
ゼラチンはお肌にいい?ビタミンCと一緒に摂取するのがおすすめです
SNSで「ゼラチンを飲む美容法」が話題になっています。
ゼラチンはコラーゲン由来のたんぱく質なので、「肌がぷるぷるになるのでは?」と期待されているようです。
そもそもゼラチンってどういうもの? 本当にお肌にいいの??
サプリメントアドバイザーで健康管理上級指導員の船木彩夏さんの解説です。

ゼラチンって何?コラーゲンとの関係をざっくり解説
最初に、コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチドについてお話しします。
コラーゲンは、動物の体内にある三重らせん構造を持つたんぱく質で、ほぼ水に溶けない性質を持っています。
私たちの体を構成しているたんぱく質のうち、多くを占めていて、骨・軟骨・血管・内臓・皮膚(真皮層)などほぼ全身に存在しています。
ゼラチンは、動物由来のコラーゲンを加熱などによりらせん構造をバラバラに(部分加水分解)し、分子量を小さくしたたんぱく質です。
温水に溶け、冷えると固まる性質があることから、ゼリームースといったデザートや、テリーヌやゼリー寄せなど、さまざまな料理に、主に「固める」用途に使われます。
鶏肉(皮つき)などで煮ものをつくった際、翌日煮汁が固まっている(煮凝りができている)ことがありますよね。
これは、主に鶏肉のに含まれるコラーゲンが加熱によってゼラチン質に変化し、それが冷えて固まることによってできていて、再度加熱をすると、液状に戻ります。
一方、サプリメント等でよく見る「コラーゲン」は、ゼラチンをさらに細かく低分化させたもので、正確にはコラーゲンペプチドや加水分解コラーゲン(HC:Hydrolyzed Collagen)と呼ばれます。
ペプチドとは、アミノ酸が2~50個ほど結合したもので、水に溶けやすく、冷えても固まることはありません。
コラーゲン→ゼラチン→コラーゲンサプリは、アミノ酸の構成はほぼ同じで、分子量が違うというイメージです。
本当に「肌ぷる」になる?ゼラチンの得意分野と限界
コラーゲンとゼラチンが同じなら、ゼラチンを飲んだり食べたりすれば、肌がぷるぷるになるのでは?と思う方もいるでしょう。
コラーゲンなどを食べると、消化器官によってアミノ酸や小さなペプチド(ジぺプチドやトリペプチドなど)に分解され、、血液によって全身へ運ばれていきます。
そのため、残念ながら食べたコラーゲンがそのまま肌のコラーゲン繊維として置き換わるわけではありません。
しかし、だからといって、コラーゲンやゼラチンを食べることが全くお肌にとって無意味・・・というわけではないようです。
最近の研究結果では、経口コラーゲン(主にコラーゲンペプチド)摂取で、肌の水分量や弾力の改善が示唆された報告があります [1]。
また、コラーゲン由来のジペプチド(Pro-Hyp)が線維芽細胞に影響し得ることを示す基礎研究もあります[2]。
つまり、食べたコラーゲンが肌のコラーゲンになるのではなく、分解され小さくなったコラーゲンが、体の材料になったり、細胞の働きに影響したりする可能性ががあるようです。
コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチド(HC)・・・何を摂るのがおすすめ?
1)最も吸収されやすいのは・・・?
先ほども述べたと通り、コラーゲン・ゼラチン・コラーゲンペプチド(HC)の3つの違いは分子量の大きさです。
分子量が小さい方が体にとって吸収されやすいため、食べたものが吸収されるか、という観点で見れば分子量の小さいコラーゲンペプチド(HC)が有利といえます。
しかし、コラーゲンやゼラチンも消化の過程で小さな分子になるため、これらが吸収されないというわけではありません。
2)最も美肌にいいのは・・・?
肌の評価に関する臨床試験は、ほとんどがコラーゲンぺプチドを用いたものです。
肌の指標(保湿・弾力・しわ等)について、ゼラチンとコラーゲンペプチドを同条件で直接比較したRCTは限られており、優劣は結論づけにくいのです。
吸収に関しては、ゼラチン・コラーゲンペプチド・低分子コラーゲンペプチドをそれぞれ経口摂取した場合の血中のPro-Hypを比較した研究があり、吸収に関しては、摂取する分子量に必ずしも依存せず、いずれも同様に確認できたという報告もあります[3]。
しかし、これは吸収に関する報告で、肌への影響を示すものではありません。
経口摂取による皮膚の指標改善はメタ解析で示唆される一方、研究差や資金提供の影響も指摘されていて、効果は『控えめ〜中等度』と捉えるのが現実的です。
そもそも、肌は個人差や生活要因(食事以外にも睡眠やスキンケア、精神状態など)の影響が大きく、単一成分による影響で改善すると言い切ることは難しいのです。
美肌を考えるなら、紫外線対策・スキンケア・睡眠、そしてバランスの良い食事(コラーゲンではなくたんぱく質全体で考える)が土台で、コラーゲンやゼラチンはサポート役と考えましょう。
3)最も続けやすいのは・・・?
