
骨盤を締めたら痩せるって本当?骨盤の仕組みについてクリニック院長の中澤先生に伺いました
骨盤ケア、骨盤矯正という言葉を耳にしたことがあるという方は多いと思います。
そもそも、骨盤って歪んだり乱れたりするものなの??
今回は、なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生にお話を伺いました。
「骨盤の歪み」って、どんな状態?
一般的に「骨盤が歪んでいる」といわれる状態は、骨盤を構成する骨、特に仙骨と左右の腸骨の関節(仙腸関節)のわずかなズレや、その周囲の筋肉の緊張やアンバランスを指すことが多いです。
医学的な定義としては、これらの関節が本来の可動域を超えて動いてしまったり、逆に固まってしまったりする状態を指します。
しかし、レントゲンやMRIといった画像診断で明らかな骨の変形や脱臼が見られるわけではありません。
多くの場合、姿勢の癖(猫背や片足重心)、筋肉のアンバランス、長時間のデスクワークなどが原因で、骨盤周りの筋肉が過度に緊張したり、逆に弱くなったりして、結果的に仙腸関節の動きが制限されたり、不安定になったりします。
こうした状態は、腰痛や股関節の痛み、下半身のしびれといった症状を引き起こすこともあります。
骨盤はそもそも歪まない?
「骨盤は歪まない」という主張は、骨そのものが物理的に大きく変形したり、ズレたりすることはない、という観点からくるものです。
実際、骨盤は非常に強固な骨の組み合わせでできており、物理的な力で簡単に形が変わることはありません。
この主張の背景には、民間療法や美容サロンなどで「骨盤をボキボキ鳴らして矯正する」といった、科学的根拠に乏しい施術への警鐘があります。
過度な力による矯正は、かえって関節や靭帯を傷つけるリスクがあるため注意が必要です。
ただし、先ほど述べたように、骨盤を支える筋肉や靭帯のバランスが崩れることで、骨盤が正常な位置からわずかに傾いたり、回転したりすることは十分にあり得ます。
この「機能的な歪み」が、体の不調につながるのです。
また、経腟出産による骨盤底筋の緩みが尿失禁や骨盤臓器脱につながります。
出産後は骨盤ベルトは必要?締める必要あるの?
出産時、リラキシンというホルモンの影響で骨盤周りの靭帯が緩み、赤ちゃんが通りやすい状態になります。出産後もしばらくは靭帯が緩んだ状態が続くため、骨盤が不安定になりやすいです。
骨盤ベルトは、この不安定な時期に骨盤をサポートし、安定させる目的で使用されます。
これにより、腰痛や歩行時の違和感を軽減する効果が期待できます。
ただし、過度に締め付けることは推奨されません。
締めすぎると、血行不良や筋肉の萎縮を招く可能性があります。
適切な強さは、骨盤を程よくサポートし、違和感なく動ける程度です。
また、長時間つけっぱなしにするのではなく、必要な時(歩行時など)に装着し、座っている時や寝る時は外すようにしましょう。
骨盤を締めれば痩せる?!
「骨盤を締めれば痩せる」という考えは、医学的には直接的な根拠に乏しいです。
体重減少は、消費カロリーが摂取カロリーを上回ることで起こる現象であり、食事と運動のバランスが最も重要です。
しかし、骨盤を安定させることで姿勢が改善し、正しい姿勢を保つために必要な筋肉が使われるようになります。
これにより、基礎代謝がわずかに向上したり、内臓が本来あるべき位置に戻ることでぽっこりお腹が目立ちにくくなったりすることは考えられます。
また、正しい姿勢で運動を行うことで、効率的に筋肉を使い、より効果的に脂肪を燃焼させることが期待できます。
つまり、「骨盤を締めること自体が痩せる」のではなく、「骨盤を整えることが、痩せやすい体作りのサポートになる」と考えるのが妥当でしょう。
トレーニングで骨盤の形は変えられる?!
トレーニングで骨の形そのものを変えることはできません。
しかし、骨盤周りの筋肉を鍛えることで、骨盤の傾きや位置を正しい状態に保つことができます。
特に重要なのは、骨盤を支えるインナーマッスルです。
腹横筋や多裂筋、骨盤底筋群などをバランス良く鍛えることで、姿勢が安定し、腰痛や尿漏れといった不調の予防にもつながります。
具体的なトレーニングとしては、ピラティスやヨガ、または理学療法士の指導のもとで行う体幹トレーニングが効果的です。
特に産後は、骨盤底筋群の回復が重要になりますので、医師や理学療法士と相談しながら、無理のない範囲でトレーニングを始めましょう。
まとめ
骨盤の「歪み」は、骨そのものの変形ではなく、筋肉や靭帯のバランスの乱れによるものがほとんどです。
特に産後はホルモンの影響で骨盤が不安定になるため、適切なサポートやトレーニングが大切です。
「これをすれば痩せる」「これをすれば治る」といった極端な情報に惑わされるのではなく、ご自身の体の状態を理解し、バランスの取れた食生活と無理のない運動を心がけることが、健康的な体への近道です。
もし、骨盤の不調や尿漏れなどでお悩みでしたら、お近くの泌尿器科や整形外科に相談してみてください。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
執筆者
中澤佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
金沢医科大学医学部医学科卒業。
「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。
2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニック(https://kanazawa-naika.jp/)を開院。
なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/