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熱中症対策にスポーツドリンクや水はダメ?熱中症が起こる仕組みと脱水症予防について

猛暑が続くと、心配になるのが熱中症。

天気予報でも熱中症情報が出るようになり、耳にしない日はありませんよね。

お年寄りや小さい子がなるもので、自分には無関係だと思っている人は要注意!

今回は、熱中症とその予防についてお話ししたいと思います。

熱中症とは??

わたしたちの体は、普段からさまざまな熱をつくり出すこと(産熱)と、それを外に逃がすこと(放熱)とを合わせて、体温が36.5℃前後に保つように調節しています。

運動をしたり、周囲の気温が高くなったりして体温が上昇すると、体は皮膚の下(体の表面)へ多くの血液を送ることで、体温が下がりやすくなるようにします。

また、汗も体温を下げる重要な仕組みの一つで、汗が蒸発するときに体の表面から熱を奪います(気化熱)。

このように私たちの体は体温調節機能を持っていますが、高温の環境にあまりにも長時間いたり、激しい運動をしすぎたりすると、この機能が乱れてしまうことがあります。

すると体内に熱がこもったまま放熱することができなくなったり、体を冷やそうと急激に大量の汗をかいて体内のバランスが乱れたりすることで、けいれん・めまい・頭痛など、体にさまざまな症状が表れることを熱中症と呼びます。

熱中症の主な症状は4つあります。

総務省によると、昨年の5~9月の熱中症による救急搬送人員数は9万5,137人。

誰にでもなる可能性がある熱中症、きちんとした対策を心がけたいものですね。

水を飲んでもダメ! 自発的脱水とは?

熱中症の症状に脱水症状がありますが、脱水症状を予防することは熱中症を予防するうえで非常に重要です。

でも、「ちゃんとミネラルウォーターのペットボトルを持ち歩いているから平気!」…と思っている方、いませんか?

実は、ただ水分をとっているだけでは、脱水症状の予防にはならないのです!

どうして水を飲んでいるのだけではだめなのでしょうか??

私たちは汗をかくとき、水分と一緒に塩分(ナトリウム)も排泄しています。

汗をかく(水分とナトリウムを失う):体液の減少

水を飲む(水分だけ補給)

体内のナトリウム濃度が下がる:体液が不足する

ナトリウム濃度を戻そうと、体が水分を放出させる(尿や汗など):ますます体液が薄くなる

このように、水分だけを補給しているとどんどん体液が薄くなり、脱水状態が進んでしまう…この悪循環を自発的脱水といいます。

水を飲んでいるから大丈夫だという思い込みが、脱水症状を悪化させてしまうこともあるので、気をつけましょう!

家にあるものでつくれる!熱中症対策に効果的な経口補水液の作り方

ではいったい脱水時には何を飲めばいいのでしょうか?

スポーツドリンクなども悪くはないのですが、実はナトリウム量が少なく、糖分が多すぎるため、脱水時の水分補給に最適とはいえません。

最も適しているのは体液に近い比率でつくられている経口補水液と呼ばれるものになります。

薬局などでも売っていますし、常備しておくともしもの時に安心ですが、実は経口補水液は家にあるもので簡単につくれます。

日本救急医学会のガイドラインによると、水分補給に適しているのは0.1~0.2%塩分濃度の水分に糖分を加えたものとあります。

経口補水液の作り方

水:1ℓ
食塩:1~2g
砂糖:大さじ3~4杯

つまり、水1ℓに1~2gの食塩と大さじ3~4杯程度の砂糖を溶かすことで、経口補水液が家でも簡単にできてしまうのです。

味は…というと、健康な人にとってはかなり塩気を感じる味で、美味しいとはいえないかもしれませんが、脱水を起こしている人にとってはおいしく感じるそうです。

熱中症以外にも、下痢や嘔吐が続くことによって起こる脱水時にも利用できるので、覚えておくといいですね!

砂糖をハチミツに変えたり、レモン果汁を加えたりすると風味が良くなり飲みやすくなりますので、ぜひお試しください。

今の時期は、キンキンに冷やしてゴクゴク…と一気に飲みたい気もしますが、経口補水液は常温のまま、コップ1杯を30分かけるぐらいゆっくりと飲みましょう。

また、自作したものはその日のうちに必ず飲み切るようにしましょう。

盛夏、残暑と厳しい暑さが続く夏。

日中に外に出る時間を減らす、クーラーを利用するなどして、体温が上がりすぎないよう調節し、適切な水分補給も忘れずに、元気に暑さを乗り越えましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

※この記事は、過去ブログに掲載した記事を加筆・修正のうえ再掲したものです。

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