新型コロナにも効果が!?外出自粛で不足しがちなビタミンDは食事から摂取がオススメ!
紫外線に全く当たらないのもダメ? サンシャインビタミン、ビタミンD
肌にとっては「敵」と見做されがちな紫外線ですが、紫外線を浴びることは私たちの体にとっては有用な面もあります。
そのひとつがビタミンD。
ビタミンDは、骨の形成にかかわることで知られる脂溶性のビタミンです。
サンシャインビタミンとも呼ばれるとおり、紫外線に当たることで体内のコレステロールを材料に皮膚で合成されます。
ビタミンDをつくるためには、どの程度紫外線に当たる必要があるのでしょうか?
日本臨床皮膚科医学会によると、一日の必要量の合成には
「両手の甲程の面積を15分程日光に当るか、日陰で30分過ごす程度」
で十分とのこと(参考:https://www.jocd.org/disease/disease_32.html)。
実は、ビタミンDの合成に必要な紫外線はUV-B。
そのため、UV-Bを透過しないガラス越しの日光を浴びるだけでは、ビタミンDの合成は期待できません。
窓を開けたり、外に出たりして直接日光を浴びる必要があるのです。
カナダのアルバータ大学により、屋内労働者はビタミンD欠乏症のリスクが高く、欠乏症までいかなくても不十分とされる人は91%にのぼるとの報告がされています。(出典:Sowah et al. BMC Public Health (2017) 17:519)
ビタミンDは食事からの摂取だけでなく、日光に当たるだけで合成されるため、元来不足する心配はないとされてきました。
ですが、2020年に改定された日本人の食事摂取基準ではビタミンDの摂取目安量がこれまでの約1.5倍になっているのはご存知でしたか?
ビタミンDの欠乏・不足は骨密度の低下を招き、骨折リスクが高まるため、フレイル予防の観点から、成人の摂取目安量は5.5㎍から8.5㎍へ増加されているのです。
そして、この摂取目安量は、日照により産生されるビタミンDの量も含めて定められているため、「日常生活において可能な範囲での適度な日光浴を心がける」ことが記載されています。
今の時季は紫外線の照射量も多く、通常は日照時間の不足によるビタミンD不足は考えられません。
しかし、今年は新型コロナウイルスの流行からの緊急事態宣言の影響もあり、皆さんの外出時間は例年より減少しているのではないでしょうか。
そのため、今年は特に日光に当たる時間の減少によるビタミンD不足が懸念されます。
ビタミンDが豊富に含まれる魚介類やきのこ、肉類や卵をバランスよくしっかりと摂取しましょう。
4月に発表された緊急事態宣言も、5月25日に全国で解除されましたが、感染拡大を防ぐため、解除後もすぐ元通りの生活に戻るのは難しいと考えられます。
例年より日光に当たる時間が減ることも考慮し、食事からのビタミンDの摂取を考えてみましょう。
新型コロナにも影響が?! ビタミンDと免疫の関係
ビタミンDが免疫機能に与える影響について、近年注目を集めています。
ビタミンDを摂取することで、上気道感染症(かぜ症候群)やインフルエンザに罹患するリスクが低減(6~15歳の小児におこなった試験では、インフルエンザA型に感染するリスクが42%低減)することも報告されています。(出典:Nature Reviews Endocrinology volume 7, pages73–75(2011) 4.)。
未だ世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。
じつは、この新型コロナウイルスの死亡率が高い国はそうでない国と比較するとビタミンDの血中レベルが低いという報告が、米国ノースウェスタン大学により、medRxiv(医療科学のプレプリント・サーバー)上に2020年4月30日に投稿されました。
ビタミンDの自然免疫システムを強化する働きが、重篤な合併症から患者を保護できるのではと考えられるとのこと(出典:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.08.20058578v3)。
しかし、どの程度ビタミンDを摂取するのが有効なのかはわかっていません。
また、ビタミンDはたくさん摂取すればいいというものではなく、過剰な摂取は心臓や血管、腎臓に損害を与え、却って健康を害するので注意が必要です。
この論文著者であるBackman博士は、ビタミンDが不足しないように気を付けることが有効であると述べています。
ビタミンDを摂取すれば大丈夫!……というわけではないですが、必要量をきちんと摂取することが大切なようです。
厚生労働省がおこなった平成30年の国民健康・栄養調査によると、成人のビタミンDの平均摂取量は7.0㎍と推奨量(8.5㎍)には1.5㎍不足しています。
さらに、ビタミンDは若い人ほど摂取量が少なく、20代は5.3㎍、30代は5.7㎍と、成人の平均摂取量よりもかなり少ない結果に。
日本人は、食事から摂るビタミンDの80%近くを魚介類から摂取しているため、若い世代は魚介類を食べる機会が少ないと考えられます。
一度ご自身の食生活を振り返ってみましょう。
ビタミンDは魚の内臓に多く含まれているので、摂取したいときには丸ごと食べられるしらす干し(半乾燥品で240㎍/100g)やししゃも(生干しで100㎍/100g)がおすすめ。
小魚にはカルシウムも豊富なので、骨の健康面を考えてもピッタリ!
きのこ類ではきくらげ(8.8㎍/100g)に多く含まれています。(出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂))
また、ビタミンDは脂溶性なので、効率よく吸収するために、脂と一緒に食べると良いでしょう。
骨のためにも、免疫力のためにも。
ビタミンDが不足しないように気を付けましょう!
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]