ポイントは摂取と消費のバランス。カロリーコントロールについてクリニック院長澤口先生にお伺いしました。

太ったかも・・・と思ったとき、摂取カロリーを制限しなきゃ!と思ってしまいますよね。
そもそも、自分がどのくらいのカロリーを摂っていて、どのくらいを抑える必要があるのか知っていますか?
今回は、カロリーコントロールについて、豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長の澤口達也先生にお話を伺いました。

カロリーについて、正しく知ろう!

「食べ過ぎてしまった」「運動不足で体重が増えてしまった」と悩んでいませんか?
カロリーコントロールダイエットは、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを意識することで、無理なく健康的な体重管理を目指す方法です。
本ガイドでは、医学的な視点からカロリーコントロールの基本原則と実践方法についてわかりやすく解説します。
カロリー(kcal)とは、食べ物から得られるエネルギーの単位です。
このエネルギーは、私たちの体が生命活動を維持するために必要不可欠です。
主要な栄養素ごとのカロリーは以下の通りです。
・炭水化物:1gあたり4kcal
・タンパク質:1gあたり4kcal
・脂質:1gあたり9kcal
最近では摂取した食品を記録することでカロリー計算をしてくれるアプリもあります。
そのようなツールを使用すると、摂取カロリーを把握することができるのでとても便利です。
無料で使用できるものも多いので、ご自身に合うものを探してみてください。

カロリー消費のメカニズム

体が消費するカロリーは、主に3つの要素で構成されています。
1:基礎代謝量
何もしていなくても消費されるエネルギー。
消費量は年齢、性別、体重、筋肉量によって異なります。
基礎代謝量は以下のミフリン-セントジョール方程式(Mifflin-StJeorEquation)を使っておおよそ算出できます。
・男性の場合:(10×体重[kg])+(6.25×身長[cm])-(5×年齢[歳])+5
・女性の場合:(10×体重[kg])+(6.25×身長[cm])-(5×年齢[歳])-161
例:30歳、体重70kg、身長175cmの男性の場合
(10×70)+(6.25×175)-(5×30)+5=約1,649kcal/日
これらの式は推定値であり、個人差(筋肉量や体組成など)によって実際の基礎代謝量は異なることがあります。
2:活動代謝
日常生活や運動によるエネルギー消費。
歩く、掃除する、運動するなどの活動が該当します。
3:食事誘発性熱産生
食事の消化・吸収・代謝過程で消費されるエネルギー。
摂取カロリーの約10%程度が使われ、特にたんぱく質はこの割合が高いことが特徴です。
プロテインなどの液体で食事を置き換えてしまうと、食事誘発性熱産生が低くなってしまいます。
そのため、カロリー摂取量を気にされている方は、なるべく固形の食品からエネルギーを摂取するようにしましょう。

上記3つを合計したものが、1日に消費する総カロリーとなります。

カロリーコントロールの基本原則

カロリーコントロールの基本は、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを理解することにあります。
このバランス次第で、体重が減るのか、維持されるのか、増加するのかが決まります。
●摂取カロリー < 消費カロリー となるとき
体がエネルギー不足となり、脂肪をエネルギー源として利用するため、体重が減少します。
減量を目指す場合は、この状態を維持することが重要です。
●摂取カロリー = 消費カロリー となるとき
エネルギーバランスが取れているため、体重は維持されます。
体重を安定させたい場合には、このバランスを保つことが理想的です。
●摂取カロリー > 消費カロリー となるとき
余分なエネルギーが体内に蓄積され、体脂肪として貯蔵されるため、体重が増加します。
筋肉量を増やしたい場合には、適度なオーバーカロリーも必要となります。

このシンプルな方程式を理解することで、自分の目標に合わせた食事と運動の調整が可能になります。
ただし、極端なカロリー制限や過剰な摂取は健康に悪影響を与えるため、バランスの取れたアプローチが重要です。
さらに重要なのは、週平均で痩せていればOKという考え方です。
体重は日々の食事内容や水分量、ホルモンバランスなどで変動します。1日ごとの結果に一喜一憂せず、1週間単位での変化を確認することが、ストレスの少ないダイエット継続のコツです。

ダイエットの実践方法

では、ダイエット実践のポイントについてご説明します。
1:目標設定
「3か月で5kg減量」など具体的な目標を立てましょう。
体重は食事やむくみの影響を受けづらい朝イチ、朝食前に測定しましょう。
2:カロリー計算
食事内容を記録し、アプリなどで摂取カロリーを可視化することが重要です。
3:バランスの取れた食事
炭水化物・タンパク質・脂質のバランスを意識し、必要な栄養素をしっかり摂取します。
カロリー比で炭水化物50%、タンパク質20%、脂質30%程度が一般的です。
4:適度な運動
筋肉量の維持や基礎代謝向上のために、ウォーキングや筋トレを取り入れましょう。
5:カロリー摂取の見直し
時間的な余裕がある場合は、普段食べているものを1週間程度記録してみましょう。
そのデータをもとに、1日平均でどのくらいのカロリーを摂取しているかをチェックします。
そして、その平均より300kcal程度少なめに目標カロリーを設定し、体重の変化を観察するのも効果的な方法です。

ダイエットを成功させるには?

極端なカロリー制限はNG
急激に極端な制限を行なうと、栄養不足や筋肉量・代謝低下、生理不順等のリスクがあります。
無理なカロリー制限は避けましょう。
継続可能な習慣づくり
短期的なダイエットではなく、日常生活の中で無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。
医師や専門家への相談
持病がある場合や大幅な減量を考えている場合は、医師や専門家に相談しましょう。
安全に減量ができる上、他者への相談も本人にとって良い意識付けになり、成功率の向上が期待できますよ。

まとめ

カロリーコントロールダイエットは、科学的根拠に基づいたシンプルで効果的な方法です。
バランスの取れた食事と適度な運動を習慣化することで、健康的な体重管理が実現できます。
焦らず、自分に合ったペースで取り組んでいきましょう。

[執筆者]

澤口達也先生

医師、医学博士。
豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック院長。
糖尿病専門医として、日々、糖尿病や肥満症、高血圧症、脂質異常症などの生活習慣病の患者さんの診療に従事し、食事指導や運動指導で数多くの方の減量を成功させている。
自身でも様々な食事療法やトレーニングを実践しており、過去にはアスリートフードマイスターや加圧トレーニングインストラクターの資格を取得。
また現在、健康スポーツ医、格闘技イベントでのリングドクターとしても活動している。

豊洲内科・糖尿病/形成・美容外科クリニック
https://sawagucci.com/

関連記事一覧