化粧品でシミは取れるの?効能効果のルールを知って化粧品を正しく選びましょう。

私たちにとって身近な化粧品。

肌や髪のケアには欠かせない、特に女性にとっては生活の必需品ともいえるかもしれません。

みなさんは、どんな目的で化粧品を使っていますか?

「肌がキレイになるから」「髪がツヤツヤになるから」「シワが消えるから」

さまざまな理由で化粧品を選び、使っていることと思いますが・・・。

実は、化粧品の効能として伝えることのできる範囲というのは法令によって定められているのです。

今回は、化粧品についてちょっとお勉強したいと思います!

化粧品を取り巻く法律たち

化粧品は私たちが直接肌や頭髪に使用するものなので、安全に正しく使用できるように、さまざまなルールが決められています。

最も深くかかわっているのが「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で、通常は薬機法(旧薬事法)とよばれています。

他にも、販売について定めた商法規や、広告について定めた景品表示法、その他規約や通達などによって、たくさんの守るべきルールが定められています。

薬機法では、化粧品を製造販売できる事業者に関する要件や、配合できる成分とその表示に関するルールなど、さまざまなことが決められているのです。

薬機法では、化粧品について以下のように定義されています。

『この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く(薬機法第二条3項)』

ここでのポイントは、化粧品とは「人体に対する作用が緩和なもの」であるということ。

では、化粧品ではどのような効果を謳うことができると定められているのでしょうか?

『こんなに?』それとも『これだけ?!』 化粧品の効能の範囲

化粧品の効能効果として広告することができる範囲については、昭和36年2月8日薬発第44号薬務局長通知の別表第1に記載された範囲であると定められています。

(1)頭皮、毛髪を清浄にする

(2)香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える

(3)頭皮、毛髪をすこやかに保つ

(4)毛髪にはり、こしを与える

(5)頭皮、毛髪にうるおいを与える

(6)頭皮、毛髪のうるおいを保つ

(7)毛髪をしなやかにする

(8)クシどおりをよくする

(9)毛髪のつやを保つ

(10)毛髪につやを与える

(11)フケ、カユミがとれる

(12)フケ、カユミを抑える

(13)毛髪の水分、油分を補い保つ

(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ

(15)髪型を整え、保持する

(16)毛髪の帯電を防止する

(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする

(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)

(19)肌を整える

(20)肌のキメを整える

(21)皮膚をすこやかに保つ

(22)肌荒れを防ぐ

(23)肌をひきしめる

(24)皮膚にうるおいを与える

(25)皮膚の水分、油分を補い保つ

(26)皮膚の柔軟性を保つ

(27)皮膚を保護する

(28)皮膚の乾燥を防ぐ

(29)肌を柔らげる

(30)肌にはりを与える

(31)肌にツヤを与える

(32)肌を滑らかにする

(33)ひげを剃りやすくする

(34)ひげそり後の肌を整える

(35)あせもを防ぐ(打粉)

(36)日やけを防ぐ

(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ

(38)芳香を与える

(39)爪を保護する

(40)爪をすこやかに保つ

(41)爪にうるおいを与える

(42)口唇の荒れを防ぐ

(43)口唇のキメを整える

(44)口唇にうるおいを与える

(45)口唇をすこやかにする

(46)口唇を保護する・口唇の乾燥を防ぐ

(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ

(48)口唇を滑らかにする

(49)ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

(50)歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

(51)歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

(52)口中を浄化する(歯みがき類)

(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)

(54)歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

(55)歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)

(56)乾燥による小ジワを目立たなくする

56番は、2011年7月21日薬食発0721第1号の通知により加わったものですが、この項目を表示するには日本香粧品学会が定めた「化粧品機能評価ガイドライン」に基づく試験などをおこない、その効果が確認された場合にのみに限られています。

他に、メーキャップによる効果や使用感による効果(清涼感など)は表現してもOKとなっています。

ざっと目を通していただくと分かるかと思いますが、シミやシワを消して肌を若返らせたり、トラブルを治したりするような、医薬品的な効果を謳うことはできません。

治療の効果を持つのは『医薬品』のみで、化粧品とはしっかり区別されているのです。

医薬品は副作用を起こす可能性もあるため、使用することで得られるメリットとデメリットをしっかり検討し、その使用量や使用法、使用期間などは厳密に規定されています。

病気やけがなど、大きな問題が起きたときに使用する医薬品は、その症状が無くなり次第使用を止めますよね?

対して化粧品(ここでは医薬部外品も含んで考えます)は、日常的に使用するもの。

そのため、安全に使用できるということを最も重要視して定められているのが化粧品なのです。

つまり、医薬品のような効果はなくても、毎日安心して使えるのが化粧品といえます。

「化粧品って効果がないってこと?」

こう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはちょっと違います。

スキンケアをするときの心地良さや、メイクをすることによって生まれる自信など、化粧品には医薬品とは異なるたくさんの良さがあるのです。

スキンケアやメイクによる、心と体へのいろいろなメリットについてもさまざまな報告がなされており、今もいろいろな研究が重ねられています。

実際に肌に触れておこなうスキンケアの心地よさやリラックス感、皆さんもご存知ですよね。

これからもスキンケアやメイクを楽しんで、あなたの「キレイ」を高めていきましょう!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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