
外反母趾で痛い。足の健康を守るために知っておきたい予防策をお教えします
ヒールの靴を履いて歩くと足の親指の付け根に痛みが・・・。
でも、ヒールを履かなければいいっていうわけでもない?!
外反母趾について、メディカルフットケアアドバイザーの加藤万紀子さまにお話を伺いました。

外反母趾のメカニズム
おしゃれを楽しむ世代にとって、足元の悩みは身近な問題。
中でも「外反母趾(がいはんぼし)」は女性だけでなく、男性や若い世代にも増えているといわれます。
では、なぜ外反母趾は起こるのでしょうか。
その仕組みと、今日からできる予防法を解説します。
外反母趾とは、足の親指(母趾)の付け根の関節が内側に突き出し、親指が外側へと曲がってしまう状態を指します。
見た目の変形だけでなく、腫れや痛みを伴うことも多く、ひどくなると親指が隣の指に重なったり、関節が脱臼のような状態になったりすることもあります。
この変形の背景にあるのが「過回内(かかいない)」という足の動きです。
足のアーチ(土踏まず)がつぶれて内側に倒れ込むことで、母趾の関節に過剰な負担がかかり、少しずつ変形が進行していきます。
外反母趾は『進行性の病気』ともいわれ、初期の段階で適切なケアを始めることが非常に大切です。
外反母趾の原因
外反母趾の原因として、まず多くの人が思い浮かべるのが「ハイヒール」などの靴。
しかし、実際にはハイヒールを履かない男性や子どもにも外反母趾は見られます。
つまり、靴だけが原因ではありません。
主な要因は次の3つです。
1:過回内(足のアーチの崩れ)
足のアーチが低下し、足裏のバランスが崩れると、母趾と第二趾の間が開き、関節がねじれていきます。
これが外反母趾のきっかけになります。
2:遺伝的要因
外反母趾そのものが遺伝するわけではありませんが、「なりやすい足の骨格構造」や「関節の柔らかさ」が遺伝的に受け継がれることがあります。
3:フットウェア(靴の環境)
つま先が細く窮屈な靴や、かかとが高い靴を長時間履くことは、足の骨格に負担をかけます。
とはいえ、裸足で生活する民族にも外反母趾がみられることから、靴は『悪化要因』ではあっても『唯一の原因』ではないといえるでしょう。
特に女性は、男性に比べて関節が柔らかく、足のアーチを支える筋力が弱い傾向があるため、外反母趾を発症しやすいと考えられています。
インソールと靴選びによる予防策
外反母趾を「治す」ことは、手術以外では難しいとされています。
しかし、悪化を防ぐことは可能です。ポイントは、足のアライメント(骨格配列)を整えること。
そのために最も有効なのが、インソールと靴の見直しです。
まず、インソールは柔らかすぎるものではなく、かかと部分がしっかりと硬く、土踏まずを立体的に支える構造のものを選びましょう。
これにより、崩れたアーチを正しい位置にサポートし、歩行中の過回内を抑制します。
足のバランスを補正し、変形の進行を防ぐ有力な手段とされています。
次に靴選び。
足幅に合ったサイズで、つま先に少し余裕がある靴を選ぶことが基本です。
見た目のデザインよりも、かかとが安定しているか、足指が自由に動かせるかをチェックしましょう。
外反母趾が痛いからといって全体的に柔らかい靴やサンダルは逆にNG。
靴は骨格に合ったサイズを選び、痛みがある部分のみを広げる靴のポイントストレッチャーを使用するのも有効です。
日常的に足指や足裏の筋肉を鍛えるトレーニングを取り入れることも効果的です。
例えば、足指でタオルをつかむ「タオルギャザー」や、裸足でバランスを取る練習などは、アーチの維持に役立ちます。
痛みや変形が気になる場合は、早めに整形外科や足の専門医を受診することをおすすめします。
外反母趾は、放置してしまうと年齢とともに進行し、歩行に支障をきたすこともあります。
今のうちから、自分の足を「守る意識」を持つことが、将来の快適な歩行への第一歩です。
執筆者
加藤万紀子

2社の国内航空会社で国際線客室乗務員として勤務後、足元の不調に着目し、2020年に株式会社ユーキビスを設立。
フットケアアドバイザー・シューフィッターの資格を取得し、7500名以上にカウンセリングを実施。
現在はメディカルフットケアアドバイザーとして活動し、企業・学校・スポーツ団体で講演や骨格補正指導も行う。
渋谷FMラジオにも出演し、オーソティクスの重要性を広く発信している。
株式会社ユーキビス
https://ukibis.com/



