美白化粧品=肌を白くするという意味ではない!?シミやくすみを防ぐ効果的な方法とは

シミが気になったとき、ついつい頼りにしてしまうものといえば「美白化粧品」ではないでしょうか?
美白化粧品って、成分も製品もたくさんありますよね?
今日は、美白成分の働きや種類についてお話ししたいと思います。

美白=肌を白くするではない!!美白への働きと、代表的な美白有効成分

巷には、たくさんの「美白化粧品」が存在しますが、実は美白効果をうたえるものは医薬部外品として認められた一部の製品のみ。
医薬部外品として、「日焼けによるメラニンの生成を抑え、シミやソバカスを防ぐ」という効能を表記することが可能な美白有効成分として厚生労働省に認められた成分は、およそ20種類しかなく、安全性と有効性を確保する点から、配合できる量が決められているのです。

「美白って肌を白くして、シミやそばかすを消してくれるものじゃないの?」と思われた方、いませんか?
美白剤には、自分の本来のお肌の色よりもっと白くしたり、シミやそばかす・くすみなどをあっという間に消したりしてしまうような効果はありません。
そんな美白成分の働く仕組みについてお話しする前に、メラニンが作られる仕組みについてお話しします。

★紫外線がお肌に当たったり、炎症が起きたりすると…
1)ケラチノサイトがメラニンの合成を高めるため、
MSH(メラノサイト刺激ホルモン)、エンドセリンなどの情報伝達物質を生成し、メラノサイトへ情報を伝達

2)メラノサイトが情報伝達物質の作用を受けると、
内部にあるメラノソーム(袋状の細胞小器官)の中で、アミノ酸の一種であるチロシンを基に、チロシナーゼと呼ばれる酸化酵素の働きによって、メラニンの合成が活発化

3)メラノソームが成熟(メラニンでいっぱいになる)し、メラニン顆粒と呼ばれる状態になると、メラノサイトの樹枝状突起の先端へ運ばれ、周囲のケラチノサイトへ移動し、メラニンを保持したまま角層へと分化

4)時間とともにターンオーバーにより、角層ごとメラニンは排出される

と、いう風にメラニンがつくられ、通常は時間とともにお肌から排出されていきます。
しかし、強い紫外線などの影響を受けると、メラノサイトが暴走しメラニンがつくられ続けたり、排出されるべきメラニンが居座ったりして、シミになってしまいます。

★このメラニンの作られる仕組みから、さまざまな作用を持つ美白成分が開発されています
1:エンドセリンなどの情報伝達物質がメラノサイトへ伝達するのをブロックする
→カミツレエキス、トラネキサム酸およびその誘導体など
2:チロシナーゼに働きかけ、メラニンの合成を抑制させる
※チロシナーゼの活性や成熟を抑制させる、分解を促進するなどいろいろな種類のものがあります
→ビタミンCおよびその誘導体、コウジ酸、エラグ酸、アルブチン、ルシノール、4-MSK、4-HPB、リノール酸、マグノリグナンなど
3:メラノサイトからケラチノサイトにメラニンが運ばれるのを阻止する
→ナイアシンアミドなど
4:ターンオーバーを促進し、角層内のメラニンの蓄積を抑制する
→プラセンタエキス、アデノシン1リン酸など
※これらの美白成分には、1~4のうち、複数の働きを持つ成分もあります。
そして、今まで紹介したものとは逆に、医薬部外品の有効成分ではないですが、注目されている美白成分としてはハイドロキノンがあります。
ハイドロキノンは安定化や管理の難しさから、もともとは皮膚科やクリニックでのみ扱われていた成分だったのですが、薬事法の改正で、化粧品にも配合することが認められるようになりました。
ハイドロキノンには、チロシナーゼの働きを抑制する作用のほかに、還元作用があり、メラニンの色を薄くする働きが強いといわれており、すでにできてしまったシミにも効果があると期待を集めています。
上記以外にも、植物エキスなどで美白効果があるとされているものはたくさんあります。
効果の現れ方は個人差によるところが大きいので、自分のお肌に合った製品を探しましょう!

美白化粧品を効果的に使う方法

美白化粧品は、シミやくすみを消すものではなく、シミやくすみができる前の原因に働きかけるものです。
そのため、「シミができた」「日焼けした」となってから使用しても、お手入れとしては不十分。
シミやそばかすなどを防ぐためには、じっくり長く使うことが大切です。
また、ピーリングをして美容成分の浸透を邪魔する古い角層を取り除くことで、美白成分をしっかり浸透させたり、ターンオーバーを促進したりすることが期待できます。
ピーリングというと、お肌に対する作用が強そうで心配…と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ホエイなどのAHAを用いた穏やかに働くタイプのものもありますので、効果的に美白化粧品を使いたい方にはおすすめです。
古い角層をケアすると、お肌もつるつるになり、一石二鳥!

「あの時きちんとケアしておけば…」と後で後悔しないためにも、しっかりお手入れして、末永く美肌を目指しましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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