白湯でダイエットできるって本当?白湯を飲むメリットを健康管理上級指導員が検証します

モデルやインフルエンサーなどが、「毎朝飲む」「常に準備している」などとして話題になる飲み物『白湯』。
痩せる、キレイになるなどといわれていますが、どのような効果があるのでしょうか?
今回は、サプリメントアドバイザーで健康管理上級指導員の船木さんにお話を伺いました。

白湯とは?

そもそも白湯とは、普通のお湯や水とは違うのでしょうか?
一般的に、白湯は水を一度沸騰させ、体温より高く飲みやすい温度(50℃前後)まで冷ましたものを指します。
そのため、給湯器で50℃設定で出てくるお湯とは異なり、一度沸騰させているという特徴があります。

沸騰させることで、水道水に含まれる不純物を取り除けることがポイントです。
ただし、沸騰により取り除ける不純物は揮発性のもの(塩素やトリハロメタン)に限られ、重金属やミネラル、マイクロプラスチックは取り除けない(反対に濃縮される可能性があります)点には注意が必要です。

そもそも、不純物といっても健康に影響のあるものではないため、安全性の向上というよりは、まろやかで飲みやすくなるといった風味の改善がメインと考えた方がよいかもしれません。
また、より純度を高めたい場合は、浄水器や浄水ポットと併用すると良いでしょう。

白湯を飲むメリット:ダイエットにいいって本当?

白湯を飲んで痩せた、肌がきれいになった・・・などの情報がネットなどでは散見されます。
実際はどうなのでしょうか?
白湯を飲むメリットを以下にまとめました。
1)水分補給
わたしたちが生きていく上で、水分補給は欠かせません。
体内の水分バランスを保つことにより、血流や代謝の維持、体温調整、便通改善などが期待できます。
ただし、これらは「白湯」だけの特別な効果・・・というわけではなく「水」でも同様の効果が得られます。
冷水を飲むより体温に近い白湯の方が体に負担をかけずに吸収されやすいといえます。
ただし、65℃以上の飲み物を常習的に飲むことは、食道がんリスクが上がるとの報告がありますので、熱すぎることの無いよう気を付けましょう。
2)胃腸を温め、消化を助ける
温かい飲み物を摂ると、胃腸が温まることで胃腸の血流が増えたり、消化酵素が働きやすくなったりする効果が期待されます。
今の時季、温かい飲み物を飲む機会は増えていると思いますが、コーヒーや紅茶、緑茶などを飲まれている方が多いのではないではないでしょうか。
胃腸を温めるには白湯でなければ・・・というわけではないですが、白湯にはカフェインが含まれない点、またカロリーがゼロといったところはメリットといえるでしょう。
特に、空腹時にカフェインを摂取すると、胃の刺激となることもあります。
温かいスープやお味噌汁でも良いですが、塩分過多になる可能性があるため、飲み過ぎには気を付けましょう。
やさしく胃腸を温めたい方には白湯はおすすめです。
3)体を温める(冷え対策)
温かい飲み物を摂ることで、一時的に体表温度は上昇します。
ですが、あくまでも一時的な効果で、持続的な冷え症対策にはなりません。
持続的な効果を期待する場合、加熱した生姜に含まれる生姜オールの摂取がおすすめ。
生姜を使った葛湯やジンジャーティーなどを試してみてください。
白湯に、すりおろした生姜を少し加えてみてもいいでしょう。
4)リラクゼーション効果
温かい飲み物をゆっくり飲むことで、副交感神経が有意になり、リラックス状態を促す効果が期待できます。
寒いときに、温かいカップを持って、ゆっくり飲むホットドリンクを飲む時間は、癒しですよね。
ですが、こちらも白湯でなければいけないわけではなく、ホットココアでもハーブティーでも同様の効果が得られますので、お好きなドリンクを飲みましょう。

以上、白湯を飲むメリットを検証してみました。
白湯でなければ得られない効果、というのはあまりないというのが正直なところです。

残念ながら、白湯を飲んでも期待できない効果は?

さまざまな効果が期待される白湯ですが、残念ながら科学的な根拠が乏しいといえるものもあります。
1)デトックス効果
水分を摂る→尿や便、汗などで排出されると考えればゼロとはいえませんし、水分の役割は重要ですが、白湯でデトックス効果を謳えるかというと、難しいといえます。
基本的に、体の老廃物は腎臓や肝臓で処理されるもの。
「デトックス効果」が何を指すのかがあいまいで難しいところではありますが、「〇〇を摂ればデトックス効果!」「体内の毒素が消える」という食べ物や飲み物は、マーケティング的な表現によるもので、実際にはほとんど存在しないといっていいでしょう。
水分や食物繊維、発酵食品やビタミン・ミネラルなど、老廃物の排出にとって重要なものはあり、白湯を飲むことで『老廃物を出す』ことは難しくても、それらの働きを助ける水分補給としては意味があります。
特定の何かを摂取すればいいというのではなく、バランスよく飲食し、これらが不足しないよう摂取しましょう。
2)代謝アップ
白湯など、温かい飲み物を飲んで体がポカポカしたことで、「代謝が上がった!」と感じられる方もいるかもしれません。
しかし、一時的に体温が上昇したとしても、血流が短時間増えるだけで、エネルギー消費量にはほとんど影響はありません。
そもそも、代謝とは、体内でエネルギーをつくり出す反応で、酸素や栄養素(糖分や脂質、たんぱく質など)とホルモンなどの働きによるもの。
残念ながら、白湯を飲んでもこれらの代謝の働きに直接作用するわけではありません。

白湯を飲んでも意味がない・・・わけではない

巷で期待されるような、痩せたりキレイになる効果が白湯にあるかというと、前述のとおり、体への影響としては「温かい水分の補給」以上の効果は難しいといえます。
しかし、「私は憧れのモデルと同じことをしている」ということで、自身の気持ちが高まるといった効果が期待できます。
心理学的には同一化(identification)と呼ばれており、憧れの人と自分を重ねることでモチベーションや自己効力感が高まるとされています。
例えば、大ファンの野球選手が「朝晩必ずキャッチボールをしている」と聞き、「自分も野球選手になりたい、からやってみよう」「きっと自分も将来は同じような選手になれる」と思う野球少年が生まれたりするように、同一化はモチベーションを保つにはとても有効です。
何事も続けるのが一番難しいもの。
セルフケアを継続させるモチベーションとして、「憧れの人と同じ、白湯を飲む習慣を取り入れてみる」というのはとてもおすすめです。

世の中にはさまざまな美容ケアやダイエットなどがあり、近年はSNSなどの影響で爆発的に広まることがあります。
ですが、広まっているものや人気のあるものが必ずしも有用というわけではありません。
しっかり情報を見極めなんのためにそれをしているのか、きちんと考えることが大切なのです。
正しい知識を持ちつつ、自分が気持ちよく続けられる習慣を選ぶこと。
それこそが、キレイを育てる、いちばん確かな方法なのかもしれません。

[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

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