肌目的で考える場合、研究でよく使われる範囲のコラーゲンの摂取量は1日大体2.5~10g程度。
料理用のゼラチンは、サプリメントのコラーゲンと比較すると、おそらくかなり安価に入手できるでしょう。
また、ゼラチンの場合、途中で飲用をストップしたとしても、料理に流用できるので、無駄になりにくいというメリットはあります。
価格差の理由は、ゼラチンはコラーゲンを部分加水分解して得る「料理素材」なのに対し、コラーゲンペプチドはゼラチンをさらに酵素などで低分子化し、飲料に溶けやすく固まりにくいよう設計された「機能性素材」だからです。
ただ、お湯にしか溶けず(しかも溶けやすいとはいえない)、冷えると固まってしまうため、毎日飲むドリンクにさっと溶かして飲む・・・という利用シーンを考えると、サプリメントタイプのものが続けやすいでしょう。
また、自然のコラーゲンを摂りたい方は、手羽先やふかひれ、牛すじや豚足などを積極的に摂るようにしましょう。
自身の好みや生活スタイルに合ったものを選んで摂取してくださいね。

コラーゲンやゼラチン摂取のポイント
実は、コラーゲンやゼラチンは、栄養の観点では、万能なたんぱく源ではありません。
必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンが欠けているため、アミノ酸スコア的にはゼロとなってしまうのです。
そのため、ゼラチンやコラーゲンを摂取する際は、トリプトファンを含んだ食材と一緒に摂るのがおすすめです。
トリプトファンは、乳製品(ヨーグルト、牛乳、チーズ)、卵、大豆食品(豆乳、きなこ、豆腐、納豆)などに含まれています。
また、コラーゲンは体内で作られるたんぱく質でもあり、その流れを考えると「ビタミンC」はとても重要です。
栄養機能食品の基準でも、ビタミンCは「皮膚や粘膜の健康維持を助ける」等の文言が示されています。[4]。
つまり、美容目的でゼラチンを使うなら、果物や野菜(キウイ、いちご、柑橘、パプリカ、ブロッコリーなど)といった、ビタミンCを含んだ食材と一緒に摂るのがマストです。
やりがち注意:逆に『損する』パターン
ゼラチン美容で起こりがちなのが「グミ」や「デザート」に偏らせてしまうこと。
ゼラチンは、お菓子やスイーツにもゼラチンは多く利用されていますが、これらには多くの糖分が使用されています。
過剰な糖分の摂取は血糖を上げ、結果としてコラーゲンの糖化(AGEs)に影響することが考えられ、美容目的とズレやすくなります。
そして、もうひとつの注意点は、ゼラチンを「主なたんぱく源の置き換え」にしてしまうこと。
トリプトファンを含む食品と組み合わせて摂取するのが前提で、ゼラチンは補助的な成分として考えましょう。
摂取時の注意
ゼラチン(とくに魚由来を含む)は、体質によってはアレルギー反応が起こり得ます。
魚ゼラチン入りマシュマロでアナフィラキシーが報告された例や、ゼラチンカプセルで重い反応が起きた症例報告もあります。
また、日本からも魚コラーゲン(グミ)でのアナフィラキシー報告があります。
魚だけでなく、牛・豚由来のゼラチンに反応する人もいるため、該当する体質の方や心配な方は医療機関にご相談ください。
さらに、コラーゲンやゼラチンは摂れば摂るほど良いというわけではなく、胃もたれ・膨満感など消化器症状が出ることもあるため、体調に合わせて量や頻度を調整しましょう。
ゼラチンは、コラーゲン由来のたんぱく質を手軽に足せる便利アイテムで、美容や健康効果が期待できる成分ではあります。
ですが、肌の見た目改善のエビデンスはコラーゲンペプチド中心、効果は控えめで研究差・資金提供の影響も示唆されています。
ぜラチンはあくまでも補助役。
食べるときは、トリプトファンを含む食品(牛乳・卵・大豆など)とセットで、ビタミンC食材も添えましょう。
ここを意識すると、一歩踏み込んだ美容・健康習慣になりますね。
参考文献
1.Pu SY, Huang YL, Pu CM, Kang YN, Hoang KD, Chen KH, et al. Effects of Oral Collagen for Skin Anti-Aging: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2023 Apr 26;15(9):2080. doi:10.3390/nu15092080.
2.Ohara H, Ichikawa S, Matsumoto H, Akiyama M, Fujimoto N, Kobayashi T, Tajima S. Collagen-derived dipeptide, proline-hydroxyproline, stimulates cell proliferation and hyaluronic acid synthesis in cultured human dermal fibroblasts. J Dermatol. 2010 Apr;37(4):330-8. doi:10.1111/j.1346-8138.2010.00827.x.
3.Iwasaki Y, Nakatogawa M, Sato Y, Shigemura Y. Quantitative analysis of cyclic prolyl-hydroxyproline in human plasma after ingestion of gelatin and gelatin hydrolysates. Functional Food Research. 2022;18:43-49.
4.厚生労働省ホームページ 影響機能食品の表示に関する基準(厚生労働省告示第九十二号) https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/1d-3.html
(アクセス日:2026.1.15)
[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ
[監修]キレイ研究室編集部



