
寒くて関節が痛いのは加齢のせい?林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生にお伺いしました
寒いと強くなる関節の痛み…悩まれている方はいませんか?
林外科・内科クリニック理事長の林裕章先生による解説です。
寒くなると「節々が痛む」のは気のせいではありません。
冬になると「膝が重だるい」「腰がピキッとする」「指先がこわばる」など、関節や筋肉の不調が増えがちです。20代〜40代の方は「まだ若いから大丈夫」と思いがちですが、この年代から始まるケアが、将来の関節の健康を左右することもあります。

寒いと痛みが増すのはどうして?
寒さと痛みの関係には、主に3つのメカニズムが関わっています。
1)血流の悪化
体温を逃さないために血管が収縮し、血行が悪くなります。
すると、痛みの原因物質(発痛物質)が滞留しやすくなり、神経を刺激します。
2)筋肉のこわばり
寒さで身をすくめると、筋肉が常に緊張した状態になります。
筋肉が硬くなると関節への負担が増え、痛みを感じやすくなります。
3)気圧の変化
冬の移動性高気圧や低気圧の通過は、関節内の圧力を変化させ、腫れや痛み(天気痛)を引き起こすことがあります。
関節が痛むけど、ただの加齢?放っておいてもいいの?
「最近、膝や指が痛むのは加齢のせいかな?」と諦めるのは早計です。
20代〜30代で起こる関節痛には、以下のような可能性が隠れています。
1)変形性関節症の初期症状
膝や股関節の軟骨がすり減り始めるサインです。
中高年に多いものの、体重増加、過去のケガ、仕事やスポーツの負荷によって40代前後から症状が出ることもあります。
特に「動き始めに痛むが、動いていると楽になる」場合は注意が必要です。
2)関節リウマチなどの炎症性疾患
腫れ・熱感が強い、朝のこわばりが長い、左右対称に腫れるなどは関節リウマチなども鑑別に入ります。
3)オーバーユース(使いすぎ)
スポーツやデスクワークでの不適切な姿勢が、冬の血行不良と相まって顕在化することがあります。
体に良いと思われるスポーツですが、体の負担になっていることもあるのです。
受診する、それとも少し様子を見る?判断のポイント
数日休んでも痛みが引かない、あるいは関節が赤く腫れている場合は、単なる冷えではなく炎症が起きている可能性が高いため、専門医の受診をお勧めします。
・放っておきやすいが注意:痛みで動かない → 筋力低下 → さらに痛みやすい、という悪循環
・早めに整えると得:運動療法(筋力・柔軟性)や体重管理で症状が大きく改善するケースが多い
痛いときは冷やすべき?温めるべき??
目安は「熱っぽく腫れているか」「こわばりが中心か」です。
腫れて熱を持つときはまず冷却、冷えで固まって動きが悪いときは温める、が基本です。
冷やすほうがいいとき
・捻ったりぶつけたりした直後
・腫れが目立つ
・触ると熱い
・ズキズキする(急性期に多く、まず炎症を落ち着かせる)
温めるほうがいいとき
・こわばりや重だるさがある
・動き始めの痛み、筋肉の張りがあるが、お風呂に入ると楽になる
(慢性期に多く、血流を上げて動かしやすくする)
冷やすか温めるか迷ったら
腫れと熱感がなければ“軽く温めてゆっくり動かす”から始めると失敗が少ないです。
温め方は「入浴」「蒸しタオル」「温熱シート」などでOK。
プラスとして低温やけどを避けるため、皮膚が赤くなり続けるような使い方は控え、寝るときは長時間の直貼りを避けてください。
冬の生活でのヒント
冷えによっておこる不調が多い時季ですので、基本的には「温める」ことが推奨されます。
入浴で芯から温まる、カイロを大きな筋肉(太ももや腰)に貼る、サポーターで保温するなどが有効です。

