花粉が皮膚炎を引き起こす!?春の肌あれの原因と対策

天気予報の花粉の飛散情報が気になる季節となりました。
マスクをする、薬を飲む、目薬をさす…など、皆さんそれぞれ対策をされていることと思います。
春は、気温の変化や空気の乾燥、紫外線量のアップなどにより、お肌がゆらぎやすい季節なのですが、花粉もお肌に影響を与えるものの一つ。
花粉症に悩まされている方は、毎年この時期になるとお肌があれる…という方も多いのではないでしょうか?

なぜ、花粉の時期のお肌はあれやすいのか…今日はこの時期の悩みについてお話しします。

花粉が飛ぶ時期は、どうしてお肌があれやすいの?!

目はかゆくなり、くしゃみが止まらないというだけでも憂鬱なのに、お肌がかぶれてしまうと、本当につらいですよね。

花粉などのアレルゲンによって起こるかぶれを「アレルギー性接触皮膚炎」と呼び、この症状はお肌の持つ免疫反応によって起こっています。

「え、免疫反応って体をウイルスや細菌から守るためのものなんじゃ…?」

と思われるとかもしれませんが、この体を守ろうとする働きがお肌に炎症を起こしてしまうのです。

まず、免疫は大きく自然免疫と獲得免疫と呼ばれるものに分けることができます。

◇自然免疫:微生物などの外来異物をやっつける方法として、まず食べて守るという方法があります。外来異物が体内へ侵入すると、好中球やマクロファージが認識してこれを食べて体を守ります。これが自然免疫の主な働きで、体を守るために最前線で戦ってくれています。

◇獲得免疫:自然免疫ではカバーしきれない外来異物には、獲得免疫が働きます。体内に侵入した外来異物(抗原と呼びます)を樹状細胞(抗原を取り込む細胞で表皮・鼻腔・肺・胃・腸管に存在)の一つで表皮に存在するランゲルハンス細胞が捉えると、真皮を経てリンパ球に抗原の情報を伝達し、それを受けたリンパ球が全身に増殖して抗体(IgE抗体)をつくり出し、次に同じ抗原が来たときに戦えるよう準備をします。
再び同じ抗原が侵入すると、抗体と反応して脂肪細胞からヒスタミンなどの炎症因子を放出し、くしゃみなどを起こし、抗原を体外へ出そうと働く仕組みです。

花粉症に関わるのは獲得免疫の方で、この炎症因子が特に多く放出される過敏な反応の時に、くしゃみや鼻水などのほか、皮膚にはかぶれや肌あれといった症状が現れてしまうのです。

最も大切なことは、花粉に触れたり吸い込んだりしないこと

花粉は呼吸の時に吸い込んだり、目やお肌に付着したりして体に侵入します。
そのため、接触する機会を減らすことが最も有効です。

とは言え、空気清浄機を運転させた部屋に花粉の飛散量が減るまで閉じこもっているわけにはいきませんよね。

余計な外出を控えることはもちろんですが、外出する際には、なるべく花粉に接触せずに済むような工夫をしましょう。

1.マスクをする
口や鼻からの花粉の侵入を防ぎます。
また、顔を覆うので、お肌への花粉の付着も防いでくれます。

2.髪を結ぶ・まとめる
風にそよぐ美しい髪は魅力的ですが、この時期の風には花粉がたっぷり。
なるべくコンパクトにまとめ、花粉の付着を防ぎましょう。

3.露出を避ける
帽子をかぶる、長袖を着るなど、花粉に触れてしまう部位を減らしましょう。
目に症状が出る方は、メガネやサングラス、ゴーグルの使用が有効です。

4.ツルツル・スベスベな服を着る
ウールなど、毛羽だった服には花粉が付着しやすくなります。
花粉の付着を防ぐ柔軟剤や、服用のミストなどもあるので、試してみるのもいいかもしれません。
外出先から戻った際には、服などを払って、花粉を落としてから家に入りましょう。

「花粉に触れる機会を徹底してなくすこと!」

単純明快に思われるかもしれませんが、これが最も大切です。

今回の話を「私は花粉症じゃないしぃ…」なんて、他人事ととらえているアナタ!

実は、花粉症というのは、花粉の受容限度を超えてしまった人には、誰にでも発症する可能性があります。

「私たちは、ひとり一人花粉を受容するタンクのようなものを持っていて、それが満タンになり、あふれ出した時に花粉症を発症する…」と考えると分かりやすいでしょうか(ただし、花粉を受容するタンクの大きさや、あふれ出した時に出る反応にも個人差があるため必ずなるというわけではありません)。

ただ、花粉の吸い込む量が増えることで、花粉症となるリスクが高まることは確か。
花粉に触れる機会をなるべく減らし、リスク軽減を目指しましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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