
若いのに白髪になる原因は?予防方法について医師の峯先生にお話を伺いました。
枝毛、ツヤ、色、うねり、クセ…など、髪に関する悩みはさまざま。
ですが、一定の年齢以上になると、特に増えてくるのが「白髪」です。
どうして白髪になるの? 若いのに白髪の人は何が原因?
白髪をケアすることで、色を元に戻すことは可能??
今回は、浅草橋西口クリニックMo副院長の峯陽子先生にお話を伺いました。
白髪のメカニズム
髪の色が何によって決まるかご存知ですか?
髪の色は、毛根にある「色素細胞(メラノサイト)」で作られる「メラニン色素」によって決まります。
髪が成長する過程で、このメラニン色素が髪に取り込まれることで、髪は黒や茶色になります。
白髪になるのは、この色素細胞の働きが低下したり、数が減少したりすることで、メラニン色素が十分に作られなくなるためです。
メラニン色素が失われた髪は光を反射して白く見えます。
白髪化の過程にはいくつか段階があると考えられており、
1:色素細胞の機能が低下している状態
2:機能が停止している状態
3:色素細胞そのものが枯渇している状態
などがあります。
機能が低下している段階であれば、再びメラニン色素を作るようになる可能性も指摘されています。
また、白髪のメカニズムは頭髪以外の全身の体毛に関しても同様です。
白髪になり始める時期や進行のスピードは、差があるものの、体毛も白髪になる可能性があります。
白髪の主な原因
年を取ると白髪になると思っている方は多いと思いますが、実は白髪になる原因はひとつではありません。
白髪の主な原因としては、以下の要因が考えられています。
1)加齢
年齢とともに体の機能は自然と低下します。
色素細胞の働きも例外ではなく、加齢に伴いメラニン色素を生成する能力が衰え、白髪が増加します。
個人差がありますが、日本人では一般的に35歳前後から白髪が目立ち始める人が多いとされています。
2)遺伝
白髪になりやすいかどうかは遺伝的な要因も大きく関わっています。
特に「若白髪」は、遺伝的要素が強いと考えられています。
3)ストレス
過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、血行不良や活性酸素の増加を招く可能性があります。
これにより、色素細胞の機能が低下し、白髪の原因となることがあります。
ストレスによって色素幹細胞が枯渇するという研究報告もあります。
4)栄養不足
健康な髪の成長やメラニン色素の生成には、タンパク質、ミネラル(亜鉛、鉄分、銅など)、ビタミン類が不可欠です。偏った食事や無理なダイエットによりこれらの栄養素が不足すると、白髪が増えやすくなります。
5)血行不良
頭皮の血行が悪くなると、髪の成長や色素細胞の働きに必要な栄養や酸素が十分に届かなくなります。
運動不足、睡眠不足、喫煙、長時間のPC・スマートフォン使用などが血行不良の原因となり得ます。
6)睡眠不足
睡眠中に多く分泌される成長ホルモンは、体のメンテナンスや細胞の修復に重要な役割を果たします。
睡眠不足が続くとこれらの機能が滞り、白髪の原因となることがあります。
7)紫外線
頭皮が紫外線を浴びることで活性酸素が発生し、色素細胞にダメージを与える可能性があります。
上記のように、さまざまな要因があり、白髪になると考えられています。
遺伝やストレス、生活習慣が白髪の原因になると考えると、白髪の量には個人差があるといえます。
白髪の予防方法
白髪を完全に防ぐことは難しい場合もありますが、進行を遅らせたり、改善させたりするために以下の方法が有効と考えられています。
1)バランスの取れた食事
髪の健康に必要なタンパク質、ミネラル(特に亜鉛、銅)、ビタミン類を積極的に摂取しましょう。
肉、魚、卵、大豆製品、海藻類、緑黄色野菜などをバランスよく食事に取り入れることが重要です。
特にメラニン生成に関わるミネラルやビタミンB12、そして抗酸化作用のあるビタミンCやEを含む食品が推奨されます。
体を温める根菜類や、昔から髪に良いとされる黒ごま、黒豆などの「黒い食べ物」も良いとされています。
2)質の良い睡眠を十分にとる
髪の成長や体の修復が行われる睡眠時間を確保しましょう。
特に、成長ホルモンが多く分泌されるとされる22時から深夜2時の間に熟睡できるよう、生活リズムを整えることが理想的です。
3)適度な運動
適度な運動は全身の血行を促進し、頭皮への栄養供給を改善します。
ストレス解消にもつながります。
4)ストレスを溜め込まない工夫
ストレスは白髪の大きな要因の一つです。
自分に合った方法でストレスを解消する時間を作りましょう。
趣味やリラクゼーション、十分な休息などが有効です。
5)頭皮ケア
・正しいシャンプー
頭皮を清潔に保ち、血行を促進するために、刺激の少ないシャンプーを選び、優しく丁寧に洗いましょう。
熱すぎるお湯は頭皮に必要な皮脂を取りすぎてしまうため、ぬるま湯を使用します。
・頭皮マッサージ:
頭皮マッサージは血行を促進し、毛根への栄養供給を助けます。
シャンプー中や入浴後などに指の腹を使って心地よい力加減で行いましょう。
・紫外線対策
頭皮も顔や体と同様に紫外線の影響を受けます。
帽子をかぶったり、UVカット効果のあるヘアケア製品を使用したりして対策しましょう。
6)禁煙
喫煙は血管を収縮させ血行を悪化させるため、髪の健康にも悪影響を与えます。
白髪予防のためにも禁煙が推奨されます。
白髪の原因や進行には個人差があります。
これらの予防方法を日常生活に取り入れ、健やかな髪を保つことを目指しましょう。
[執筆者]
峯陽子先生
大学病院にて乳癌診療に携わる一方、浅草橋西口クリニックMoでは内科、皮膚科の診療を行い、地域医療に従事。
幅広い臨床経験に加え、美容と健康に関する深い知識も有しており、多角的な視点から皆様の健やかな生活をサポートしている。
浅草橋西口クリニックMo
https://asakusabashi-mo.jp/