痛かったのがしびれに感じるように。これは改善しているの?
痛みがなくなると、楽になることもあり、よくなってきたなと思われる方もいるかもしれません。
ですが実は、痛みがしびれに変わるのは「悪化」のサインであることが多いです。
痛みは「末梢神経」が刺激されている状態ですが、しびれは神経そのものが圧迫されたり、ダメージを受けたりしている可能性(神経障害)を示唆します(しびれが一時的に出るだけで自然に軽快する人もいます)。
ポイントは『症状が増えているか・力が落ちているか』です。
・腰痛+足のしびれ:腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の疑い
・肩・首の痛み+手のしびれ:頚椎のトラブルの疑い
・要注意:しびれが広がる/歩きづらい/つまずく/片脚の力が入りにくい
※緊急性が高い:排尿・排便の異常、会陰部(股の間)の感覚が鈍い(いわゆるサドル麻痺)などの症状を感じたら1日も待たずに外科・整形外科を受診してください。
寒いとぎっくり腰になりやすいって本当?なったらどうするべき?
寒い季節は筋肉がこわばりやすく、そのまま急に動くと負担がかかります。
前かがみになる、抱っこする、物を持ち上げる、くしゃみをするといった動作をきっかけに、急性腰痛(「魔女の一撃」とも呼ばれるぎっくり腰)が起こりやすくなります。
なってしまった時の初期対応
1)無理に動かない
直後は最も楽な姿勢(横向きで背中を丸めるなど)で安静にします。
2)冷やすか温めるか
発症から2~3日は炎症を抑えるために冷やしましょう。
その後、激痛が引いてきたら温めるのが一般的です。
3)安静にしすぎない
可能な範囲で短時間の歩行や体勢変換を行いましょう。
実はずっと同じ姿勢のままでいると回復を遅らせやすいのです。
4)ゆっくりと動く
筋肉の緊張と痛みの悪循環なので、痛みをしっかり抑えつつ、ゆっくり動きましょう。
急にストレッチで伸ばそうとすると反射的に筋が固まることがあります。
※ただし、強い脚のしびれや麻痺、排尿・排便の異常がある場合は自己判断せず受診してください。
関節にいい栄養やサプリメントってあるの?
20代〜40代から意識したい栄養素を紹介します。
・タンパク質
筋肉は関節を支える天然のサポーターです。
・ビタミンD・カルシウム
骨の強度を保ちます。
冬は日光浴が不足しがちなため、ビタミンD(鮭やキノコ類)の摂取が重要です。
・グルコサミン・コンドロイチン
サプリメントとして人気ですが、実は医学的なエビデンス(証拠)はあまりありません。
「飲めば軟骨が再生する」という魔法の薬ではなく、あくまで補助的なものと考えましょう。
まず効きやすいのはサプリより生活側です。
膝や股関節は体重と筋力の影響が大きく、運動療法と体重管理が“基本の柱”とされています。
受診のサインはどんな痛み・症状?
以下の症状がある場合は、我慢せずに整形外科専門医を訪ねてください。
1)夜、痛みで目が覚める。
2)足や手に力が入らない(脱力感)。
3)排尿や排便のトラブルを伴う腰痛・会陰部の感覚低下(緊急性が高いです)。
4)安静にしていても痛みが全く変わらない。
5)関節がパンパンに腫れている。
6)強い腫れ・熱感・赤みがある(感染性関節炎などは急ぐ必要があります)。
まとめ:冬の関節ケアで大切なこと
冬の関節痛対策のポイントは「温めて、動かして、筋力を落とさない」です。
『関節を温めてから』動かす
膝・手首・肩はサポーターや手袋、腰は腹巻などで保温するとよいでしょう。
■避けたいこと
・冷えた状態でいきなり全力動作(重い荷物の持ち上げ、急な前屈、勢いのあるストレッチ)
・痛いから完全に動かさない生活(筋力低下と関節のこわばりを招きやすい)
・痛み止めやサプリで“無理して負荷を増やす”(負荷量の調整が本質です)
40代までのケアは、50代以降の「変形性膝関節症」や「脊柱管狭窄症」を予防するための投資になります。
痛みは体からのサインです。放置せず、自分の体と向き合うきっかけにしてください。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
外科医の知見に基づき、一般的な医学情報の提供を目的としておりますが、個別の症状については必ず医療機関を受診してください。
執筆者

林裕章先生
林外科・内科クリニック理事長
国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。
現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとしての有床診療所および老人ホームを運営している。
また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
林外科・内科クリニック
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