
めまいと立ちくらみって違うの? めまいを防ぐには生活習慣を見直すことが大切です
急に立ち上がった時に「ふわっ」と目の前が揺れる。
時折り「ぐるぐる」と地面が回るような感覚が押し寄せる。
20〜40代の女性に多いいわゆる「めまい」・・・もしかすると、それは身体からの無言のサインかもしれません。
今回は、長らく看護師として勤務し、現在は企業の訪問看護部門を統括する新川勝美さんに、めまいの正体や見極め方、セルフケアについてお聞きしました。
「めまい」と「立ちくらみ」は違う?知っておきたいカラダのサイン
めまいの感覚にはいくつか種類があります。
たとえば立ちくらみ。
これは急に立ち上がった時にふわっと目の前が暗くなるような感覚に襲われるものです。
血圧が低いと、脳に十分な血液が回らずに起こることがありますが、数秒~数十秒ほど経つと脳に血液が流れ込むのでおさまります。
また、子宮筋腫のある方では出血量も多いので、欠乏性貧血を起こしてくらっとなったり、炎天下の中で立っている時には暑さやストレスでふわーっとなったりしますが、こうしたことも立ちくらみといえます。
一方、めまいはぐるぐる回る、ふわふわと雲の上を歩いているような感覚です。
多くの場合、耳の奥にあって平衡感覚をつかさどる三半規管に支障を来たすことで起こりますが、他にも脳梗塞などの脳の病気、ホルモンバランスの乱れ、脳の血流不足も原因となります。
めまいと立ちくらみの違いは、ご自身の感覚の捉え方ともいえますが、めまいには大きな病気が隠れていることがあるので注意が必要です。
実はこんな理由があった!めまいの主な原因
頭痛と同じように、めまいの原因も多岐にわたります。
1)「耳」が原因のめまい
中でも多いのが、「耳」が原因で起こる「回転性のめまい」です。
三半規管が弱くなったり、耳の奥にある耳石が本来あるべき場所からずれて、三半規管に入り込むことで引き起こされます。
これを「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」といい、生理などでホルモンバランスが崩れることが一因とされています。
他にも耳への傷病や神経炎などがめまいの原因となります。
2)「脳」が原因のめまい
また脳梗塞など、「脳」の病気が原因でめまいが起こることも良くあります。
ただ脳が原因の場合は、めまいと同時に言葉が出にくくなったり、手がしびれたり、物がうまく持てなくなるなど、普段とは異なる違和感、小さな変化が起こります。
こうした際には、命に関わる場合や後遺症の恐れもあるので、救急車を呼ぶなどしてすぐに受診しないといけません。
3)さまざまな要素が原因のめまい
そして、20~40代の女性で多いのが、ホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、ストレス、寝不足、肩こりなどが原因で起こるめまいです。
ふわふわする感覚の「浮動性のめまい」として現れますが、そこに何か大きな病気が隠れていることもあります。
めまいって受診した方がいいの?
めまいが起こっても「疲れてるだけかな・・・」としばらく様子を見る人も多いと思います。
めまいの原因は幅広く、ポイントが絞りにくいので、脳が原因の場合を除くと、受診するかどうかの見極めは難しいものです。
睡眠不足や肩こりなど、自分自身で思い当たる節があれば、睡眠を十分取ってみたり、肩こりを改善したりするのもいいでしょう。
それで症状が軽くなるようであれば、原因はそこにあると考えられるので、継続的なケアが大切となります。
ただし、何か重大な病気が隠れていることもあるので、やはり「いつもと違う」と思った時は受診するのが鉄則です。
また、「寝ている時は治るけど、起きるとずっとぐるぐる回っている」などめまいが続いている場合は、一過性ではなく、メニエール病の可能性もあるので、早めに受診することをおすすめします。
なお、メニエール病ではめまいの他に、耳鳴りも伴います。
受診する医療機関は、まずは耳鼻科です。
ただ、めまいだけでなく、頭痛や吐き気などが複数回伴う場合は脳の病気の可能性があるので、脳神経内科への受診をお勧めします。
診断の結果、重篤な病気でなければ自分自身も安心できますし、ドクターの説明を聞いて症状がなくなった方もいらっしゃいます。
良性か病気かどうかの診断はしっかりしてもらった方がいいですし、安心を作るという観点からも、日常的にめまいが続く場合は受診しましょう。
めまいが起きたときの対処法って?
めまいが起きたときは、動かないことが大切です。
椅子やソファーに座ったり、ベッドや畳の上などに横になるのが一番です。
めまいがした時に動くと転倒する可能性もあり、頭を打つなどしたら大変なことになります。
めまいがおさまるまでは無理をせず、目を閉じて安静にすることが大切です。
「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」の場合では、ずれた耳石が元の場所に戻ることでおさまります。
身体を起こしている時はぐるぐるしていても、横になると耳石の回転が止まるので、まずは横になって、少しずつ頭を動かしながら耳石を元の場所に戻しましょう。
ふだんの生活でめまいを予防できる?
めまいを防ぐには、日ごろの生活習慣を見直すことが大切です。
特に今問題となっているのはスマホやパソコンの使い過ぎです。
スマホを触っている時やデスクワーク中はどうしても前傾になってしまうので首や肩が凝り、そこからめまいや気分の悪さ、ふわふわ感が起こります。
往々にしてめまいは現代病でもあります。
とはいえ、スマホやパソコンは社会生活に必須なものですので、できるかぎり目や脳を休ませる時間を取ったり、姿勢を改善して肩凝りなどを直すことが大事です。
めまいを起こさない身体の基盤を作るためにも、日常生活で十分な睡眠を取り、軽い運動をし、バランスの取れた食事をする。
そして、やはりストレスをため込まないことが一番です。
週1回、難しければ月1回でも好きなことをして、ホルモンバランスを整えることが必要です。
まとめ
日々の忙しさの中で、知らないうちに心や身体が疲れていることは少なくありません。
めまいはそれを教えてくれるサインでもあります。
仕事や子育て、介護などに追われる毎日では、自分自身のケアはついつい後回しにしがちです。
だからこそ、リラックスできるひとときを意識して作り、日々を健やかに歩んでいきましょう。
[執筆者]
新川勝美
株式会社土屋 取締役
土屋ケアサービスカンパニー 医療看護事業部 部長
株式会社ゆう 代表取締役 社長
1965年、和歌山県生まれ。
看護師1年目の歓迎会では「歌ってなれる看護師を目指します!」と宣言。
ワンオペ育児に頑張りながらパート看護師として勤務。
その後、介護・通所サービス・病院などグループ会社の統括部長を務め、代表取締役に就任。
働きやすい職場環境を目指して企業型保育園も運営。
退任後、土屋に入社。
訪看開設時は何もわからず何冊の本を読み漁った日々を思い出します。
ローマは1日にしてならずですね。
株式会社土屋
https://tcy.co.jp/