美白におすすめの美容成分は?シミの元メラニンがつくられる仕組みを知って最適な製品を選びましょう

日に日に気温が低下する今、日焼けを気にするシーズンから、美白ケアが気になるシーズンになっているといえるのではないでしょうか?
巷にある美白コスメには、さまざまな美白成分が配合されています。
実は、ひと口に美白成分といっても、成分も効果もさまざま。
今回は、いま気になる、美白成分についてお話ししたいと思います。

まずは知っておこう!メラニンがつくられる仕組み


シミの元となるメラニン(ユウメラニン(黒色メラニン))は、表皮の基底層に存在するメラノサイトという細胞でつくられています。
紫外線を浴びてから実際にシミができるまでの仕組みを、4段階に分けて説明したいと思います。
1)メラノサイトへメラニンをつくるよう指示を出す
紫外線が肌に当たると、さまざまな活性酸素が発生するとともに、ケラチノサイトは細胞を守るためメラニンの合成を高めようとします。
黒褐色のメラニンは紫外線から可視光線にかけて幅広い吸収能をもっており、紫外線による体への悪影響を防ぐ役割を担っています。そのため、ケラチノサイトはMSH(メラノサイト刺激ホルモン)、エンドセリンなどのさまざまな情報伝達物質を分泌して、メラノサイトへ情報を伝え、メラノサイトの増殖や活性化を促します。
2)酵素などの働きによりメラニンの合成が進む
情報伝達物質の作用を受けると、メラノサイトの内部にあるメラノソーム(袋状の細胞小器官)の中で、チロシナーゼと呼ばれる酸化酵素が活発化し、アミノ酸の一種であるチロシンに働きかけます。
チロシンがチロシナーゼの働きによってドーパ⇒ドーパキノン変換されることにより、メラニンの合成が始まります。ドーパキノンはTRP-2やTRP-1というたんぱく質の働きなどを経て、ユウメラニンに合成されます。
3)メラニンが表皮へ拡がる
メラニンが合成されると、メラノソームという細胞小器官に貯蔵されます。
メラノソームがメラニンで埋め尽くされ成熟してくると(メラニン顆粒と呼ばれる、黒いラグビーボールのような見た目になります)、成熟したメラノソームは、メラノサイトの樹枝状突起の先端へ移動し、周囲のケラチノサイトに受け渡されます。メラノソーム側にはメラノソームを移送する働きが、ケラチノサイト側にはメラノソームを取り込む働きがあります。
取り込まれたメラノソームはリソソームなどの働きにより消化を経て、小さなメラニン顆粒となって表皮に拡がっていきます。
4)メラニンが表皮に留まり、シミへ・・・
通常、表皮に拡がったメラニンは、ターンオーバーによって排出されていきます。
しかし、過剰にメラニンが生成されると、通常はメラニンを取り込まない表皮基底細胞にもメラニンが取り込まれてしまいます。
メラニンを取り込んだ表皮基底細胞は、うまく細胞分裂ができなくなり、ターンオーバーに影響を与えることが報告されています。そのため、正常時のようにターンオーバーによるメラニンの排出ができなくなり、いわゆるシミとしてメラニンがとどまってしまうのです。

いくつ知ってる?代表的な美白成分とその働きを見てみよう


医薬部外品として認められている化粧品、いわゆる薬用コスメには、有効成分と呼ばれる、厚生労働省にその有効性が認められた成分が、厚労省が定める一定の濃度で配合されています。
つまり、薬用の美白化粧品には、メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ効果などが期待できる成分が、決められた濃度で配合されていることになります。
代表的な美白成分にはどのようなものがあり、どう作用しているのか?
簡単にご説明したいと思います。
●ビタミンC誘導体
ビタミンC=美白のイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?
種類も多く、最もメジャーな美白成分といえるでしょう。
過剰につくられたメラニンを還元するメラニン還元作用と、チロシナーゼ活性阻害という働きがあります。
●トラネキサム酸
元々は歯茎からの炎症等による出血を抑える効果(抗プラスミン作用)がある成分として知られていた成分で、歯磨き粉などにもよく配合されていました。
メラノサイトを活性化させる物質(プロスタグランジン)の生成に関わるプラスミンの分泌を抑えることで、メラノサイトの活性化を抑制する働きがあります。
●ナイアシンアミド
ビタミンB3のことで、ニコチン酸アミドとも呼ばれています。
シワ改善効果も認められたため、最近時に注目を集めている成分でもあります。
メラノソームからケラチノサイトへのメラニンの受け渡しを抑制します。
●アルブチン
ケモモ、ウワウルシ、ナシなどの植物の葉に含まれている、ハイドロキノンと糖(グルコース)が結合した誘導体です。植物内にも含まれますが、現在は合成されたものが化粧品には使用されています。
アルブチンは、ドーパとチロシナーゼの活性部位を競合しあう拮抗阻害によって、チロシナーゼの活性を阻害します。また、アルブチンには、α-アルブチンとβ-アルブチンがあり、医薬部外品の有効成分として認められているのはβ-アルブチンのみとなります。
●コウジ酸
味噌、醤油、日本酒などの醸造に使用される麹かびによってつくられる培養発酵液中に存在する成分で、麹を扱う人の手は白く美しいという話が伝わっていたところから研究され、発見されました。
コウジ酸はキレート作用を有し、チロシナーゼ活性に必要な銅イオンをキレートすることでその作用を阻害します。また、TRP-2活性抑制により、ユウメラニン(黒褐色のメラニン)の合成を阻害することも報告されています。
●エラグ酸
イチゴやリンゴ、ユーカリなどの植物に広く存在していて、ポリフェノール構造を有する成分です。
チロシナーゼの活性に必要な銅イオンを取り込む(キレート)作用により、チロシナーゼ活性を阻害します。
そのほか、抗酸化なども報告されているため、美白効果や美肌効果が広く期待できます
●プラセンタ
プラセンタは英語で胎盤のことですが、その名のとおり化粧品では主にブタの胎盤から抽出されたエキスが使用されています。
チロシナーゼ活性阻害によるメラニンの生成抑制や、ターンオーバーを促進することによるメラニン排出促進作用があります。プラセンタには抗酸化作用があることや成長因子が含まれること、保湿効果の高いアミノ酸やビタミン・ミネラルなどが含まれることから、広い美肌効果も期待されます。

美白成分は、他にも化粧品メーカーが独自で開発したものもあり、20種類ほどあります。
さまざまな美白成分は、その作用機序もさまざま。
・メラノサイトが活性化しないようにする(MSHやエンドセリンなどの情報伝達物質阻害)
・メラニンの合成を抑える(チロシナーゼやTRP-2などの活性阻害)
・つくられたメラニンがケラチノサイトに送られないようにする(メラノソームの移送抑制)
・メラニンを還元して淡色化する(メラニン還元)
・メラニンの排出を促進させる(ターンオーバーの促進)
「美白ケアをするアイテム」として考えると、配合される有効成分も重要ですが、それ以外にも使用感や香り、テクスチャーなど、さまざまな要素も重要となります。
自分の肌や期待する効果に合ったもの、自分が使って心地よいと感じる製品を選びましょう。

[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定1級

[監修]キレイ研究室編集部

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