夢みたいな話が実現するかも!? 飲むだけで痩せる?!育腸のはなし

今注目の育腸や「痩せ型の腸内細菌」について、ちょっと耳よりな情報をお届けします♪

私たちの腸に住む、1,000種類以上の細菌たち。
その数は、600~1,000兆以上にもあがり、 総重量はなんと1~1.5kgになるほど。
細菌たちはさまざまなコロニーを形成し、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれる生態系をつくり出し、腸内フローラは私たちの住む場所・食べるもの・生活のリズムなどによって日々変化しています。

以前、腸内細菌には「痩せ型」と「肥満型」があることをお話しし、痩せ型の腸内細菌を肥満者の腸に住まわせることで、ダイエットができるという可能性についてお話ししました。

実は、米国のマサチューセッツ総合病院において、ついに2016年から「痩せ型の腸内細菌を肥満者に移植すること」による臨床試験が始まり、今年の6月にはデータ収集が完了するそうです。
どんな結果が報告されるのか、楽しみですね。

腸内細菌のチカラ!「フリーズドライ◯◯の入ったカプセルを飲むだけ」ダイエット!

さて、ここで最も気になるのが“どのようにして腸内細菌を移植するのか”ということだと思います。

潰瘍性大腸炎などの治療に糞便移植をすることがありますが、その際には、健康な人の便から不純物や不要なものを取り除き生理用食塩水で薄めたものを、内視鏡や注射器などを用いて患者さんの腸内に注入する、といった方法で手術されています。

ですが、ダイエットのために手術をする…というのはあまり現実的ではありませんよね。
今回の臨床試験では、もっと手軽で簡単な方法が選ばれたのです。
それは、健康で痩せている人の便をフリーズドライしてカプセルに入れて飲むこと。
試験方法としては、フリーズドライした便が1~2gほど入ったカプセルを、被験者に6週間にわたって毎日投与します。
そして3ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後のタイミングで体重と健康状態の変化を調査します。
その間、被験者は食事も通常の食生活を維持するよう、ある程度食事もコントロールされるそうです。
この試験をおこなうElaine Yu助教授は、肥満や代謝異常を治療するため、腸内細菌の移植と食事のコントロールが採用されることを期待していると述べています。

しかし、現在はミクロバイオーム(細菌の塊)の研究の初期段階で、結果の予測にはまだ早すぎる、とのこと。
飲むだけで痩せて、健康になれる夢のようなカプセルの誕生は、もう少し待つ必要がありそうですね。
唯一の問題は、他人の糞便入りのカプセルを飲む勇気があるか…に尽きるでしょうか。
あなたは、他人の便入りカプセルを飲むことができますか?
何はともあれ、結果が楽しみな試験ですね!

ヒト由来の乳酸菌ってどういう意味??

さすがに他人の便を飲むのはちょっと…という方も多いと思いますが、もしかしたらあなたも他人の便由来の成分をすでに摂取したことがあるかもしれません。

いわゆる「ヒト由来の乳酸菌」とされているものは、人間の便から採取した乳酸菌を培養して増殖させたものなのです。
健康な赤ちゃんの腸に住む腸内細菌を用いられることが多いそうですが…要は、健康な赤ちゃんの便から採取した菌だということ。
もちろん、有用な乳酸菌やビフィズス菌だけを培養したものですので、先述のようにカプセルに入れて引用するのとは大きな違いはありますが、便から採取されたものが、飲食品やサプリメントになったり、薬になったり…なんて、ちょっとびっくりしてしまいますね。

そして、赤ちゃんの腸内に住む細菌は、生まれるときにお母さんの産道を通る間に舐めたり口に入ったりすることによって体に入り、授乳の際などにお母さんの皮膚にすむ常在菌などを得て、だんだんと腸内フローラを形成していきます。
赤ちゃんの腸内に住む細菌は、なんと、90%が善玉菌と呼ばれる有用な菌なのだそうです。
その後、離乳食を食べるようになると腸内フローラに変化が起き、幼児の頃には大人に近い状態になるといわれています。
以前お話ししたとおり、高カロリー食は腸内細菌をどんどん肥満型に変えてしまいます。
赤ちゃんの時の腸内フローラを維持することは非常に難しいですが、なるべくよい状態にするためには、私たちの食生活を見直すことが一番重要なのですね。

●ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を摂る
●オリゴ糖や食物繊維を含む食品を摂る

といったことを意識して、腸内フローラの改善、つまりは育腸をおこないましょう。

腸内にいつの間にか住み着いている小さな小さな生物が私たちの体をコントロールしているなんて、とても不思議です。
腸内細菌たちと、良い関係を築くためにも、育腸を心がけてみましょう!

(キレイ研究室研究員:船木)

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