避難所での熱中症に注意!災害時の熱中症対策は水分補給と体温を下げることが大切です。

今年も暑い夏となりそうですね。
普段の生活でも熱中症対策は必須ですが、災害が起こったときなど、通常とは違う環境に置かれたときは、どのように対策をすべきでしょうか。
クーラーなどもあるとは限らない、そんな状況での熱中症対策について、保健師の本田和樹さまにお話を伺いました。

いつ来るかわからない、災害時の熱中症対策とは

                           
昨今、日本各地で頻繁に発生する地震。
避難所やボランティアの現場、在宅避難時には水や電気などの供給が制限され、気温・湿度のコントロールやこまめな水分補給が難しくなる可能性があります。
また、慣れない環境で過ごすことへのストレスもまた、体調の変化や、睡眠不足を引き起こします。
このように、災害時には熱中症の3つの条件といわれる「からだ(体調、年齢等)、環境(気温、湿度等)、行動(活動強度、持続時間、休憩等)」のすべてが揃う可能性が高いのです。事前に災害時の熱中症対策を知り、いざという時に備えましょう。

災害時の熱中症対策

1)水分補給をする
災害時はトイレに行くことを控えるなどの意識により、水分をとる量が減ってしまいがちです。
脱水状態にならないためにも、こまめに水分をとるようにしましょう。
2)塩分補給をする
復旧作業時はもちろん、室内に避難をしている場合も、汗をかきやすい状況では水分だけでなく塩分も補給することが大切です。
3)身体を涼しく保つ
室温を快適に保つことが難しくなる状況下では、電気を使用せずに身体を涼しく保つことが大切になります。
例えば、肌から水分が蒸発する時に熱を奪う気化熱を利用して、ネッククーラーと(携帯型)扇風機・うちわなどを組み合わせて身体を涼しく保つことができます。
また、冷却グッズを使うのも良いでしょう。
4)日差しを避ける
日中の屋外での作業時や、移動時には、帽子や通気性の良い長袖の衣服などを着用しましょう。
直射日光を避け、暑さから身体を守ることが大切です。
5)温度や湿度に気を付ける
室温など、自分が今いる環境を把握しておくことが大切です。
温度計・湿度計・熱中症計を使用して、自分のいる環境を知るようにしましょう。
6)家族や周囲の人の体調を気に掛ける
避難所や自宅、車などで避難をしている時の体調管理では、家族や周囲の人とお互いに声を掛け合うことが大切です。
避難先でも周囲の人と適度なコミュニケーションをとり、お互いの状況を知っておくと良いでしょう。

被災時は、避難生活に伴う疲労・体調不良・栄養不足などにより、熱中症のリスクが高くなる可能性があります。普段以上に体調管理を心掛け、前述の対策を行いましょう。
最後に、上がってしまった体温を効果的に下げるための方法をご紹介します。

体温を効果的に下げるための例

・上着を脱がせ、服をゆるめて風通しを良くする。
・皮膚に濡らしたタオルやハンカチを当て、うちわや扇風機であおぐ。
・服の上から少しずつ冷やした水をかける。
・氷嚢や冷えたペットボトル等を、首・脇の下・足の付け根にあてて冷やす。

この方法は、とっさの対応が必要な時のために、是非覚えておくとよいでしょう。

何も起こらないに越したことはないですが、非常時に自身や家族を守るためにぜひ知っておいてください。

執筆者

本田和樹
株式会社エムステージ産業保健事業部 
保健師業務マネージャー

看護師として急性期精神病院で5年間勤務したのち、2020年エムステージ入社。
産業保健師の業務委託事業立ち上げに携わり、現在は複数の企業で保健師として実務をおこなう。
労働と精神衛生についての啓蒙活動、寄稿などもおこなっている。
取得資格:保健師、看護師、養護教諭一種、第一種衛生管理者等

株式会社エムステージ『産業保健トータルサポート』
https://sangyohokensupport.jp/

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