
日焼け止めの適量は意外と多い?コスメコンシェルジュが実際に塗布量を測定してみました
夏に日焼け止めやSPFが入ったアイテムを全く使わない、という女性は少ないでしょう。
男性でも、最近は日焼け止めを使う割合が高くなっており、UV対策を意識することはとても一般的になっているといえます。
ですが、
「日焼け止めを使っているのに焼けてしまう」
「一応塗っているけど、あまり効果を実感しない」
という声も聞かれます。
実は、日焼け止めを適量使えている人って意外と少ないんです。
「どれくらい塗ればいいの?」
という疑問にこたえるべく、研究所で実際に量ってみました。
現役化粧品メーカー研究員で特級コスメコンシェルジュでもある船木彩夏さんの解説です。

日焼け止め、きちんと適量を塗れていますか?塗布量が少ないと、どうなるの?
日焼け止めを使っていない人は少なくても、適量を使えている人って、意外と少ないんです。
日焼け止めに表示されているSPFは、決められた量を皮膚に塗って測定されています。
そのため、規定されている量より少ない量を塗布したり、ムラがあったりすると、表示されている効果が発揮できないこともあります。
日焼け止めは、肌の上に均一で適正な厚みを持った膜をつくることで紫外線を防いでいるのです。
特に注意したいのが、「塗る量が半分なら、SPFも半分くらいになるのでは?」という誤解です。
たとえばSPF50の日焼け止めを、推奨量の半分程度で塗った場合、「SPF25くらいはあるのかな」と考えたくなります。
しかし、SPFと塗布量の関係は単純な比例関係とは限らないのです。
文献では、日焼け止めの塗布量が少なくなると、SPFは非線形に低下することが示されています。
製品や測定条件によって差はありますが、塗布量が不足すると、期待している以上に防御効果が下がる可能性があるのです[1-3]。
日本化粧品工業連合会の資料では、1/2量を塗った場合の一例として、SPF30の製品で5.5、SPF50の製品で7.1まで低下したケースが紹介されています[4]。
せっかく高いSPFの日焼け止めを選んでいても、薄くのばしすぎてしまうと、その性能を十分に活かせなくなってしまうのです。
そもそも日焼け止めの使用量とは?
日焼け止めのSPFは、国際規格であるISO24444に基づき皮膚1平方cmあたり2mg(2mg/cm²)の量を塗布して測定されています。
ちなみに、PA値の基準となるUVAPF測定の際もISO24442に基づき、塗布量は同量です。
1センチ四方に、2mgといわれてもピンときませんよね。
顔全体に塗る場合は、どのくらいの量になるのでしょうか。
化粧品の安全性評価などで使われる資料では、顔用クリームやファンデーションの適用面積として、顔の面積を約565平方cmとする例があります[5]。
これをSPF測定時の塗布量である2mg/cm²に当てはめると、
565cm²×2mg/cm²=1,130mg
となり、顔全体でおよそ1.1gが目安になります。
もちろん、顔の大きさや「どこまでを顔として塗るか」によって必要量は変わります。
首まで塗る場合は、さらに多くの量が必要です。
実際はどのくらい?日焼け止めを量ってみました
では、約1.1gの日焼け止めとは、見た目でどのくらいなのでしょうか。
今回は、電子秤の上に薬包紙を置き、ゼロ調整してから、クリームタイプの日焼け止めを量ってみました。

まずは薬包紙と1円玉(サイズ比較用)をのせた状態で、電子秤を0.00gに調整します。
ここから、顔1回分の目安量として約1.1gになるように日焼け止めを出していきます。

