
春に気分が落ち込むのは更年期が原因?対処法をクリニック理事長の國見先生にお伺いしました
春先は、気温も不安定で体調不良が起こりやすいもの。
どうせ大したことない、気のせい、時間が過ぎれば元に戻る・・・と思っていませんか?
女性は更年期の症状と合わさって、不調が強く現れたり、長く続いたりしてしまうことも。
この季節の体調不良、どう乗り切る?
山城公園レディースクリニック理事長國見幸太郎先生による解説です。

この時季の体調不良・・・これって更年期が影響してる?
春になると「なんとなく体がだるい」「気分が落ち込む」「めまいや動悸が増えた」と感じる方が増えます。
特に40代後半から50代の更年期世代では、このような不調が目立ちやすくなります。
その背景には、女性ホルモンの変化と季節の変化が重なっていることが関係しています。
更年期とは、卵巣の働きが低下し、女性ホルモンであるエストロゲンが大きくゆらぎながら減少していく時期です。
このエストロゲンは、月経や妊娠だけでなく、実は脳の「視床下部」という部分にも影響を与えています。
視床下部は体温や自律神経、ホルモンバランスを調整する司令塔のような役割を担っています。
エストロゲンが低下すると、この視床下部の働きが不安定になります。
その結果、自律神経のバランスが崩れやすくなります。
自律神経には、体を活動モードにする「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」があり、本来は状況に応じてバランスよく切り替わっています。
しかし更年期では交感神経が優位になりやすく、動悸、不眠、イライラ、疲労感などが起こりやすくなります。
春先に不調が起こりやすいわけ
ここに春特有の環境変化が加わります。
春は一日の寒暖差が大きく、朝晩は冷え込むのに日中は暖かいという日が続きます。
体はその都度、血管を収縮・拡張させて体温を調節しなければならず、自律神経に大きな負担がかかります。
さらに、春は気圧の変動も激しい季節です。
低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わることで、自律神経が刺激され、頭痛やめまい、だるさが生じやすくなります。
また日照時間が急に長くなることで、睡眠ホルモンのリズムが乱れ、寝つきが悪くなることもあります。
加えて、春は生活環境の変化が多い時期でもあります。
仕事の異動や家庭環境の変化、子どもの進学など、知らず知らずのうちにストレスが増えます。このストレスも自律神経を乱す大きな要因となります。
つまり、更年期世代では「ホルモン変化による自律神経の不安定さ」に「春の環境ストレス」が重なることで、体調不良が起こりやすくなるのです。
どうやって乗り切る?セルフケアと受診の目安
では、どのように対処すればよいのでしょうか。
まず大切なのは、生活リズムを整えることです。
毎日同じ時間に起き、朝日を浴びることで体内時計が整い、自律神経の安定につながります。
また、軽い運動やストレッチも効果的です。
特にウォーキングは副交感神経を高め、気分の改善にも役立ちます。
食事では、タンパク質やビタミンB群、マグネシウムなどを意識して摂ることが、自律神経の働きをサポートします。
さらに、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かることでリラックスしやすくなります。
それでも日常生活に支障が出るほど症状が強い場合は、我慢せず婦人科を受診することが大切です。
更年期症状に対しては、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬など、有効な治療法が確立されています。
こんなことぐらいで・・・などと思わず、ぜひ医師にご相談ください。
春の不調は「気のせい」ではなく、体の仕組みによって起こるものです。
正しく理解し、適切に対処することで、より快適に過ごすことができます。
執筆者

國見幸太郎先生
山城公園レディースクリニック 院長
徳島市の産婦人科医。
女性のライフステージに寄り添う医療を提供し、更年期医療やホルモン補充療法、フェムテック領域に注力。
予防医療の啓発や地域医療への貢献にも積極的に取り組む。
クリニック運営と並行し、講演・執筆活動を通じて正しい医療情報の発信に努めている。
山城公園レディースクリニック
http://yamashiro-park-lc.jp/



