依存のポイントは誰もが持っている依存体質。「相手に嫌われたくない」という強い気持ちを解き放って人間関係を見直しましょう。
近年トラブルが増えている、付きまとい等のストーカー行為。
そこには、相手への「依存」があることが多いのです。
何かに依存するのは良くないことなのでしょうか?
どうして何かに依存してしまうのでしょうか?
今回は、特定非営利活動法人 たんぽぽの丘 代表理事で産業カウンセラーの野邑浩子さまにお話を伺いました。
ポイントは誰もが持っている「依存体質」
アルコールやギャンブル、人間関係など、いろいろなものに依存してしまう、いわゆる「依存症」。
依存症なんて、病気だから自分には関係ない、自分は依存なんて起こりえないと思われている方も多いでしょう。
ですが、実は、「依存体質」という傾向は、誰もが持ち得ているもので、それがあるからこそ、普通に生活できている部分もあると、心理学では考えられています。
また、この「依存体質」が強すぎる、または、コントロール不能になったときに、ストーカーなどの自分でも思いもよらない行為にエスカレートしてしまうという状況に陥ってしまうのです。
ストーカー行為をされる方の背景にある依存体質。
依存体質のある方は、『相手に嫌われたくない』という思いが強くなってしまうが故に、『なぜ自分が嫌われなければならないのか』というような被害者意識を持つ傾向にあります。
一度被害者意識を持ってしまうと、周りの意見が耳に届かない状態になります。
そうなると、自分の行動を止める事が出来ず、気がついたらストーカー行為をしてしまっていた、ということにもなるのかもしれません。
依存体質とは?
そもそも「依存体質」は、どうやって身につくのかを見てみましょう。
子どもが生育する過程で、親や保護者など、周囲からの愛情はとても重要なものです。
しかし、偏った愛情を受けて育った子どもは、他人の目を気にし過ぎてしまい、自分の意志や自分の決定を尊重するよりも、相手の意志や決定を尊重しすぎるようになってしまうことがあります。
そして、いつしか他人の評価、他人の目によって自分の価値や自分の良し悪しを判断するようになってしまうことが考えられます。
相手からの反応や評価に依存してしまうのです。
相手の期待に応えることで、自分の居場所を保っている状態です。
自分の心とは裏腹な態度に出てしまうこともあるかもしれません。
相手のことが好きだから、素直にストレートにコミュニケーションをとってみたい。
でも自分は相手にどう思われているのかが先に気になってしまい、どう接していいかわからず、結果、相手に執着してしまう。
自分に自信が持てず、特定の相手に依存することで、自分に不足しているものを補おうとしてしまうのかもしれません。
依存から抜け出したコミュニケーションを
もし、あなたが今、好きな人に対して素直にコミュニケーションが取れずに悩んでいるのなら、
「自分が相手の立場だったら?」
と考えてほしいのです。
例えばバイト先で、あなたのことを気になっている人がいて、あなたと、「仲良くなりたい」と思っていて、声をかけてくれたとしたら・・・あなたはどう思いますか?
自分のことが気になる、仲良くなりたいと言ってくれたことに、嬉しく思いませんか。
私は、うれしいと感じます。
相手に対し、コントロールしようとしたり執着したりするのではなく、素直に好意を表してみる。
まずは、ここから始めてほしいです。
ただし、相手によってはその行為を受け取ってもらえないこともあります。
その際は、相手の判断を重視し、残念ですが結果を受け入れましょう。
自分の気持ちと相手の気持ち、両方を尊重することが重要なのです。
嬉しいことを素直に嬉しいと受け取る。
これこそが、依存体質から抜け出して、自分らしく生きるスタートになっています。
あれ、もしかして私、やりすぎてる?自分の行動が心配になったら
相手に対する気持ちが強いのは、必ずしも悪いことではありません。
ですが、1日のうちほとんどの時間を相手に関することに割いていたり、不安で押しつぶされそうになり何度も何度も連絡してしまったりするなど、自分で自分の行動が止められなくなってしまったら。
自分の行動がストーカー行為ととられないか、心配になった時に大切なことがあります。
それは、家族や友人・知人など、信頼して話せる人に、話を聞いてもらうということです。
依存体質のある方は、被害者意識を持ちやすいので、どうしても思考が偏りがちになります。
そのため、信頼できる人に、話しをすることで、
「そこまで考える必要がないよ」
「それは悪く考えすぎ」
「少し、相手に執着し過ぎ。しばらく距離を置いてみたら?」
など第三者がどう感じるか、その反応を得ることで、自分の行動を振り返り、思いとどまることが出来るのではないでしょうか。
昨今話題となるストーカー。
誰しも、被害者になる可能性も加害者になる可能性もあるといえるのかもしれません。
他人と上手く信頼を築き、お互いが心地よい関係でいられたらいいですよね。
あなたは相手に依存していませんか?
相手以外の周りの人とも、しっかりコミュニケーションが取れていますか?
一度、自分の周りの人間関係を見直してみてもいいかもしれません。
[執筆者]
野邑 浩子(のむら ひろこ)
特定非営利活動法人たんぽぽの丘 代表理事
[プロフィール]
「誰もが自由で自立して夢を叶える社会の実現」をモットーに、障害福祉サービスと、コーチング事業の2社を経営。
介護福祉士
1児のシングルマザー
Instagram
@hiroko_1983.tanpopo