季節の変わり目は、心身共に不調になりがち。この時季を元気に乗り切るためのアドバイスをお伝えします!

季節の変わり目は、心身共に不調になりがち。
今回は、この時季を元気に乗り切るためのアドバイスについて、公認心理士の芙和せら様にお話を伺いました。

季節の変わり目に体調を崩す人はとても多いです。
夏から秋、秋から冬、冬から春、春から夏と四季のある日本では、気候に体調を合わせていかなければなりません。
その中でも冬から春への変化は、体調だけでなくメンタル面でも不調を抱える人が増えやすいのです。注意が必要です。
では、不調の種類を「気象病」と「社会的ストレス」の2つの観点からご説明しましょう。対策も併せて書きます。

不調の原因1:気象病

まずは「気象病」について。気象の変動でおこる体調などの不調を総称して「気象病」といいます。特に気温、気圧、湿度の変動が自律神経の働きを混乱させます。

(1)寒暖差が激しい

最近では「寒暖差疲労」という言葉が有名になりました。冬から春にかけて
は「三寒四温」という言葉の通り、3日間寒い日が続いたら、次の4日間は暖かくなり、また、寒さがぶり返す、そうやって本格的な春が訪れるという意味です。
たとえば寒い日には自律神経の働きにより血管を収縮させたり、筋肉をぶるぶる震えさせたりして、体温を上げます。逆に暖かい日には汗をかくなどして体温を下げます。
寒暖差が激しいということは、自律神経が温かさに対応したところに、急激な寒さに対応しなければならなくなるので、疲労しやすくなるのです。
 
対策:寒暖差をカバーする
・おしゃれ重視で、寒い日に薄着をしないようにする。
・脱いだり着たりしやすい上着を1枚余分に持ち歩く。
・使い捨てカイロを1~2個バッグに入れておく。

(2)気圧変動が激しい

気圧とは空気の圧力のことで、普段から私たちの身体は空気の圧力を受け、また体内から押し返す力でバランスをとっています。
低気圧とは通常の気圧より圧力が低くなる状態です。
そうすると血管などは内側から広がろうとし膨張します。
この状態が片頭痛(血管拡張性頭痛)や関節の痛みにつながります。
気圧の変動は高気圧に触れる時にも体調不良を起こしやすいです。
急激に身体に圧力がかかるため、肩こりや緊張性頭痛につながります。
また、私たちは内耳で気圧の変化を感じ取り、自律神経のバランスをとるように指示をだしますが、内耳は同時に身体の傾きなどのセンサーでもあります。
内耳が気圧変動で不調になると、身体の傾きをうまく把握できず、めまいにつながったり、耳鳴りなどの症状が現れます。

対策:基礎体力をつけておく
・普段から栄養のある食事をしっかりとる
・十分な睡眠をとる
・ウォーキングなど適度な運動をする

(3)湿度変動が激しい。

冬は空気がカラカラに乾燥しているので、肌の乾燥に悩まされたり、喉や鼻が乾燥して感染症にかかりやすくなったりします。
日本の春は「菜種梅雨(なたねづゆ)」という言葉もあるように雨が多く、湿度が高くなります。
そうするとそれまで水分を蓄えようとしていた身体は、汗や尿で上手に水分が排泄できずむくみやすくなります。
雨が降る日は身体がだるくなったり、頭痛がおきやすくなったりするのはそのためです。

対策:水分の循環をよくする
・湯舟につかり、循環のよい汗をかきやすい体質にする
・むくみ対策になるお茶(ジャスミンティーがおすすめ)などを飲む
・週に1度、汗をかくくらいの運動をする

不調の原因2:社会的ストレス

次に「社会的ストレス」からくる春の不調について説明します。

(1)社会的環境の変化による緊張

日本社会では年度の変わり目が春にあります。
学生時代でいえば3月に卒業して、4月に入学します。会社勤めの場合にも、人事異動や転勤などのタイミングは春が多いものです。
つまり社会的立場や人間関係に変化が起きやすいのが、春なのです。

志望校に合格してこれからが楽しみ!というおめでたい出来事であっても、希望の部署に移れる栄転であっても、私たちの心身は変化を「ストレス」と受け止めます。

新しい環境に適応しようとして働くのが自律神経のうちの「交感神経」です。
興奮や緊張をもたらします。リラックスモードになれる「副交感神経」がバランスよく働けばよいのですが、変化の春には「交感神経」優位の緊張状態が続きます。

緊張が続くと疲労が蓄積し、心身の不調につながることがあるのです。頑張りすぎると「燃え尽き症候群」になってしまいますのでご注意を。 

対策:リラックスを意識する
・深呼吸や腹式呼吸で副交感神経を優位にする
・香りのよい花を飾ると香りを吸い込もうとして自然に深い呼吸ができるように
・ストレッチをして、筋肉をほぐす

(2)他人と自分を比較してしまうとき

春は季節がよくなり旅行する人が増えたり、新しい趣味をはじめたりするなど、人々が活動的になります。
そんなときに前からなんとなくメンタル面に不調を抱えていた人が、活動的になれない自分と周囲の人との落差に気づき、比較してより落ち込んでしまう現象がおきるのが春なのです。

対策:心をととのえる
・他人と自分を比べない
・不調が続くようなら心療内科、精神科を受診する
・フラワー心理セラピーを取り入れてネガティブな感情を和らげる

※フラワー心理セラピーとは、花の芸術療法です。「色彩心理+アロマテラピー+フラワーアレンジメント」に心理学を加えたもので、暮らしに花を取り入れることで心身をととのえることを目的としています。
フラワー心理セラピーを実施することにより、不安、抑うつ、怒りなどのネガティブ感情が低くなり、活気が高くなることが報告されています (出典:「花の心理セラピー(角川書店)」芙和せら(著)2004)。

いかがでしたか?
あなたの春の不調はどこからきているかわかりましたか?
心身ともにととのえて、春を楽しんでください。

[執筆者]

芙和せら(ふわせら)
一般社団法人<芙和せら>心理研究所 所長
花と心の学校/ハートステップ・カレッジ 代表

公認心理師・フラワー心理セラピスト・シニア産業カウンセラー・芸術療法士
心理カウンセラーとして、花やハーブを用いて心身の健康サポートに携わってきました。
フラワー心理セラピーは生花による芸術療法であり、1988年に世界で初めて芙和せらが理論体系化したものです。
著書:「花の心理セラピー(角川書店)」「花の心理学(せせらぎ出版)」など

花と心の学校/ハートステップ・カレッジ
https://heart-c.co.jp/

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