爪のはなし①~爪の構造と役割~

指の先にちょこんとある、爪。
動物にとっては、エサを狩るためや木などにしがみつくため、または大地を駆けるためなど、自然を生き抜いていく上でとても重要なもので、種により様々な進化を遂げています。
では、私たちヒトにとって、爪はどのような役割があるのでしょうか。
ネイルアートがお好きな方にとっては、オシャレや自己表現の場として重要視されているかもしれませんが、そうでない方にとっては、「伸びてきたら切るもの」としか認識されていないのでは?…爪って意外と重要なのです!
今日はそんな「爪」の役割や構造についてお話しします。

実はとっても重要な爪の働き&構造

爪は硬さがあるため、骨と同じくカルシウムからできると思われることもあるのですが、髪の毛と同じくケラチンという硬たんぱく質でできています。
実は、爪も髪も表皮の角層が特殊に分化してできたもので、「角質器」とも呼ばれています。
爪は指先を保護し、指先の動きをサポートしています。
手足の爪がないと、物をつかんだり、歩いたりすることが困難になってしまうほど、とても重要な働きをしているのです。

それでは、爪の部位ごとの名称と働きについて簡単にご説明しましょう。
私たちが普段“爪”と呼んでいる部位は“爪甲”という部位です。
爪は、この爪甲と皮膚の中に隠れている周辺組織、爪根(そうこん)、爪母(そうぼ)、爪床(そうしょう)、爪下皮(そうかひ)から成り立ちこれらは爪甲の成長に大きく関わる部位です。爪の構造爪は、爪母でつくられ、1日に0.1~0.2mm程伸びているのですが、その速度には年齢差(子供の方が老人より速い)や個人差があり、さらに指によっても伸びる速度に違いがあることが分かっています。
動かすことの多い利き手の指の方が早く伸び、さらに親指のように良く使われる指ほど速く伸びるそうです。
そして、爪を囲んでいる皮膚を爪廓(そうかく)といい、爪根を覆っている皮膚を後爪廓(こうそうかく)、そして後爪廓から爪甲を覆っている薄い皮を爪上皮(甘皮)といい、未完成の爪甲を保護しています。
ネイルをされる方で、甘皮を処理している方もいらっしゃるかと思いますが、甘皮を剥離する際に爪母を傷つけてしまうと、その後形成される爪の表面に凹凸が生じるなど、影響が出てしまうこともありますので、気をつけてくださいね。

爪も、お肌と同じで年を取る!加齢による変化

爪には、加齢により…
● 伸びる速度が遅くなる
● 縦ジワが増え、ツヤがなくなる
● 強度が低下し、割れたり欠けたりしやすくなる
といった変化が起こります。
年齢が増えるにしたがって、細胞間脂質のコレステロールとコレステロール硫酸塩が減少し、爪の吸湿機能や水分保持能が下がってしまうためです。
60歳以上になるとこの傾向が顕著となり、ネイルエナメルやリムーバーを繰り返し使用し、脱脂・脱水され、あれた爪に近い状態になってしまいます。
また、爪の水分量は湿度による影響を受けるため、特に乾燥の強い冬では、水分量が低下して硬くなってしまいます。
硬くなる=丈夫になるで、良いのでは?と思われるかもしれませんが、硬くなり、柔軟性に乏しくなると、折れたり欠けたりしやすくなってしまうので、注意が必要です。

爪はお肌に比べると、目に見える変化が少ないため、なかなか老化やダメージを意識することはないかもしれませんが、繰り返される水仕事やネイルエナメル、紫外線など、爪は意外と過酷な状況に置かれています。
しかし、爪をお肌同様、毎日お手入れしているという方は、意外と少ないのではないでしょうか?
次回は、爪のケアの重要性についてお話ししたいと思います。

(キレイ研究室 研究員:船木)

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