粘膜が体を守るって本当?粘膜の整え方についてクリニック院長の髙橋先生にお伺いしました

なんだか体調が悪い。もしかして風邪を引いたかも。
そんな時は何に気を付ければ良い?
感染症が増える季節に気をつけたい『粘膜』について、城西内科クリニック院長の髙橋先生にお伺いしました。

外敵を体内に入れないために。体の内側と外側の境界ってどこかわかりますか?
寒い季節は、喉や肺、胃腸炎などの感染症が増える季節です。
風邪の原因の約90%はウイルス。
昔から「風邪は万病の元」と言われてきましたが、毎年流行するインフルエンザや、最近大きな話題になったコロナも、広い意味では風邪ウイルスの一種なんですね。
では、こんな季節を元気に過ごすために、私たちは何に気をつければいいのでしょうか。
多くの方がまず思い浮かべるのは、手洗い・うがいだと思います。
これは何をしているかというと、ウイルスを体の中に入れないための防御です。
実は感染症対策でいちばん大切な「境界線」は、喉や腸の『粘膜』。
私たちは「口の中=体の中」と思いがちですが、体全体をチューブのように考えれば、実はまだそこは外側。
体と外界の本当の境界は、皮膚と粘膜なのです。
空気は鼻や喉などの気道を通って肺へ入り、不要なものは鼻水・唾液・痰として外へ排出されます。
食べ物も同じで、腸を通り、必要なものだけが粘膜から体の中に吸収され、不要なものは尿や便・下痢として排出されます。
つまり、異物を体に入れない最大のポイントは「粘膜を健やかに保つこと」なのです。

粘膜は『身体のバリア』

粘膜は、ただの薄い膜ではありません。実はとても高度な防御システムです。
・病原体を絡め取る
・免疫物質(IgAなど)を分泌する
・常在菌と協力して、有害な菌やウイルスなどの侵入を防ぐ
粘膜のこの仕組みが、私たちの体を最前線で守っています。
特に重要なのが腸の粘膜。
免疫細胞の約70%は腸に存在しており、腸の粘膜が乱れると
・感染症にかかりやすくなる
・アレルギーや慢性的な炎症が起こりやすくなる
ことが分かっています。

寒い季節に感染症が増える大きな理由

粘膜はいつでも私たちの体に備わっていますが、寒い季節になると感染症は増える傾向があります。
それは「喉や口の中の乾燥」が原因です。
粘膜は「しっとり」してこそ、バリアとして機能します。
粘膜の乾燥はバリアの崩壊と言えます。室内湿度の目安は50%前後。
加湿器や洗濯物の部屋干しなどを活用しましょう。
加湿器を使用する際は、カビ対策のお手入れも忘れずに。

舌と唾液は『自然免疫の最前線』

実は、舌の表面や唾液中では自然免疫が常に働いています。
唾液には、病原体の侵入を防ぐさまざまな仕組みがあり、粘膜を守る重要な役割を担っています。
そのため、唾液をしっかり出すことがとても大切。
・よく噛んで食べる
・噛みごたえのある食材を取り入れる
・耳から顎にかけてフェイスライン(唾液腺)を軽くマッサージする
など、できることから試してみてください。

腸の粘膜と「口」の深い関係

腸の粘膜には多くの微生物が共生し、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ強力な防御網をつくっています。
そして実は、この腸内環境を乱す大きな要因の一つが口の中。
口は、外から異物がいちばん最初に入る場所。
口腔内で汚れや有害な細菌が増えると、その影響は腸の粘膜にも及びます。
近年、歯磨きや舌磨きといった口腔ケアが、感染症の予防や重症化リスクの低下に関係することも報告されています。
インドの伝統医学アーユルヴェーダでは古くから、朝の舌苔ケアをとても大切な習慣と位置付けています。
舌磨きは歯ブラシで擦ると粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので、舌用のケア用品をお勧めします。
※舌ケア用品の画像または画像なし

腸の細菌叢を整える

腸の免疫力を考えると、以下が推奨されます。
・よく噛んで食べる 
・タンパク質をしっかり摂る(ビタミンB群やミネラルが多く含まれています)
・ビタミンA・D・Cを不足させない
・発酵食品や食物繊維を摂る
・ストレスを溜めすぎない
反対に注意はしてほしい点は、
・睡眠不足
・強いストレス
・栄養不足
・口腔内の汚れ
です!

まとめ

感染症対策の基本は、粘膜という最前線を「整える」こと。
乾燥を防ぎ、唾液を大切に、口と腸の粘膜を守って、寒い季節を元気に乗り切りましょう。

[著者]

髙橋聡美先生
順天堂大学医学部卒、医学博士。
城西内科クリニック院長、自然未来医療研究会代表理事。
糖尿病認定医や栄養指導医など多数の資格を取得。
大事故とがんの経験から「真の健康とは病気の有無ではなく幸せであること」に気づき、心身一体のホリスティック医療を実践。
西洋医療と、再生医療や自然栄養療法、自律神経調整、量子力学的観点からのアプローチなど組み合わせ、個々に合った治療で心身のバランスを整え自然治癒力を高める医療を提供している。

城西内科クリニック
http://jyousai.net/

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