美白化粧品で「肌が白くなる」は間違い?本来の働きと正しいケア習慣を化粧品研究員が解説

夏の終わり・・・日焼けの影響やシミが気になり始める方も多いのではないでしょうか。
「美白コスメを使えば、元の肌より白くなれる?」
「今あるシミを消せる?」
そう思っていませんか?
実は、医薬部外品における「美白ケア」とは、肌を白くすることではなく、新たなシミやそばかすを防ぐ予防的なアプローチです。
今回は、特級コスメコンシェルジュで現役化粧品開発者の船木彩夏さんに、美白ケアの本当の意味と、紫外線からシミができるまでの仕組みを分かりやすく解説していただきました。

この記事のポイント
・美白コスメの本当の役割:元の肌を白くしたりシミを消すものではなく、新たなシミ・そばかすを防ぐ予防ケア
・シミができる4つのステップ:紫外線の刺激、メラニン合成、表皮への受け渡し、ターンオーバー停滞による定着
・効果的な予防アプローチ:日焼け止めなどの紫外線対策に加え、ターンオーバーを整える保湿や生活習慣が重要

美白化粧品で肌は白くなる?薬用コスメの本当の効果とは

美白コスメというと、肌が白く明るくなるもの・・・と思われるかもしれませんが、美白化粧品は肌を白くすることを目的としたものではありません。
日本で「美白」の効能を謳えるのは、医薬部外品として承認された薬用化粧品です。
美白有効成分を承認された配合量で含み、製品として有効性や安全性、品質などの審査を受けています。
そして薬用化粧品における美白とは、主に「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」こととなります。
※一部の成分では「メラニンの蓄積を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」という独自の効能表現も認められています。
元の肌をより白くしたり、今あるシミを消したりするものではないのです。

なぜシミができるの?メラノサイトとメラニンの基礎知識

シミやそばかすの原因として、なんだか悪者のように思われがちなメラニンですが、実は紫外線から細胞を守るためにつくられる、大切な防御物質です。
しかし、強い紫外線を繰り返し浴びると、メラニンが過剰につくられたり、排出とのバランスが崩れたりして、シミや色むらとして目立ちやすくなります。
美白ケアは、気になる部分が現れてから短期間だけおこなうものというより、新たなシミ・そばかすを防ぐために続ける予防的なケアです。
夏が終わっても紫外線は降り注いでいます。
美白化粧品だけに頼らず、日焼け止めや帽子、日傘などによる紫外線対策も続けましょう。
特に、夏の肌ダメージや、気温や湿度の変化で肌が乾燥しやすくなる秋口は、保湿との両立も重要です。

紫外線からシミになるまでの4つのステップ

シミの元となるメラニン(ユウメラニン(黒色メラニン))は、表皮の基底層に存在するメラノサイトという細胞でつくられています。
紫外線を浴びてから実際にシミができるまでの仕組みを、4段階に分けて説明したいと思います。
1)メラノサイトへメラニンをつくるよう指示を出す
紫外線がお肌に当たると、さまざまな活性酸素が発生するとともに、ケラチノサイトは細胞を守るためメラニンの合成を高めようとします。
メラニンは、紫外線から細胞を守るためにつくられる防御物質です。
そのため、MSH(メラノサイト刺激ホルモン)、エンドセリンなどのさまざまな情報伝達物質を分泌して、メラノサイトへ情報を伝え、メラノサイトの増殖や活性化を促します。
2)酵素などの働きによりメラニンの合成が進む
情報伝達物質の作用を受けると、メラノサイトの内部にあるメラノソーム(袋状の細胞小器官)の中で、チロシナーゼと呼ばれる酸化酵素が活発化し、アミノ酸の一種であるチロシンに働きかけます。
チロシンがチロシナーゼの働きによってドーパを経てドーパキノン変換されることにより、メラニンの合成が始まります。
ドーパキノンはTRP-2やTRP-1というたんぱく質の働きなどを経て、ユウメラニンに合成されます。
3)メラニンが表皮細胞へ受け渡される
メラニンが合成されると、メラノソームという細胞小器官に貯蔵されます。
メラノソームがメラニンで埋め尽くされ成熟してくると(メラニン顆粒と呼ばれる、黒いラグビーボールのような見た目になります)、成熟したメラノソームは、メラノサイトの樹枝状突起の先端へ移動し、周囲のケラチノサイトに受け渡されます。
メラノソーム側にはメラノソームを移送する働きが、ケラチノサイト側にはメラノソームを取り込む働きがあります。
取り込まれたメラノソームはリソソームなどの働きにより消化を経て、小さなメラニン顆粒となって表皮に拡がっていきます。
4)排出が追いつかず、メラニンが蓄積する
通常、表皮に拡がったメラニンは、ターンオーバーによって排出されていきます。
しかし、過剰にメラニンが生成されると、通常はメラニンを取り込まない表皮基底細胞にもメラニンが取り込まれてしまいます。
メラニンを取り込んだ表皮基底細胞は、うまく細胞分裂ができなくなり、ターンオーバーに影響を与えることが報告されています。
そのため、正常時のようにターンオーバーによるメラニンの排出ができなくなり、いわゆるシミとしてメラニンがとどまってしまうのです。

シミを作らせない・定着させないための正しいケア習慣

美白化粧品が、肌を白くしたり、シミやそばかすを消したりするものではないと知って驚いた方もいるかもしれません。
メラニンがつくられる仕組みからもわかるとおり、肌の白さを保ちたい方は、まずは紫外線からお肌を守ることが重要です。
そして、つくられたメラニンがしっかりターンオーバーで排出されるよう、毎日のスキンケアや健康な細胞を作るための食事や睡眠といった生活習慣もとても重要といえます。
日々の紫外線対策、スキンケア、そしてバランスのとれた食事や生活習慣。
キレイな肌のためにも、きちんと整えていきましょう。

[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

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