最近どんどん目が悪くなってる気がする・・視力を向上させる方法って何があるの?近視についていわみ眼科 岩見先生にお伺いしました。

最近はPCやスマホ、タブレットといったデジタルデバイスが身近になり、視力の低下に悩む人はますます増加する傾向にあるようです。
視力に問題があったときは、眼鏡やコンタクトの使用が一般的ですが、他にも視力を矯正したり向上させたりする方法はあるのでしょうか?
今回は、いわみ眼科 院長の岩見久司先生にお話を伺いました。

近視に対する視力向上

眼鏡もコンタクトもしたくない!
そんな潜在的需要が爆発したのが、2000年代後半でしょうか。
近視に対するレーシック手術が激増した頃です。
あれから約15年、近視の眼を我々はどうするのが良いのでしょう。
近視に対する対応方法について、眼科医が解説します。

やっぱり基本は眼鏡・コンタクト

まず近視の矯正はこれらの道具を使うのが基本です。
当たり前に感じるかも知れませんが、眼鏡を掛けて失明するようなことはありません。
言い換えると、コンタクトや手術はそういったリスクが少しだけあります。
眼鏡は曇ったり、スポーツに干渉したりと些か不便ですが、トラブルはありません。
逆に、おしゃれの一部として楽しんでおられる方もいますよね。
最近は眼鏡士という国家資格もでき、眼鏡店できちんと合わせられる場合も出てきておりますが、基本は眼科での処方です。
そうするとまた受診が面倒という方もおられるかも知れません。
度数が強くなるとレンズの厚みで重たくなる等、強度近視の方は眼鏡の使用に負担を感じておられることもあります。
コンタクトは眼科で処方されるのが基本ですが、やはりバイキンが目に入る「感染」のリスクがあるからです。
それを予防するため2ウィークのソフトコンタクトやハードコンタクトは必ず洗浄や消毒を必要とします。
ワンデータイプのソフトコンタクトは最も清潔で、きちんと1日で使い捨てにすれば感染のリスクになることはまずありえません。
ただ、昨今の物価上昇もあり、コストが高いという点はデメリットといえるでしょう。

手術で視力回復!レーシック・ICL

これらは手術的な治療にあたります。
レーシックは目の先端の透明な部分である角膜を削って薄くしてピントを変える治療です。
角膜をかなり削ってしまうので、術後はひどいドライアイとなる方もいらっしゃいます。
また長期的にみると手術後にも視力が変化してしまい、効果が減ってくることもあります。
ICLは眼の中にレンズを入れる治療であり、強度の近視にも対応できると最近注目されています。
ただ、眼内の手術になるため感染や炎症、白内障などの問題があるといわれています。
いずれにしても、眼鏡やコンタクトを使用するわずらわしさから解放されるというメリットはありますが、比較的最近おこなわれてきた治療であるため、長期成績がどうなるかもまだハッキリとはわかっていないというリスクもあります。

自力で視力アップは可能??

自力で視力アップというと、いわゆる視力回復トレーニングというものがありますが、残念ながらこれが効く人は少ないです。
近視の正体はほとんどが目が前後に伸びる眼球の変形が原因ですが、中には近くのものを見すぎてピントを司る筋肉が固まっている(調節緊張)だけの近視が混ざっている人もいます。
身に覚えのある方は、近くを見る作業は2,30分で休憩して、なるべく遠くを眺める習慣をつけましょう。
それで改善するなら調節緊張です。
オルソケラトロジーという寝る前につけるハードコンタクトによる矯正もあります。
寝ているときに目の表面を矯正することで視力は改善しますが、きちんと寝る習慣がないと視力が安定しないというデメリットがあります。

結局何がいいの? 医師から見たおすすめ

安全第一なら眼鏡一択ですね。
管理をきちんとするならその他すべての治療のうち、どれでも良いでしょう。
手術的な治療は元に戻すということはできない(ICLはレンズを抜く手術を受けることで戻る)ので、十分にメリット・デメリットを知ってから受けるべきです。
また、老眼が始まる世代であれば、手術でピントを遠くにすると今度は手元が見えないということになるので、メリットが少なくなることを知っておいてください。
眼科医は眼鏡を選ぶという俗説がありますが、コンタクトユーザーもいれば手術を受けている先生もいます。
ご自身の近視の状態と、ライフスタイルを考えてより良い選択を選べればいいですね。

「最近ものが見えにくくて困っている」
という方。
ものの見え方はQOLに大きな影響を与えますし、病気が隠れていることもあります。
いつもの視界との違いを感じたら、眼科医にぜひご相談ください。

[執筆者]

岩見久司先生
いわみ眼科院長
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動も開始。
1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁におこなっている。

大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

いわみ眼科
https://iwami-eyeclinic.com

関連記事一覧