[後編]つらい「かかとのひび割れ」家でできる対策はある?うるおい皮ふ科クリニック院長豊田先生に伺いました!
前編ではかかとのひび割れの原因についてお話しました。後編は家でできる対策について、うるおい皮ふ科クリニック院長で皮膚科医の豊田雅彦先生にお話を伺いました。
家であるものでできる!かかとのひび割れのケア
かかとのひび割れは繰り返すため放置するのはやめましょう。
ひび割れが進行すると「あかぎれ」を起こしてしまいます。「あかぎれ」は、ひびが進行して出血を伴ったり、ひびのある部分が炎症して赤身を帯びたり、ひびからバイ菌が入って腫れたり膿んだりしたものです。つまり、あかぎれはひび割れが悪化した状態と考えていいでしょう。
あかぎれとならないためにも、適切なケアをしてくださいね。
1)入浴や足湯でかかとの皮膚をふやけさせる
硬くなった角層を軟らかくすることでひび割れの発生や進行を防ぐことができます。また血行の改善にもつながりますので、10分程度の温浴をおすすめします。足湯を行う際は、ぬるま湯にベーキングパウダー(重曹:炭酸水素ナトリウム)を入れるのがおすすめです。弱アルカリ性を応用して角層を軟らかくしてくれます。
2)かかとの保湿
かかとの保湿は入浴直後に行うがベストタイミングです。入浴後の肌は角層に水分が補給されており、保湿剤がなじみやすくなっています。
保湿クリームを両手の手のひらで温めながら、かかとを包み込むようにマッサージをするようにクリームを塗りこんで下さい。乾燥しやすいかかとには、ワセリンやグリセリン、シアバターなどの油分が多めに配合され、テクスチャーがやや重ための保湿剤が適しています。
尿素配合の保湿クリームは角層を軟らかくすると共に、肌表面の角層を取り除く作用も期待できますが、ひび割れの部位には刺激となってしまうこともありますので、注意しましょう。
最近はかかと専用の保湿クリームも多くあります。かかと専用のクリームは、単に保湿成分が高いだけでなく、硬い角層をやわらかくする成分や、分厚い角層に浸透しやすい成分も処方されています。
ご自身に合ったものを探してみて下さい。
3)靴下を履いて乾燥を防ぐ
保湿力の高い濃厚なクリームを使うと、どうしても足裏がベタついてしまいがち。
そのため、クリームを塗った後には靴下の着用が推奨されているケースもあります。家にある普通の靴下でも保湿できますが、ガサガサがひどい場合は、保湿効果と冷え症改善が期待できる「かかとケア専用靴下」を試すのもおすすめです。
保湿クリームを塗った上からラップを巻くと、密封効果でクリームの浸透性が増します。ただしラップによる汗蒸れに注意し、長時間おこなうのは止めましょう。1時間以内でも十分な効果が得られます。
ひび割れが痛くても長時間絆創膏を貼り続けないことも大切です。長時間の絆創膏の使用で皮膚がふやけてしまい、余計にひび割れのふさがりが遅れたり、バイ菌が入っていたら閉じ込めて化膿を生じさせ、あかぎれとなってひび割れを悪化させる危険性もあります。
4)コンフォートシューズの選択
靴ずれや靴が当たっているところは摩擦により角化が進行します。かかとへの刺激や摩擦がなく、クッション性があり、きつくて足が締め付けられて血行不良にならない、履き心地が良く、サイズが合った靴を選びましょう。
5)角化型の水虫は皮膚科で治しましょう
いわゆる「かかと水虫」は、水虫の菌(白癬菌)が角層に入り込んで増殖する皮膚病です。かゆみがほとんどなく、見た目が乾燥しているようにしかみえない場合も多いので、水虫だと気がつかない人もいます。
十分に保湿や角層ケアをしてもかかとのガサガサやひび割れが治らない場合は、皮膚科専門医の診察を受けて下さい。
執筆者
豊田雅彦先生
うるおい皮ふ科クリニック院長
[経歴]
皮膚科医として、特に皮膚科の患者の中で最も多い悩みである「かゆみ」をとることをライフワークに掲げる医学博士。
「頑固なかゆみもアトピーも1分肌活で必ずよくなる:三笠書房」「新しい皮膚の教科書~医学的に正しいケアと不調改善~:池田書店」など書籍も多数執筆、好評を得ている。
現在までに2,000以上の医学論文・医学専門書を執筆。国際皮膚科学会において臨床 (2002)と研究(2004)の両部門で世界初の単独世界一を受賞。
また、国内外で年間最多250以上の講演会・学会発表・保健所指導を行う皮膚病・かゆみのスペシャリスト。
現在は千葉県松戸市にてうるおい皮ふ科クリニック(皮膚科、美容皮膚科、漢方皮膚科、アレルギー科、形成外科)を開業、院長として日々患者と向き合い、かゆみを失くすことに尽力している。
[専門医]
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医
うるおい皮ふ科クリニックホームページ
http://www.uruoihifuka.com/sp/