ニキビにはノンコメドジェニックテストがいいって本当?化粧品の安全性試験についてお教えします。

化粧品に表示されていることのある
「アレルギーテスト済」
「ノンコメドジェニックテスト済」
「スティンギングテスト済」
などという言葉を見たことはありますか?
敏感肌や肌が弱いことに悩まれている方、化粧品トラブルを起こしやすい方は、表記をチェックして、「済」とあるものを選択されているかもしれません。
ですが、これらが一体何をテストしていて、何を意味しているのか知っていますか?
今回は、化粧品の安全性に関わる試験について解説します!

これがあればアレルギーがあっても平気?!アレルギーテストとは??

ヒトを対象におこなう化粧品におけるアレルギー性試験として、代表的なものにRIPT(Repeated Insult Patch Test)があります。
累積刺激性・感作性試験ともよばれている試験で、試験の対象(ここでは化粧品や原料)を含ませたパッチ(絆創膏のようなイメージ)をテスターの肌に貼り付けてその刺激性を確認します。
Repeatedとあるとおり、繰り返し(通常は10回前後)おこない、10~20日程度の休息時間を経て、再度パッチを貼り付け、肌の反応を確認します。
実際の化粧品を用いてヒトの肌で時間をかけておこなう試験といえます。
この結果、紅斑や湿疹などの症状が見られず陰性となれば、製品に「アレルギーテスト済み」などの掲載が可能になります。

ニキビに悩む人向けって本当?ノンコメドジェニックテストとは??

ニキビに悩む方は「ノンコメドジェニックテスト済み」とある化粧品がおすすめ、などの記載を見たことがある方もいるかもしれません。
コメドとは、面皰とも呼ばれるニキビができる第一段階のようなもの。
皮脂腺が詰まった状態を指します。
こちらもRIPT同様、化粧品を皮脂が多くコメドができやすいヒトの背中の肌に複数回塗布し、毛包内部を観察し、詰まっていないか(コメドができていないか)を確認するテストです。
このテストでコメドが確認されなければ「ノンコメドジェニックテスト済み」などの記載が可能になります。
毛穴に詰まりにくく、ニキビの元ができにくい化粧品といえますので、皮脂が多い方やニキビ・毛穴の詰まりに悩みがある方は、「ノンコメドジェニックテスト済み」の表記のあるものを選ぶというのもおすすめです。
ただし、あくまでも「コメドができにくい」ということであって、「ニキビを治す」というわけではありませんので、ご注意ください。

刺激を確認?スティンギングテストって??

化粧品を使用して、肌荒れる・赤くなる、吹き出物が出る・・・などの肌トラブルが起こるほどではないですが、「ひりつき(ヒリヒリ感)」「かゆみ」「ほてり」といった刺激を感じたことはありませんか?
このような不快な感覚刺激(スティンギング)を確認するためのテストをスティンギングテストといいます。
皮膚への刺激・・・ということで、最初にお話ししたアレルギーテストと近いのでは?と思われるかもしれません。
ですが、アレルギーテストが専門家によって肌の状態を客観的に評価するのに対し、スティンギングテストでは被験者自身の感覚に基づいて判断がおこなわれます。
つまり、主観的な評価が中心です。
対象となるのは、炎症などによって起こる肌トラブルではなく、化粧品を肌にのせたときに感じる違和感や一時的な刺激感。
そのため、敏感肌用や乳幼児向けの製品などで実施されることが多いテストです。
試験では、「スティンガー」と呼ばれる、刺激を感じやすい方(いわゆる敏感肌の方)の頬や鼻唇部など刺激を感じやすい部位に化粧品を塗布し、その刺激感をスコア化して評価します。
試験をクリアすれば、「スティンギングテスト済み」「皮膚刺激性テスト済み」などの表記が可能になります。

全員に起こらないとは限らない!デメリット表示もルールです

このような説明を聞けば
「アレルギーテスト済み」→アレルギー反応がおこらない
「ノンコメドジェニックテスト済み」→ニキビができない
「スティンギングテスト済み」→皮膚刺激がない
化粧品なんだ・・・と思われるかもしれません。
ですが、テストをした結果というだけで、必ずこれらの反応が起こらないことを保証するものではありません。
そのため、これら「テスト済み」と表記する際には、
・「全ての方にアレルギーが起こらないということではありません。」
・「全ての方にコメド(ニキビのもと)が発生しないということではありません。」
・「全ての方に皮膚刺激が発生しないということではありません。」
のような、デメリット表示も併せて記載することが日本化粧品工業連合会によって決められています。
これらの試験は、化粧品の高い安全性を確認するための試験ではありますが、「安全です!」と保証するものではないですし、テストを実施されていないからといって反応が起こるというわけでもありません。

「肌トラブルが起こりやすいから・・・」
「ニキビができやすいから・・・」
「刺激を感じやすいから・・・」
といった悩みがある場合、自分の肌に合った化粧品を選ぶための要素のひとつとして、チェックしてみてくださいね。

[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

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