「角層」って何だろう?お肌の仕組み教えます!

「角層」ってどこなの?厚さってどのくらい?意外と知らないお肌の仕組み教えます!

角層は、前回お話しした表皮の4つの組織構造のうち、もっとも外側にあり、実際に見ることも触れることも可能な、わたしたちにとってはお馴染みの層と言えます。厚さはわずかラップ1枚分ほどしかありません。
今回は、この角層についてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

角層は、扁平になった角層細胞とその細胞間を満たす細胞間脂質からできていています。
角層細胞の主な成分はケラチンと呼ばれる線維性のたんぱく質で適度な水分を含み、角層全体の柔らかさを与える役割をしています。また、線維の間にはNMF(天然保湿因子)というアミノ酸などにより角層の水和性(保湿性や吸湿性)を調整しています。
この角層細胞の外側に細胞間脂質が存在し、物質の皮膚の内外からの透過に対するバリアとして働いています。
そして皮膚の表面を皮脂膜という皮脂腺由来の油分と汗腺由来の水分が乳化した状態でできた膜が覆っています。
このように角層は、紫外線や乾燥などを直接受ける位置にあるので、「外敵の侵入を防ぐ」「肌の水分蒸散をコントロールする」など、お肌のバリア機能という大切な役割を担っているのです。

バリア機能って??

角層はとても特殊な構造をとることによって、バリア機能を発揮しています。
上述の皮脂膜や細胞間脂質がバリア機能に大きな役目を果たしていますが、それ以外にもコーニファイドエンベロープ(辺縁帯・角化肥厚膜、CEと略されることも)やタイトジャンクションも注目されています。

◆コーニファイドエンベロープ
角層細胞を包む、インボルクリンなどの様々なたんぱく質から構成されたとても強固な膜のことです。
次にお話しする細胞間脂質の構築の土台にもなり、コーニファイドエンベロープをしっかり成熟させることは、バリア機能の維持にはとても重要です。

◆細胞間脂質
細胞と細胞の間は、細胞間脂質で満たされています。角層の図:ラメラ構造の図図を見て、細胞間脂質が縞模様で表現されていることに気がつかれましたか?
見た目がカワイイから…だけではなく、これにはちゃんと理由があるのです。
細胞間脂質は主に顆粒層で合成され、顆粒細胞が角層に移行する際に細胞外に分泌されます。
このときに、酵素の働きによりラメラ構造という幾重にも重なった、ミルフィーユのような層状の液晶を形成し、強力なバリア機能と水分保持機能を果たしています。
細胞間脂質は、セラミド・脂肪酸・コレステロールなどが主成分なのですが、この構成比率がラメラ構造にとってはとても重要で、比率が偏るとラメラ構造が変化して規則的で強い状態が維持できず、バリア機能を低下させてしまいます。
きれいな縞々を維持することは、お肌にとってはとても大切なのです。

◆タイトジャンクション
顆粒層に存在しています(今回は角層のはなしですが、バリア機能を説明する上では必須なので載せますね)。
タイトジャンクションは、オクルディン、クローディンというたんぱく質から出来ています。
隣り合う細胞の周りをベルト状に取り囲み、隣り合った細胞同士を密着させ、細胞と細胞の隙間をシールすることで物質の透過を制御する機能をもっています。

バリア機能が損なわれると、紫外線が肌の奥に達しやすくなり、カビ、ウィルスなどの侵入を許してしまう上、肌からどんどん水分が蒸散してしまいます。
角層がバリア機能を果たさず、異物が肌内部に侵入してしまうと、皮膚の防衛反応によりその異物に対して攻撃が開始されます。これが、肌表面では、カユミや炎症などのトラブルとして現れ、角層の補修を行なうべく新陳代謝が急激に活発に行なわれます。そうなると未成熟の細胞によって構成された角層がつくられてしまい、保湿機能もバリア機能も劣った未熟なままの角層であり、さらに刺激に対して反応しやすい状態になるという悪循環に陥ってしまいます。
このようにして、敏感な肌状態が継続すると、これまで反応しなかった刺激に対しても、反応が出やすくなりますし、肌のトラブル状態が長引いたり悪化したりしていきます。
それだけではなく、免疫機能にかかわるランゲルハンス細胞は、紫外線(UV-B)に当たると、その機能が低下してしまいます。

バリア機能が低下すると、こんな恐ろしい状況に陥ってしまうのです!
角層の役割とその重要性、わかっていただけたでしょうか??

角層の状態を見てみると…

角層の状態は、テープストリッピング(粘着テープを肌に貼って角層を採取する方法)などにより、チェックすることができます。
角層の状態がよい場合、整った形をした角層細胞が規則的に並んでいます。
しかし炎症を起こし、不完全な角化が起こっている場合、未成熟の角層なままの状態の細胞(核が残り、形や大きさがバラバラ)や、重層剥離(角層が一枚ずつではなく重なったまま剥がれてしまう)した細胞が見られます。
実際肌を触ってみるとかさついていたり、時にはザラザラとした肌あれ状態になっています。
ダメージを受けると、ターンオーバーが速くなってしまい、きちんと角層が成熟されないためです。kakusouhikaku角層というのは、ターンオーバーの集大成、いわばお肌の履歴書。
角層を見ると、その細胞がどう育ち、どんなダメージを受けたのか…そこに至るまでの状態も、大体わかってしまうのです。
たった1枚のラップほどしかない、薄いうすーい層ですが、さまざまな情報を有し、大切な役割を担っているのですね。

さて。
3回にわたってお話しした、皮膚の仕組みですが、実は今回が最終回です。
身近なようで意外と知らない、皮膚の働き。
少しでも、面白いと思っていただけたらうれしいです~♪

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