「酒は百薬の長」って本当?適量ってどのくらい?上手なアルコールとの付き合い方についてお伺いしました。
「酒は百薬の長」って本当?
「酒は百薬の長」とは、出典は中国の漢書にある言葉なのですが、耳にしたことがある方は多いと思います。
一方、徒然草には「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」という一節があり、日本では「適量ならば、飲酒は健康に良い」という意味が定着しました。
お酒が好きな方はこの言葉を引用しては自分の酒癖を弁護することが多いようです。
私自身、アルコール依存症を患っていた経験があり、現在は断酒して25年経過しました。
今回は、私の経験も踏まえたうえで、アルコールとの付き合い方についてお話ししたいと思います。
休肝日という言葉の意味を考えてみよう
「休肝日」という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあると思います。
一般的には、アルコールを摂取せずに肝臓を休めるための日と理解されています。
ただ、「自分の意志で飲まないと決める日」と捉えることもできます。
アルコール依存症は、コントロールの障害とも呼ばれます。
自分で酒量をコントロールできなくなってしまう病だからです。
そしてこれが、アルコール依存症と大酒飲みの違いでもあります。
お酒を飲む量が同じであったとしても、「今夜はここまで」とか「今日は休肝日だから飲まない」のように、自制できるのであれば大酒飲みと概ね判断できます。
止められないことに不安を感じたり、毎晩酔いつぶれるまで飲んだり、休肝日と決めたにもかかわらず手が出てしまったり・・・。
このような場合は、すでに自分ではコントロール不能となっている場合があり、適切な処置が必要な可能性があります。
自分のやっていることを認められなくなり、言い訳しがちに?
依存症の特徴として、コントロールができなくなること以外にもう1点。
それは「否認」です。
例えば、ドラマなどで「俺は大酒飲みだが、アル中じゃない!」と叫ぶシーン、見たことはありませんか?
これがまさに、否認です。
自分が依存症であることを認めないことです。
例えば、こんなケースが考えられます。
・(断酒中)隠れて飲んでいることがバレても「飲んでいない」と否認する。
・(セルフチェックなどで該当する場合)「これは当てはまらない」と否認する。
・(家族が病院に行くよう勧めても)「自分は違う」と否認する。
スマホやゲームなどでも同じようなことが起こります。
長時間の使用を「もう3時間もやってるよ」と注意されたとき、
「まだ1時間しかやってない」
などと言ってなかなか認められない。
スクリーンタイムやアプリの使用時間などで証拠を見せられても「画面がついていただけ」などと言い訳して、否認する。
このように、自分の意志でやめられず、やっていることを認められなくなることが依存症の入り口に立っている状況と考えられます。
自分軸で考えてみよう
断酒に成功したA君とB君がいます。
どちらも共通の趣味として和太鼓に夢中です。
2人がそれぞれ、夢中になる理由を語っています。
断酒が継続しそうなのはA君・B君、どちらでしょう?
A君:和太鼓の演奏がうまくいくと、みんなに褒めてもらえるから
B君:和太鼓を演奏することで、充実感を得られるから
答えはB君です。
理由は「自分の軸」からの発言だからです。
自分でしっかりと考え行動することが大切なのです。
依存症は1人の努力だけで治すことは難しく、進行していく病気です。
もし、自分で対処することが難しいと感じたら、早めに周囲の信頼できる人に相談したり、場合によっては医療機関を受診したりして、1人で抱え込まないようにしましょう。
[執筆者]
佐藤城人
一般社団法人インナークリエイティブセラピスト協会 代表
心理カウンセラー・心理セラピスト・気功師範
[経歴]
過去にアルコール依存症を患った経験があり、それを克服する過程で40代に再度大学に入学、心理学と出会う。
各種依存症や愛着障害、摂食障害に悩む方、インナーチャイルドを抱える方など、これまで10年間で約5,000名様の悩みをサポート。
「答えはご本人の中にある」この言葉を信条とし、クライエント様の本当の思いや気持ちに焦点を当てサポートしている。
2019年、一般社団インナークリエイティブセラピスト協会を設立。
カウンセラー・セラピストの養成にも力を入れている。
インナークリエイティブセラピスト
https://www.in-ct.org/