不眠症の3つのパターンと眠りにつくためのセルフケアをメンタルクリニック院長松澤先生にお伺いしました

遅くない時間にベッドに入ったのになかなか眠れず、ついスマホに手を伸ばし、気が付いたらこんな時間に・・・!
こういう経験がある人も多いのではないでしょうか。
悩む人が多い不眠・・・特に若い人に多いといわれる寝つきの悪さを解消するには?
神谷町カリスメンタルクリニック院長の松澤美愛先生による解説です。

成人の30%が不眠!実は、多くの方が悩む「睡眠」

「最近、何だか良く眠れない・・・」「なんで寝付けないんだろう・・・」これってわたしだけ?
睡眠について不調や疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。
実は不眠症状を抱えているのは成人の約30%といわれており、眠れないことはそれだけ多くの方の共通の悩みであると言えるのです。
毎日生きていることを当たり前のことと思うように、睡眠も「時間になったら寝て、時間になったら起きる」ことが当たり前に出来ているうちは良いのですが、ひとたび眠れなくなると、毎日やってくる夜が恐怖の時間になってしまいます。
そうならないために、まずは「不眠」とはどういう状態のことなのかを知りましょう。

不眠には3つのパターンが・・・あなたはどのパターン?治療は必要??

「不眠」は文字通り眠れないことですが、「不眠症」となると医学的には「睡眠障害」に分類されます。
睡眠障害は、睡眠の異常によってさまざまな社会機能障害を生じる状態であり、これは生活の質(QOL:Quality Of Life)の低下をもたらします。
「眠れない=不眠」に加え、日常生活に支障が出るような場合には「不眠症」として扱われることが分かります。
睡眠障害は大きく分けて、
1.睡眠の質や量、出現パターンの異常
2.覚醒機能の異常
3.睡眠中に異常な精神身体現象

の3パターンがあります。
この中でいわゆる眠れない「不眠」は1.のパターンに当てはまります。
簡単に説明すると、2.は「過眠」など起きられない場合、3.は「むずむず脚症候群」「こむらがえり」など睡眠に伴って現れる症状が当てはまります。

3つを、もう少し詳細に説明すると以下のようになります。
1.入眠困難・・・寝付けないケース、一旦寝付いてしまえば朝まで眠れることも。
2.中途覚醒・・・途中で起きてしまうケース、寝つきはスムーズなことも多い。
3.早朝覚醒・・・朝早く目が覚めてしまうケース。中途覚醒と重なる場合も多い。

一般的に若い方に多いのは1.入眠困難タイプとされ、2.3.については年齢を重ねるにつれて生理的な加齢変化としても見られることがあります。
いずれのタイプについても、実際に不眠があっても日常生活に問題がなければ不眠症とは診断されず、治療が不要となることもあります。
一方で、もし日中に眠気が出たり、翌朝に疲れが残るなど、日常生活に支障が出たり、QOLが低下しているような状態であれば治療対象となります。

例えば実際問題、客観的には充分に睡眠が確保されている場合でも、睡眠状態に関する自己評価が低く、回復感がなく悩んでいる場合などは不眠症と診断され、治療の対象となることもあります。
いったいなぜ「眠れない」のか、不眠症はストレスや葛藤に対する覚醒反応(情動的過覚醒)として生じる場合が多いとされます。
ストレスや葛藤が様々な気持ちを引き起こし混乱させ、その興奮が覚醒状態に繋がるということです。
これが慢性化すると、交感神経緊張、脳波上の覚醒増加、体温上昇や心拍数増加、夜間の血中コルチゾール/副腎皮質刺激ホルモン濃度増大などを引き起こし、不眠を悪化させる負のループが徐々に形成されてしまいます。
不眠症の方では視床下部、扁桃体など覚醒に関連した脳の部位の代謝活性が、寝ようとしても低下せず、逆に起きようとする時には反応しづらいことが分かっています。
このような不眠状態に限らず、背景にうつ病があり、その影響で不眠が出現している場合などもあることから、睡眠に悩みがある方は自己判断をされずに、専門家に相談をしてみることをお勧めします。

スムーズに眠りにつくためのセルフケア

そうは言ってもまずは自分で出来ることから試してみたいという方も多いでしょう。
スムーズな入眠や起床のためにやるといいことをまとめてみました。肝となるのは「自律神経を整えること」です。ご自身の出来るところから挑戦してみましょう。
規則正しい生活を心がける
就寝・起床時間を一定とすることは自律神経へかかる負荷を軽減し、余計なストレスを感じにくくします。
自律神経を整えていくために最も大切なことです。
日光を浴びる
セロトニンの分泌を促し、体内時計を正しい形にセットすることができます。
意識的に日光を浴びるようにして、セロトニンを増やしましょう。
まず起きたら朝日を浴びる、日中は何かと理由をつけて外に出て日光浴をする。
外出が難しい人は、可能な限り窓辺で過ごして日光に当たることでも効果はあります。
適度に体を動かす(運動やストレッチ)
自律神経の乱れには、全身の血流を改善させる運動やストレッチなどがとても効果的です。
適度な運動は気分転換やストレス解消にもなりますし、セロトニンの分泌を増やすこともできます。
セロトニンを増やすことで自律神経が整い、良い睡眠が得られやすくなるでしょう。
入浴習慣をつける
忙しいとついついさっとシャワーを浴びる習慣となりがちですが、特にぬるめのお湯にしっかりと浸かることが大切です。
その時間に活動モードの交感神経からリラックスモードの副交感神経に切り替わり良い睡眠に向けて自律神経の調整が行われます。
睡眠環境の調整
スムーズな入眠のためには静かで気持ちを落ち着けることが出来る環境が大切です。
明るい生活環境と暗い睡眠環境を意識して分け、睡眠時は余計な光を入れずに(室内、スマホ含)眠りやすい環境を整えましょう。
寝付くまでの時間でタイマーをセットしてリラックスできる音楽を聴いたり、好きな香りのアロマを取り入れたりすることも良いでしょう。
スムーズな起床のためには起床時間に合わせて自然に太陽光を取り入れられるようにタイマー式カーテンを利用する、起床時には自分にとってちょうど良い室温(熱いとも寒いとも感じない温度)になるようにタイマーをセットするなど快適な環境作りを意識すると良いでしょう。

ぐっすり眠ることは、心身の健康にとても大切です。
スムーズな入眠、質の高い睡眠、さわやかな目覚め。
気持ちよく眠れるようセルフケアを試してみてくださいね。

執筆者

松澤美愛先生
神谷町カリスメンタルクリニック院長

慶應義塾大学病院精神・神経科入局後、精神科専門病院、救急や総合病院でのリエゾン、国立病院、クリニック、企業など、幅広い臨床現場で経験を積む。
個人と社会の変化に応じた「こころのケア」を実践。
2024年東京都港区虎ノ門に「神谷町カリスメンタルクリニック」を開院。
Instagram(charismentalclinic)でも情報発信を行っている。
精神疾患を抱える方が『自分らしさ』を取り戻すきっかけとなるよう、患者一人ひとりの背景に寄り添った診療を心掛けている。

精神保健指定医/日本精神神経学会/日本ポジティブサイコロジー医学会

神谷町カリスメンタルクリニック
https://charis-mental.com/

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