
健康診断の結果、どこを見ればいい?確認すべき数値をクリニック院長の中澤先生に伺いました
この春に、健康診断を受けたという方も多いのではないでしょうか。
学校で、会社で・・・受けろと言われているから受けたけど、よくわからない数字で出てくる結果をどうとらえたらいいの?
健康診断でしっかり見ておきたい数値と、数値が悪かった時のポイントとは?
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生による解説です。

最初にチェックしたい5項目について
健康診断の結果を受け取っても、数字がたくさん並んでいて「結局どこが大事なの?」と迷う方は少なくありません。
実際には、すべての項目を同じ重みで見る必要はありません。
まず確認したいのは、血圧、血糖、脂質、腎機能、尿検査です。
これらは自覚症状がないまま進みやすい一方で、将来の脳卒中、心筋梗塞、腎障害などにつながることがあるからです。
厚生労働省が示す受診勧奨判定値では、たとえば
・血圧140/90mmHg以上
・LDLコレステロール140mg/dL以上
・空腹時血糖126mg/dL以上、HbA1c6.5%以上
・eGFR 45未満
が、医療機関受診を考える目安とされています。なお、これは「この数値ならすぐ薬が必要」という意味ではなく、再評価や生活改善、必要に応じた治療につなげるためのサインです。
まず見たいのは「血糖」の項目
健診結果の中でも、特に見落としたくないのが血糖値とHbA1cです。
糖尿病は初期に症状が乏しいことが多く、気づかないまま進行することがあります。
日本糖尿病学会では、HbA1c6.5%は空腹時血糖126mg/dL、OGTT2時間値200mg/dLにほぼ対応すると示しています。
さらに、空腹時血糖110~125mg/dLの人では、75gOGTTが強く推奨されています。
つまり、「糖尿病ではないけれど高め」という段階でも、放置せず次の評価につなげることが大切です。
健診で血糖やHbA1cが高めだった場合は、睡眠不足、体重増加、運動不足、間食の増加、飲酒量の増加など、生活習慣も一緒に振り返ってみましょう。
自覚症状がない時期こそ、将来の合併症を防ぐチャンスです。
腎機能と尿検査は「症状がないから大丈夫」が危険
次に重要なのが、eGFRや尿蛋白などの腎機能関連の項目です。
腎臓は悪くなっても症状が出にくく、健診で初めて異常が見つかることが少なくありません。
日本腎臓学会のガイドラインでは、健診受診者に対する受診勧奨基準として、尿蛋白1+以上、尿蛋白(±)が2年連続、eGFR 45mL/分/1.73㎡未満を挙げています。
40歳未満では、eGFR 60未満でも受診勧奨の対象です。
特に、糖尿病や高血圧がある方では、腎機能低下が進みやすくなります。
「少しだけ基準から外れた」
「症状はないから様子見でいい」
と自己判断せず、異常が続いているときは医療機関で確認することが大切です。
尿潜血・血尿を指摘されたら軽く見ない
泌尿器科の立場から特にお伝えしたいのが、尿潜血や血尿です。
健診で「尿に血が混じっています」「尿潜血陽性です」と言われても、痛みがないと放置されがちです。
しかし血尿は、腎臓や尿の通り道の重要な病気のサインになることがあります。
日本泌尿器科学会は、健診や病院で血尿を指摘された場合、症状がなくても早めに専門医を受診することを勧めています。
原因には膀胱炎や尿路結石のほか、腫瘍なども含まれます。
特に、見た目で赤い尿がわかる肉眼的血尿はより重要なサインです。
喫煙歴がある方、血尿を繰り返す方、蛋白尿も一緒に出ている方は、自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。
再検査と言われたら、行ったほうがいい?
結論からいうと、基本的には行ったほうがよいです。
健診は「異常を見つけて終わり」ではなく、必要な人を適切な受診につなげるための仕組みでもあります。
厚生労働省の受診勧奨判定値の説明でも、判定値を超えた場合は、再検査や生活習慣改善指導を含めて医療機関での管理が必要な場合があるとされています。
また、日本糖尿病学会の診断フローチャートでも、状況によってはなるべく1か月以内、あるいは3~6か月以内に血糖値・HbA1cを再検査する流れが示されています。
もちろん、すべてが緊急というわけではありません。
ですが、血圧、血糖、腎機能、尿所見の異常は、後回しにすると悪化していることがあります。
忙しくても、結果を受け取ったら早めに予定を立てることをおすすめします。
健診結果は「去年との変化」も大切
健診結果を見るときは、今回の数値だけでなく、去年と比べてどう変わったかにも注目してください。
体重、腹囲、血圧、HbA1c、LDLコレステロール、eGFR、尿蛋白は、年ごとに並べると変化が見えやすい項目です。
1回の健診結果だけで過度に不安になる必要はありません。
一方で、異常が続いているのに放置するのも避けたいところです。
健診結果は「通知表」ではなく、将来の病気を防ぐための早期警報と考えるとわかりやすいでしょう。
まとめ
健康診断の結果でまず確認したいのは、血圧、血糖、脂質、腎機能、尿検査です。
中でも、血糖異常、腎機能低下、尿蛋白、血尿は、自覚症状がないまま進行しやすいため注意が必要です。
再検査や受診勧奨がついていた場合は、「症状がないから大丈夫」と考えず、早めに医療機関へ相談してください。
健診を「受けっぱなし」にせず、その結果を次の行動につなげることが、将来の健康を守る第一歩になります。
参考文献
・厚生労働省「受診勧奨判定値について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000967510.pdf
・日本糖尿病学会「糖尿病診断の指針」
https://www.jds.or.jp/uploads/files/publications/gl2024/01.pdf
・日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023」
https://jsn.or.jp/data/gl2023_ckd_ch01.pdf
・日本泌尿器科学会 一般向け情報「尿に血が混じる。血尿を指摘された」
https://www.urol.or.jp/public/symptom/01.html
執筆者

中澤佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
金沢医科大学医学部医学科卒業。
「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。
2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニック(https://kanazawa-naika.jp/)を開院。
なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/



