目にも脳にも肌にも!寒い季節こそ美味しくって栄養価も高いほうれん草で元気をチャージ!

米国のキャラクター、ポパイの元気のもととしても有名なほうれん草(現代っ子に通じるのか、若干自信が・・・)。
栄養価の高いイメージですが、舌を刺激するような特有のアクの強さもあり、苦手としている方も多いかもしれません。
今回は、ほうれん草の持つ栄養価についてお話ししたいと思います。

鉄分とビタミン豊富! やっぱりすごい、ほうれん草


ほうれん草はご存知のとおり緑黄色野菜に分類され、βカロテンが豊富な野菜です。
緑黄色野菜の基準は、「可食部100g当たりのカロテン含量が600µg以上の野菜」が原則ですが、ほうれん草100gに含まれるカロテンはなんと4,200µg!
西洋かぼちゃ(4,000µg)や小松菜(3,100µg)、さらには青汁に用いられることでも話題のケール(2,900µg)よりも多くのβカロテンが含まれている事になります。
また、ほうれん草には鉄分やカリウムといったミネラル類も含まれています。
野菜不足が心配な方には、積極的に食べていただきたい食材ですね。

寒くなる時季こそが、ほうれん草の本領発揮??

実は、ほうれん草は季節によって栄養価が異なります
夏採りと冬採りのほうれん草のビタミンC含有量(可食部100g中)を比べてみると、夏採りほうれん草:20mgに対し、冬採りほうれん草:60mgとなり、なんと夏の3倍にもなるのです。
また、冬のほうれん草が甘い、などと聞いたことがある方もいるかもしれませんが、冬場のほうれん草は糖度が増すことも報告されており、甘みがあって美味しい上にビタミンCも豊富なんて、いいことずくめ(出典:農業と園芸82巻9号P.993-997 2007年)。
美味しくって栄養もUPしているこの時季のほうれん草を、しっかりいただきたいですね。

目にも脳にも肌にもいい! 魅力いっぱいのほうれん草


ほうれん草には、ルテインとゼアキサンチン(カロテノイドの一種)が含まれています。
自然界には数百種のカロテノイドがあると感がられていますが、人体に存在するのは20以下。
そのうち、ルテインとゼアキサンチンは、網膜に存在する唯一のカロテノイドなのです。
両者は、目の奥にある黄斑部に多く存在し、視力や目の健康の維持には欠かせない成分です。
そのため、この2つのカロテノイドは「黄斑色素」と呼ばれています。
ルテインとゼアキサンチンは高い抗酸化作用を有しており、これらを食事からしっかりと摂取することが目の健康に大きく役立っていることが研究で報告されています(出典:Nutrients. 2013 Apr 9;5(4):1169-85)。
ルテインやゼアキサンチンは、パセリ、ほうれん草、ケール、卵黄などに含まれています。
中でも、薬味的に少量使われることが多いパセリや、日常的な食材とは言い難いケール、悪玉コレステロールが高い人にとっては積極的に摂取しづらい卵とは異なり、ほうれん草は日々摂取しやすい食材といえます。
また、ルテインを含む食事が記憶などの認知能力の維持に役立つ可能性も示唆されています(出典:Molecules. 2021 Sep 24;26(19):5794.)。
さらに、ルテインやゼアキサンチンは皮膚にも存在していることが明らかになっています。
皮膚では、紫外線など、光によるダメージから皮膚を保護する働きがあるようです(出典:Clin Dermatol. 2009 Mar-Apr;27(2):195-201.)。
このようにうれしい効果がいっぱいのルテイン&ゼアキサンチンですが、残念ながら私たちヒトの体内ではカロテノイドを合成することができないので、食事などによって摂取する必要があります。
また、カロテノイドは脂溶性の成分なので、摂取する際には脂肪分と一緒に摂取すると吸収が良くなるので意識しましょう。
ほうれん草はソテーやごま和えにする、肉類と一緒に食べるなど、工夫してくださいね。

ほうれん草を食べるときに、えぐみを取るために茹でる方も多いと思いますが、ちょっと手間になりますよね。
冷凍のほうれん草は、ビタミンCは若干減少しますが、βカロテンなど、カロテノイドの含有量には大きな変化がありません。
忙しいときは、お味噌汁やオムレツなどに冷凍のほうれん草をさっと加えるというのも、手軽でおすすめです。
冷凍野菜は、栄養価の高い旬の時期に収穫されているものも多いので、ぜひ利用してみて下さいね。
美味しいほうれん草で、冬の元気をチャージしましょう!
※食品に含まれる成分については日本食品標準成分表2020年版(8訂)を参照

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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