寝つきをよくする3つのコツとは?すぐ始められる改善法を脳科学の視点からお話しします

「布団に入っているのに、なかなか眠れない」
「寝ても疲れが取れない」
そんな悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
なぜ、寝たいと思っても、眠くなっていても、寝つきが悪くなることがあるの?
株式会社脳レボ代表で上級心理カウンセラー・行動心理士の川谷潤太さまによる解説です。

どうして寝つきが悪いの?~脳波から見るメカニズム~

寝つきの悪さは、脳の状態が眠りに入る準備をできていないことが原因であることが多いです。
寝つきが悪い人の多くに共通しているのは、寝る直前まで脳が「ベータ波」の状態にあることです。
脳波には大きく分けて4つの種類があります。
1)考え事や心配事で頭がいっぱいのときに出る「ベータ波」
2)リラックスしているときに出る「アルファ波」
3)うとうとした浅い眠りの「シータ波」
4)そして深い眠りの「デルタ波」です。
スムーズに眠りに入るためには、ベータ波→アルファ波→シータ波と、段階的に脳波が下がっていく必要があります。
ところが、寝る直前までスマホを見ていたり、仕事の心配事を頭の中でグルグル考えていたりすると、脳はベータ波のまま興奮状態を維持してしまいます。
これでは脳が「まだ活動する時間だ」と判断するので、布団に入っても眠れないのは当然のことなのです。
これは「意識が内側に向いている状態」とも言えます。
「早く眠らなきゃ」
「〇〇が終わってない」
「明日が不安だ」
など、自分の内側に意識が向くほど、脳は緊張して交感神経が活発になり、ますます眠れなくなるという悪循環が生まれてしまいます。

寝つきをよくする3つのコツ

寝つきをよくするカギは、寝る前にいかに脳波をベータ波からアルファ波へ移行させるかにあります。
すぐに実践できる3つのコツをご紹介します。

【コツ1】意識を「外側」に向ける時間をつくる
布団に入ってから「明日のこと」「今日の失敗」など、頭の中であれこれ考えてしまう方は多いと思います。
これは意識が内側に向いている状態で、脳がベータ波から抜け出せない原因になります。
おすすめは、寝る前に「外側の感覚」に意識を向けること。
たとえば、布団の肌触りをじっくり感じる、自分の呼吸の音に耳を傾けるなど、五感を通じて「今この瞬間」に意識を向けるだけで、脳は自然とアルファ波に近づいていきます。

【コツ2】呼吸を「吐く」ほうを長くする
自律神経は呼吸と密接に繋がっています。
「吸う」ときに交感神経が、「吐く」ときに副交感神経が優位になります。
寝る前に、4秒かけて鼻から吸い、8秒かけて口からゆっくり吐く呼吸を数回行うだけで、副交感神経が優位になり、脳がリラックスモードに切り替わります。
特別な道具も場所も必要ありませんので、今夜からすぐに試していただけます。

【コツ3】寝る1時間前からデジタルデバイスを手放す
スマホやパソコンの画面から出るブルーライトは、脳を覚醒させるベータ波を維持させてしまいます。
また、SNSやニュースを見ていると、次々と新しい情報が入ってきて脳が休むタイミングを見失ってしまいます。
寝る1時間前にはデバイスを手放し、読書(刺激的な内容ではなく、穏やかな気持ちになれる内容のもの)やストレッチなど、脳を穏やかにする活動に切り替えることをおすすめします。
「わかっていてもやめられない」という方も多いかもしれませんが、まずは週に1日だけでも試してみてください。
翌朝の目覚めの違いを実感できるはずです。

睡眠は量より質?~良い睡眠をとるために~

寝つきが改善されたら、次に気になるのは睡眠そのものの質ではないでしょうか。
「何時間寝ればいいですか?」というご質問もよくいただきますが、私は「量も大切ですが、それ以上に質が重要です」とお答えしています。
睡眠には、脳が深く休まる「ノンレム睡眠」と、体は休んでいるが脳は活動している「レム睡眠」があり、この2つが交互に繰り返されています。
特に大切なのが、眠りはじめの最初の90分に現れる深いノンレム睡眠です。
この時間帯に脳は日中にたまった疲労を集中的に回復させるため、この「最初の90分」をいかに深く眠れるかが、睡眠全体の質を左右します。
では、この「最初の90分」を深くするために、日中からできることは何でしょうか。
ポイントは、日中に脳と体をしっかり使うことです。
まず、適度に体を動かすこと。
ウォーキングやストレッチなど軽い運動でも構いません。
体を動かすと、夜にかけて体温が自然に下がりやすくなり、深い眠りに入りやすくなると言われています。
そしてもう一つ大切なのが、日中に集中する時間をつくることです。
仕事でも趣味でも、何かに没頭して脳をしっかり使った日は、夜になると脳が「しっかり休みたい」というモードに入りやすくなります。
逆に、日中をなんとなく過ごして脳も体もあまり使わなかった日は、夜になっても深い眠りに入りにくく、浅い睡眠が続きがちです。
良い睡眠は、寝る直前だけの問題ではなく、日中の過ごし方から始まっているのです。

まとめ

寝つきの改善は、特別なことをする必要はありません。
大切なのは「脳が眠りに入る準備に整えること」。そのためにできることは、とてもシンプルです。
寝る前に意識を「外側」に向けること、呼吸を整えること、そしてデジタルデバイスから離れること。
この3つを心がけるだけで、脳は自然と眠りに向かう準備を始めてくれます。
そして、日中を充実させることが夜の睡眠の質を高める最大のコツです。
今夜からぜひ、できることから一つずつ試してみてください。

[執筆者]

川谷潤太(かわたに じゅんた)
株式会社脳レボ代表
上級心理カウンセラー

脳科学と大脳生理学の分野に精通し、アスリートや企業に向けて、自律神経の調整方法、メンタルトレーニング、集中力アップなど、具体的で実践的な手法を指導。
講演回数は累計1,500回以上、受講者は12万名を突破。
オリンピック選手を含む数多くのトップアスリートを支え、また、企業の人材育成や健康管理にも貢献している。

株式会社脳レボ
https://nourevo.co.jp/

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