
若い世代も他人事ではない「ヒートショック」生体機能を整えることが大切です
寒い季節、話題になる「ヒートショック」。
お年寄りだけが危険と思っているかもしれませんが、若い人にとっても注意が必要なのです。
姿勢専科KCSセンター院長で姿勢科学研究者である、井元雄一さまによる解説です。

この時季に気を付けたい「ヒートショック」って知ってる?
寒い季節になると「ヒートショック」という言葉を耳にする機会が増えます。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、失神や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こす現象を指し、特に高齢者の入浴中の事故として知られています。
そのため「若い自分には関係ない」「気をつければ大丈夫」と思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、ヒートショックは年齢だけで決まるものではありません。
同じ環境でも、ヒートショックが起きる人と起きない人がいます。
ヒートショックが起こる仕組み
ヒートショックは、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室へ移動した際などに、体が急激な温度変化にさらされることで起こります。
寒さを感じると血管は収縮し血圧が上昇し、逆に湯船につかると血管が拡張して血圧が急低下します。この急激な変動が、心臓や脳に大きな負担をかけるのです。
一般的には「冬場の入浴時が危険」と説明されることが多いですが、重要なのは温度差そのものだけではありません。
なぜ同じ環境でも差が出るのか
ヒートショックを起こしやすいかどうかは、
・自律神経の働きがスムーズか
・血管の反応性が保たれているか
・血圧調整が安定しているか
というようなバイオロジカル的な調整力に大きく左右されます。
ここで注目したいのが、自律神経の働きです。
自律神経は脳から背骨を通って、全身に指令を送ります。
ストレートネックや前かがみ姿勢が続くと、首や背中の筋肉が常に緊張した状態になります。この物理的な緊張は、脳が「今はストレス状態だ(交感神経優位)」と誤認する原因となり、いざ温度変化が起きた際のスムーズな神経の切り替えを妨げてしまう可能性があります。
若い世代も他人事ではない
20代後半〜40代は、仕事や育児、タブレットやスマートフォンによる前傾姿勢が長時間続く方が多い世代とも言えます。
慢性的な首や肩のこわばり、呼吸の浅さ、疲れが抜けにくい状態は、自律神経のバランスが乱れているサインと考えられます。
今の体の状態や使い方が、10年後、20年後の健康状態を決めていると言っても過言ではありません。
今日からできるヒートショック予防の考え方
ヒートショック対策というと、
・脱衣所を暖める
・お湯の温度を上げすぎない
といった環境対策がよく挙げられます。これらは非常に重要ですがそれに加えて以下の習慣を取り入れてみましょう。
1:姿勢を整える
立ったとき、座ったときに、頭が体の真上に乗っているかを意識しましょう。
首や背中の過剰な緊張が減ると、呼吸が深くなり、自律神経の切り替えがスムーズになります。
2:呼吸を深く使う
浅い呼吸は交感神経優位を招きます。
鼻からゆっくり吸い、口から長く吐く呼吸を習慣にすることで、血管の反応性も整いやすくなります。
ボックス・ブリージング*(ボックス呼吸法・スクエア呼吸法ともよばれる)も有効です。
*「4秒吸う→4秒止める→4秒吐く→4秒止める」など、四角形(Box)のような均等なリズムでおこなう呼吸法のこと
3:温度差に慣れる体をつくる
急激な変化に弱い体は、普段から刺激が少なすぎることも原因です。
軽い運動や入浴後の湯冷ましなど、無理のない範囲で体温調節機能を使う習慣が、将来的な予防につながります。
岩盤浴やサウナ、水風呂や水シャワーも有効です。
万が一、ヒートショックが疑われたら
・強いめまい
・意識がもうろうとする
・動けなくなる
入浴中や直後に上記のような症状が出た場合は、無理に動かず、周囲に助けを求め、必要に応じて救急要請を行ってください。
「少し休めば大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
ヒートショックは、冬のお風呂場だけの問題ではありません。
自律神経や血圧などの生体機能を整えること。その積み重ねが将来のリスク軽減につながっていきます。
環境の対策と同時に、今のうちから体の土台を整えていくことが、年を重ねても安心して暮らせるための、最も確実なヒートショック予防といえるでしょう。
[著者]

井元雄一
健康科学博士/WHO基準カイロプラクター/姿勢科学研究者
西オーストラリア州立マードック大学卒業、韓国ハンソ大学院博士課程修了。
米国の南カリフォルニア健康科学総合大学、ウェスタンステイツ大学、UCLA等で最先端の画像診断、応用解剖、生体工学を学び、姿勢科学を基盤とした予防ヘルスケアを専門とする。
全国の「姿勢専科KCSセンター」の指導をし、姿勢評価、脊椎機能、自律神経の研究と臨床に携わる。
痛みや不調の根本改善から健康寿命の延伸まで、科学的根拠に基づいた姿勢調整を国内外で指導。
ベストセラー著書、テレビや雑誌などメディア監修も多数。
教育者としても評価が高く、カイロプラクター、姿勢調整師、徒手療法士の育成指導、姿勢教育の学校導入、行政での健康プロジェクトにも参画。
「姿勢から健康を変える」をテーマに、一般から専門家まで幅広く講演を行い、姿勢科学の普及に取り組んでいる。
KSCセンター
https://www.kcs-center.com//



