
歯磨きしてるのに虫歯ができるのは何故?虫歯ができる原因についてきみえ歯科院長中村先生にお伺いしました
まだ歯磨きが上手にできなかったり、さぼってしまったりしてしまう子供とは違い、1日に2回はきちんと磨いているのに、なぜか虫歯が?
実は、歯磨き以外にも原因があるかもしれません。
今回は、きみえ歯科院長の中村喜美恵先生にお話を伺いました。

磨き方:実は多くの方ができていない?!
実は、『歯磨きをする=歯が磨けている』ではありません。
しっかり磨けているかが重要です。
歯ブラシだけでは、どんなにしっかり磨いたつもりでも、約4割は磨き残しができます。
キレイに磨くためには、デンタルフロスの使用は必須なのです。
きちんと使用していますか?
歯と歯の間のむし歯は、初期では非常にわかりにくく、症状が出てきたときにはかなりむし歯が進んでいることが多いです。
フロスを使用していると、ほんの小さなむし歯ができた場合でもフロスが引っかかったり、切れたりすることで、患者さんも異常に気付くことができます。
磨くタイミング(食事との関係、食習慣も関係)
歯磨きのタイミングや、お口の中に食べ物や飲み物が入るタイミングはどうでしょうか?
毎食後だけでなく、ストレートのコーヒーやお茶、お水以外の飲み物を飲んだ後や、飴玉やガム(人工甘味料を除く)が口に入った後までも、毎回歯磨きをする方は少ないと考えますがいかがでしょうか?
毎回歯磨きをしなくても、唾液には消化を助ける作用だけでなく、口内を清潔に保ったり、むし歯を予防したり、細菌やウィルスの増殖を抑えるなどの効果があります。
口腔内の状態はステファンカーブで説明をされることが多いですが、食事をすると、お口の中が中性から酸性に傾き、唾液の作用により30分~60分でまた中性にもどろうとします。

しっかりお口の中が中性にもどり、安定するまでは間食などもしないようにすることが重要です。
間食が多く、虫歯の原因となる食べ物や飲み物が、頻繁にお口の中に入っているようでは、お口の中が酸性に傾きやすく、むし歯になりやすい環境となります。

唾液の良い効果がしっかり発揮できるようなお口の中の状態を作る意識を持ちましょう。
食事の内容や食べ方
良く噛んで食べる食事あるいは食べ方なのか、あまり噛まないで飲み込んでしまうなど食べ方でも食事の後、お口の中に残る食べかすの量が異なります。
また、食べるものに関しても、歯に粘着性の高い食べ物が多いのか(お菓子も含む)、野菜などの繊維性の食物を良く食べているのか・・・などによっても食事の後、お口の中に残る食べかすの量や歯へのこびり付き方が変わってきます。
生活習慣、姿勢、習癖などの影響もあります。
いつも前かがみの姿勢やスマホを見ながら、などのながら食べをしていると、正しく舌が動きませんので、噛む回数も少なく、奥歯に正しくすりつぶしもできず、唾液としっかり混ざらないうちに飲み込むことになります。
実際、唾液の働きはとても重要で、全身疾患により、唾液が出にくい症状のある場合はむし歯ができやすくなることも報告されています。
痛みが出る前に虫歯ケアしたい・・・どのくらいで検診を受けるべき?
虫歯の治療は、大人になっても避けたいもの。
できれば悪化する前にケアをしたいですよね。
口腔内の状況に応じて、3ヶ月~6カ月ごとに検診を受けることがおすすめです。
「学生時代は毎年受けてたけど、大人になったらどうする?体は健康診断があるけど、歯も必要?」
と思われるかもしれませんが、必須です。
虫歯になる以外にも、お口の中で培養された細菌が、体中を毎日めぐり、悪さをすることが分かっています。
例えば、歯周病が進んでくると、糖尿病の方は、歯周病の治療や管理を継続しないと、糖尿病の方も改善しません。
両方の管理が必要です。
また、歯周病が重度になってくると、アルツハイマー型認知症の大きな原因にもなります。
以前は、お口の中の細菌が身体の100以上の病気と関係していると言われていましたが、現在では関係する病気がもっと増えているようです。
そうなると、まずは細菌の入口であるお口の中を検診し、衛生状態を改善しなければいけないとおわかりになるでしょう。
ちなみに、お口の中の細菌の密度は、大腸の中の細菌の密度の同じなのです。
きちんと歯磨きをしていない人のお口の中は、便より細菌の密度が大きいと考えて下さい。
大人と子供の虫歯、違いはある?大人に多い虫歯は?
大人のむし歯より、子どものむし歯の方が進行が速いです。
永久歯より乳歯の方が、むし歯の進行が速く、また、同じ永久歯でも子どもの歯の方が、エナメル質が薄く歯質も柔らかいためです。
また、子どもの方が歯磨きがまだ上手にできないこと、お菓子をたべる機会が多いことなども要因と考えられるでしょう。
また、大人のむし歯は、冠(かぶせ物)や詰め物の奥、治療後の歯で起こっていることもあります。
神経のある歯・・・冠がかぶせてある歯が二次的な虫歯になっていれば、痛みます。
神経のない歯・・・歯の根の病気(再発も含め)
かぶせている歯が割れてしまい、痛むこともあります。
むし歯ではなく、歯周病による痛みが出る場合もあります。
治療後の歯のトラブルは自分では確認しづらいため、違和感や痛みを感じたら、速やかに受診しましょう。
[執筆者]

中村喜美恵先生
きみえ歯科 院長
1988年京都大学薬学部卒業、大阪大学歯学部学士入学(専門課程編入)
1992年大阪大学歯学部卒業、大阪大学歯学部付属病院に勤務
2003年姫路市に「きみえ歯科」を開業
一般社団法人日本ホームヘルスコーチ協会認定ホームヘルスコーチ
アンチエイジング歯科学会認定医
糖尿病協会登録歯科医
お口と全身はひとつながり。口腔環境と全身の状態には密接な関係があります。
「健康に美しく!」をテーマに、予防を中心に歯科からの情報発信を続けています。



