口の中で一番汚れているのは舌だって知ってた?プロのオーラルケアについてきみえ歯科院長中村先生にお伺いしました。
オーラルケア=ていねいな歯みがき!
と思っている方、ちょっと考えをアップデートしませんか?
オーラルケアを考える上では、舌や歯茎のケアも重要なのです。
今回は、きみえ歯科院長の中村喜美恵先生に、健康な口腔環境を維持するためのオーラルケアについてお話を伺いました。
口腔内で一番汚れているのは・・・歯ではないってホント?
お口は健康の入り口であり、全身と繋がっています。
実は、口腔内細菌叢は、腸内細菌叢とも非常に関係が深いことが知られています。
健康のために腸活を意識されている方も多いと思いますが、腸活のためにもまずはお口の中の細菌叢を整える事が重要なのです。
お口の中の細菌は、歯と歯周ポケットには25%、咽頭粘膜と舌には75%が存在するといわれています(引用:一般財団法人日本口腔保健協会)。
そして、舌に存在する細菌は、なんと歯と歯周ポケットに存在する細菌の2倍以上になるのです。
効率よく口腔ケアをするには?
お口の中の細菌を効率よく減らすための口腔ケアの順序は、以下の通りです。
舌磨き→歯磨き→うがい
舌の上には歯周ポケットに存在する悪玉菌と同じものが存在しています。
舌の表面は、非常に多くの細かいひだで成り立っているため、その表面積は歯の表面積の約20倍といわれるので驚きです。
その細かいひだの間に入り込んでいる細菌は、うがいだけでは除去できませんので、必ず舌磨きが必要です。
硬い歯ブラシで磨くと、舌が傷ついてしまうこともありますので、舌磨き用の専用ブラシを使用することをおすすめします。
歯ブラシ+フロスが重要!!
磨き残しは20%未満を目指して頂きますが、歯ブラシだけではどんなに上手に磨ける人でも40%程度の磨き残しがあるといわれています。
ですからフロスの使用は必須です。
他に必要に応じて、歯間ブラシやワンタフトブラシ(先の小さい歯ブラシ)を使用します。
自身のケアにどのようなアイテムが必要かは、是非歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。
1997年にアメリカ歯周病学会は歯周病予防のためのスローガンとして、“Floss or Die(フロスしますか?それとも、死にますか?)”と発信しています。
フロスを使用しないと磨き残しが多くなり、お口の中で繁殖した細菌が全身に行き渡ります。
その細菌が、全身の病気を悪化させることが報告されており、このような発信に繋がっているのです。
日本人はフロスの使用率が低いといわれていますので、必ず使ってくださいね。
歯肉マッサージや舌回しによるトレーニングもおすすめ
歯磨きの後、歯肉マッサージを行うことで歯肉の血行が促進され、組織酸素飽和度が上昇することも報告されています。
更に歯槽骨の血流も上昇するため、骨も強くすることができます。
歯肉マッサージとは、歯間乳頭部(歯と歯の間にある細い歯肉)から付着歯肉部(歯の根元から頬の粘膜までの歯肉)にかけてやさしくマッサージすることです。
指の腹を使って、円を描くようにやさしく歯肉を刺激するようにおこなってください。
最後に舌回しエクササイズをすると、なおよいでしょう。
口を閉じた状態で、歯の表面に舌を当て、なぞるようにゆっくりと5~10回ほど舌を回します。
続いて、先ほどとは反対周りにしてもおこないましょう。
首から上の約70種類の筋肉やリンパ節(体のリンパ節の約1/4が存在する)を一度に刺激することができます。
唾液もしっかり出すことができ、口腔内を浄化します。
副産物として、表情筋も刺激し、顔が引き締まる効果も期待できます。
是非チャレンジしてみてくださいね。
オーラルケアは全身のケアにつながります。
歯みがきさえすればOKとは思わず、口腔内のトータルケアを目指しましょう。
[執筆者]
中村喜美恵先生
きみえ歯科 院長
1988年京都大学薬学部卒業、大阪大学歯学部学士入学(専門課程編入)
1992年大阪大学歯学部卒業、大阪大学歯学部付属病院に勤務
2003年姫路市に「きみえ歯科」を開業
一般社団法人日本ホームヘルスコーチ協会認定ホームヘルスコーチ
アンチエイジング歯科学会認定医
糖尿病協会登録歯科医
お口と全身はひとつながり。口腔環境と全身の状態には密接な関係があります。
「健康に美しく!」をテーマに、予防を中心に歯科からの情報発信を続けています。