紫外線は避けたいけどビタミンDは不足させたくない!そんな時は食事からの摂取を意識しよう!

前回、ビタミンDの摂取量について、実際の摂取量が目安量をクリアしているのに、不足しているといわれる所以は日光浴によるビタミンDの産生が考慮されていないため、というお話しをさせていただきました。

日焼け止めや日傘、長袖、手袋などを駆使して、紫外線防御に力を入れている方や、紫外線を浴びることができない方にとっては、目安量をクリアする量を摂取していても、ビタミンDは少し不足してしまいます。

今回は、食事から摂るビタミンDについてお話ししたいと思います。

 

ビタミンDは、食事から摂っても同じ??

 

そもそも、日光浴で産生されるビタミンDと、食事から摂るビタミンDに違いはあるのでしょうか?

ビタミンDには、D₂~D₇まで、全部で6種類あります(ビタミンD₁は、D₂を主成分とする混合物に間違ってつけられた名称なので、現在は使用されていません)。

私たちの健康にとって重要となるのは植物由来のD₂(エルゴカルシフェロール)と、動物由来のD₃(コレカルシフェロール)になります。

紫外線を浴びることにより、皮膚で合成されるのは、ビタミンD₃です。

皮膚中のコレステロール(7-デヒドロコレステロール)が紫外線照射を受けてプレビタミンD₃となり、さらに体温により変化してビタミンD₃となります。

ビタミンD₂とD₃は、ほぼ同等の分子量で、ほぼ同等の効力があるとされ、摂取基準としては両者を区別することなく、ビタミンDとして数値が設定されています。

つまり、植物由来のビタミンD₂も、動物由来のビタミンD₃も、皮膚中でつくられるビタミンD₃も、同じ基準で考えることができるのです。

では、食事でビタミンDを摂りたい場合は、どのような食材を食べればよいのでしょうか?

 

ビタミンDが含まれる食材とは??

 

ビタミンDが含まれる食材は、きのこ類・魚類・肉類・卵類と限られ、あとは牛乳に0.3μg/100g含まれているくらいです。

普段よく食べている野菜や穀物、芋類などにはほぼ含まれていません。

食材 μg/100g
きのこ類 きくらげ(乾燥)
きくらげ(ゆで)
85.4
8.8
しいたけ(乾燥)
しいたけ
12.7
0.4
まいたけ 4.9
えのきたけ 0.9
ぶなしめじ 0.6
魚類 あんきも 110.0
しらす干し(半乾燥品) 61.0
いくら 44.0
紅鮭 33.0
まいわし 32.0
かつお 22.0
うなぎ 18.0
肉類 牛肉 リブロース 2.2
豚肉 かた 1.2
牛肉 もも 0.9
ラム肉 かた 0.9
豚肉 ロース 0.7
豚肉 ばら 0.6
卵類 うずら卵 2.5
鶏卵 1.8
鶏卵 卵黄 5.9

ビタミンDは、含まれている食品群と含まれていない食品群がはっきり分かれているので、きのこ全般が苦手、魚はあまり食べないなど、食事が偏りがちな方は不足する可能性があるので、意識して食べるようにしましょう。

また、ビタミンDはカルシウムの吸収効率をアップさせるので、一緒に摂るのがおすすめ。

カルシウムは、チーズ、干しエビ、ごま、小松菜、油揚げなどに多く含まれますが、しらす干しだとカルシウムもビタミンDも豊富に含まれているので一石二鳥な食材ですね。

 

不足に注意、でも摂り過ぎにも注意!!

 

少しの日光浴でビタミンDが産生される夏場とは異なり、日照時間が少なくなるうえ肌を隠しがちな冬季は、ビタミンDの不足が懸念されるため、食事から積極的に摂取しましょう。

高齢になると、皮膚での産生量が減少するため、高齢者の方は特に気を付けたいですね。

実は、ビタミンDの不足が一番懸念されているのは母乳で育てられている乳幼児です。

母乳にはいい面もたくさんありますが、粉ミルクよりもビタミンDの含有量が少なく、くる病の罹患率は母乳で育てている方がかなり多いという報告もあります。

最近は、母子手帳からも日光浴の項目が削除され、紫外線対策をされているお母さんも多いと思います。

肌が完全に育っていない赤ちゃんのお肌を守ることはとても大切ですが、日差しが強くない時間帯には、日焼け止めを塗らず、直射日光に当てずに、適度に日光浴をするように心がけましょう。

ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、過剰摂取により、血管壁や臓器にカルシウムが沈着し、嘔吐や下痢、脱水症状、腎障害などを起こすことがあります。

成人の耐容上限量は100μgとなっており、通常の食事で超えることはあまりないと思いますが、きくらげやあんきもの食べ過ぎには気を付けましょう!

マルチビタミンなどのサプリメントを摂取されている方は、注意が必要です。

また、皮膚で合成されるビタミンDについては、日光を浴びれば浴びるほど生成されるわけではなく、きちんと調整されるので、過剰につくられる心配はありません。

 

骨の形成に重要で、骨粗鬆症の予防としても注目が集まるビタミンDですが、最近は免疫やがんの罹患率、うつ病に対する効果も期待され、さまざまな研究がおこなわれています。

花粉症やインフルエンザに対する効果も報告されており、私たちの健康にとって、非常に重要なビタミンなのです。

欧米ではサンシャインビタミンとも呼ばれるビタミンD。

日光と上手に付き合うことと、食事からの摂取、上手にバランスを取ってしっかり摂りたいですね!

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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