歯医者さんのデンタルレッスン~ 1限目「フッ素について」~

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フッ素配合の歯みがき粉を使えば虫歯にならない?いいえ、大切なのは日々の心がけです!

「フッ素」という言葉について、聞きなれている方も多いのではないでしょうか?

厚生労働省が推進する健康プログラムの一環で、歯や歯茎の疾患に対する予防対策の充実から、以前よりも確実に口腔内疾患の減少が認められる今日。
12歳児のむし歯の罹患に関する最新のデータによりますと、全国平均でむし歯所有本数が1本以下という減少ぶりが顕著に示されています。その予防の大きな一役を担っているのが、ご存じのフッ素です。
今回はこのフッ素にフォーカスして、そのメリット、デメリット、またご家庭でのフッ素の活かし方などお話できればと思います。

フッ素のメリットは歯の強化と予防!

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フッ素は一般的に、歯質を強化してむし歯を予防することを目的に歯科では使われています。
メリットとしては歯自体に対する作用と、その周囲環境に対する作用にあります。
●歯自体に対する作用
歯の表面に生じている欠陥部分にフッ化物が作用して、その欠陥部分を修復したり、酸に溶けにくいフルオロアパタイトというフッ化元素を含む結晶を生成します。それが結果的にエナメル質の酸に対する抵抗性を増強し、むし歯を予防します。
●周囲環境に対する作用
口内は糖が含まれたものを食べるとpHが酸性に傾くことにより歯を溶かす「脱灰(だっかい)」と、溶けた歯を唾液の作用で戻す「再石灰化」を繰り返しています。
歯の周囲の唾液などに存在しているフッ化物が、この再石灰化を促進する作用をもっているのです。
またフッ化物は、プラーク中に生息しているむし歯の原因菌の酵素の働きを阻害したり、酸を産生する能力を抑制してむし歯を予防したりするのです。

フッ素のデメリット

フッ素はそのもの自体を大量に服用しますと、中毒の危険があるという薬剤です。
ただし厚生労働省が定める基準は中毒量といわれている量よりもはるかに少ない量ですので、使用の方法さえ間違わなければ問題ないとされてはいます。しかし、歯みがき粉のなかにはフッ素のほかにもさまざまな化学物質が入っており、長く口のなかに留めるのは最小限にしたほうがいい、というのが私の考えです。
現在ではオーガニック製品も数多く登場しつつあるのも事実です。

一般的家庭でフッ素を活用する方法

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日々の生活のなかで実際にフッ素を活用する簡単な方法は、フッ素配合の歯みがき剤を長期間継続的に使用することです。フッ素配合歯みがき剤を使用することで、むし歯予防率がアップします。
歯みがきで落とし切れなかった歯垢がつくるむし歯の原因菌の働きを弱め、歯垢がつくる酸の量を抑えます。歯から溶け出したカルシウムやリンの再石灰化を促進させ、歯の表面を酸に溶けにくい性質に修復します。

歯の脱灰を抑え再石灰化を促進するためには日々のケアが重要です。
口腔内が常に中性であれば脱灰は起こらないのですが、脱灰と再石灰化は1日のなかで何度も起こっています。初期むし歯ができたとしてもフッ素を利用したケアによって再石灰化をさせることは可能です。ただし、毎日のケアが必須になることと、定期的な歯科医院での診査、指導を受けることが必要と考えます。

大切なのはむし歯にならないような食生活をめざすこと

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しかし、あくまでフッ素はむし歯になりにくくなる、再石灰化を促進させる薬剤であり、この方法を用いたからといって安心して砂糖が多量に含まれるものを食べたり、歯を磨かなくていい、という訳ではありません。

むし歯の原因と知られ過ぎているぐらいの砂糖ですが、過剰に摂取することは歯に直接的に悪いだけでなく体に吸収されてからも、さまざまな悪影響がでるのです。口腔内の疾患はむし歯、歯周病と二大疾患がありますが、その元凶が砂糖といっても過言ではありませんし、これがひいては日本の三大生活習慣病につながっているのです。

以前ある歯科医院で耳を疑った会話がなされていました。泣きじゃくるお子さんの前で保護者の方が「フッ素を塗ってもらったら、お菓子食べていいから」とあやしておられました。歯を守るためにフッ素を塗布しているにも関わらず、糖分を摂ってしまうことは本末転倒です。基本的にはフッ素に頼らなくてもむし歯にならないような食生活をめざすことが何より大切なのです。

これらのことから、まずはフッ素を理解することをきっかけに、日頃の食生活までふくめた見直しを日本人は迫られていると私は考えます。

(おのデンタルクリニック医院長 小野 智弘)

おの先生
小野 智弘おのデンタルクリニック医院長・歯科医師・臨床歯学博士・歯周病専門医(日本歯周病学会)
九州大学歯学部大学院卒業後、勤務医を経て2014年5月におのデンタルクリニックを開業。 愛知県では約50名ほどしかいない歯周病専門医として、出来る限り歯の保存を目指した治療を実施。日本歯周病学会にてポスター発表をおこなうなど、歯周病研究にも積極的に取り組んでいる。歯周治療、保存・予防歯科治療以外にも一般歯科治療も充実。義歯・被せもの・歯の色など歯の相談も気軽にできるようにWEBでもおこなっている。 丁寧な診察とカウンセリングが定評な地元でも人気の歯科医。
おのデンタルクリニックホームページ
http://www.onodentalnagoya.com/

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