)とエラスチン線維(弾性線維:エラスチンから成る)が網目のように走り、基質(プロテオグリカン・ヒアルロン酸など)がその間を埋めるように満たしています。これらを細胞外マトリックスと呼んでいます。
私たちの体の中では、日々コラーゲンやエラスチン・ヒアルロン酸などが線維芽細胞によりせっせとつくられ、機能の低下した成分は分解され、代謝されるということが繰り返されています。
この合成と代謝のバランスが良いと、お肌はみずみずしく、ハリがあり、弾力性の高い状態を保てますが、加齢により、線維芽細胞の機能が低下していくにつれ、合成能力が落ちたり(20代以降になると合成能力が下がると報告されています)、不安定なコラーゲン線維やエラスチン線維をつくってしまったりします。
その結果、真皮の柔軟性や弾力性、膨潤性が減少し、表皮との接着が脆弱になり、シワの形成につながると考えられています。
また、細胞外マトリックス成分は代謝が遅く、長い間組織内にとどまるため、後述の紫外線や活性酸素などにより酸化や糖化が進行して変性し、その結果、線維芽細胞の周辺環境を劣化させ、細胞の老化を促進させてしまうと報告されています。

外的要因(紫外線と活性酸素)

日光に長い間当たった皮膚では深くて明確なシワが観察されるということは、よく知られています。
実験でも、紫外線照射による光老化(日光や紫外線にさらされることによって起こる老人性色素斑やシワなどの皮膚変化の総称)と呼ばれる皮膚変化が観察されており、紫外線がシワの大きな形成要因の一つであることは疑いのない事実といえます。
◆直接的な影響(紫外線)
紫外線は皮膚の細胞内のDNAを損傷させてしまいます。
通常、細胞には損傷を自動に修復する機能が備わっていますが、完全に治せない場合もあり、そうして残ってしまったDNAの傷が長年の間に蓄積して、細胞の機能に悪影響を及ぼすのではないかともいわれています。

◆間接的な影響(活性酸素)
紫外線が皮膚に当たると、炎症を誘発し、増加した炎症細胞などが皮膚内にフリーラジカルや活性酸素を発生させます(抗酸化のはなし~実際に体の中で起こっていること~)。
こうしてできた活性酸素やフリーラジカルは、細胞膜にある脂質を過酸化させたり、コラーゲン線維やエラスチン線維を架橋・変性・分解させたりします。
さらに、SODなどの抗酸化酵素の活性を下げ、細胞外マトリックスや細胞の機能を低下させ、シワの形成の原因となるといわれています。
以上、4つが主なシワの形成要因となるものです。
細胞の老化を防ぐのは、なかなか難しそうですが、紫外線や活性酸素・フリーラジカルに対する防御&予防策、角層の水分保持などは、私たちの努力次第でかなり抵抗できるのではないでしょうか?

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

※この記事は、過去ブログに掲載した記事を加筆・修正のうえ再掲したものです。

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