実際に量ってみると、約1.1gはこのくらい。
クリームタイプの日焼け止めでは「パール2粒大」などと表現されることがありますが、製品の硬さや密度、出し方によって量は変わります。
そのため、「パール大」はあくまで目安として考えるのがよいでしょう。
大きさの比較として1円玉も置いていますが、1円玉の直径は2cm。
いつもこんなに塗ってない・・・と思われた方も多いのではないでしょうか?
ただし、1回でこの量を顔にのせると、白浮きやべたつきが気になったり、塗りムラができたりしてしまいます。
一度に全部塗ろうとせず、2回に分けて重ねると、キレイに塗りやすいのでおすすめです。
まず顔全体に薄く均一にのばし、少しなじませてから、もう一度同じように重ねます。
特に、焼けやすい頬の高い位置や鼻にはしっかり塗りましょう。
また、額、こめかみ、フェイスラインは塗り残しやすい部分ですので忘れずに。
耳や首の後ろも、外出時には忘れずに塗りたい部位です。
塗り直しも重要
日焼け止めは、朝しっかり塗れば一日中そのままでよい、というものではありません。
汗をかいたり、皮脂が出たり、マスクやタオルでこすれたりすると、日焼け止めの膜は少しずつ落ちてしまいます。
特に屋外で過ごす時間が長い日や、汗をかく日、水に触れる日などは、こまめな塗り直しが大切です。
一般的には、屋外では2〜3時間おきの塗り直しがすすめられることが多く、汗をかいた後やタオルで拭いた後は、その都度塗り直すのが理想的です。
メイクの上から塗り直す場合は、日焼け止めを直接重ねるのが難しいこともあります。
その場合は、UVカット効果のあるパウダーやスプレー、スティックタイプなどを活用する方法もあります。ただし、これらも使用量が少ないと十分な効果が得られにくいため、「軽くひとなで」で終わらせず、ムラなく重ねることを意識しましょう。
日焼け止めは、きちんと正しく使おう
日焼け止めは、紫外線対策の基本アイテムです。
しかし、表示されているSPFやPAは、決められた条件で測定された値であり、実際の効果は使い方によって変わります。
大切なのは、次の3つです。
・十分な量を使う
・ムラなく塗る
・汗やこすれの後は塗り直す
SPF50の日焼け止めを選んでいても、塗る量が少なすぎると、その力を十分に発揮できない可能性があります。
反対に、正しい量を意識して使うことで、日焼け止めの効果をより活かしやすくなります。
「毎日塗っているのに、なぜか日焼けしてしまう」
「高SPFを使っているのに、肌が赤くなりやすい」
そんな方は、日焼け止めの種類だけでなく、使用量や塗り方も見直してみてはいかがでしょうか。
紫外線対策は、特別な日のためだけではなく、毎日の積み重ねが大切です。
日焼け止めは、『なんとなく塗る』から、『きちんと量を意識して使う』へ。
今日から少しだけ、塗り方を見直してみましょう。
※本記事で紹介している塗布量は、ISOによるSPF・UVAPF測定時の基準塗布量(2mg/cm²)と、文献上の顔面積の参考値をもとに算出した目安です。
実際の使用量や推奨される使い方は製品ごとに異なる場合があるため、各製品の表示もあわせてご確認ください。
参考文献:
1.Faurschou A, Wulf HC. The relation between sun protection factor and amount of sunscreen applied in vivo. Br J Dermatol. 2007;156(4):716-719.
2.Kim SM, Oh BH, Lee YW, Choe YB, Ahn KJ. The relation between the amount of sunscreen applied and the sun protection factor in Asian skin. J Am Acad Dermatol. 2010;62(2):218-222.
3.Liu W, Wang X, Lai W, Yan X, Li L. Sunburn protection as a function of sunscreen application thickness differs between high and low SPFs. Photodermatol Photoimmunol Photomed. 2012;28(6):293-297.
4.日本化粧品工業連合会編「コスメチックQ&A辞典-資料編-」平成20年4月1日発行
5.Scientific Committee on Consumer Safety. The SCCS Notes of Guidance for the Testing of Cosmetic Ingredients and Their Safety Evaluation. 12th revision. 2023. 顔用化粧品の適用面積の参考値として参照
[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ
[監修]キレイ研究室編集部



