
冬の肌トラブル別、化粧品開発者おすすめ成分を紹介します!
乾燥が気になる季節。
さまざまなケアアイテムが市場にはあふれていて、何をどう選ぶべきか迷いますよね。
どんな成分が冬の乾燥肌に効果的なの?
現役化粧品メーカー研究員で特級コスメコンシェルジュでもある船木さんの解説です。

冬の肌はどうしてトラブルが増えるの?
冬は乾燥やかゆみといった肌トラブルが増えがち。
何故トラブルが起こってしまうのでしょうか?
1)湿度の低下
冬は相対湿度だけでなく、気温が下がるため絶対湿度が急落します。
そのため、お肌に含まれている水分が奪われやすくなっています。
空気の乾燥が進む冬は、最も水分蒸散量(TEWL)が増える季節。
夏と比較すると、蒸散量は1.5~2倍になるといわれています。
2)皮脂分泌量の減少
気温が下がると、皮脂腺の活動が低下し、皮脂分泌量が減少します。
夏(30℃前後)と比較すると、冬(5~10℃)は皮脂の分泌量が1/3~1/5程度まで減ってしまいます。
結果、皮脂による天然保護力が低下し、刺激に敏感になったり、乾燥したりといったトラブルが起こりやすくなります。
3)血流低下によるターンオーバーの乱れ
寒くなると、体は熱を逃さないよう、血管が収縮します。
すると、肌を構成する細胞への酸素や栄養供給が減少し、ターンオーバーに乱れが生じます。
すると、肌のくすみやごわつきが気になったり、リカバリー力が低下しトラブルが治りにくくなったりしてしまいます。
4)冬にやってしまいがちな小さな行動が肌へ大ダメージ
冬に私たちが何気なく行っていることが、実は肌にとって大きな負担になります。
・熱いお湯での入浴
・長時間暖房を使用する
・忘年会やクリスマス会などでの暴飲暴食、寝不足など
・屋外と屋内の急激な気温差
・マフラーやハイネックの服などによる衣類との擦れ
これらはすべて肌にとって負担となり、ダメージを負った肌は、微弱炎症を引き起こしてしまいます。
冬の肌を救う成分5つ!肌悩みに合わせて選んでくださいね
冬の乾燥や肌トラブルは仕方ない・・・とあきらめるわけにはいきませんよね。
冬のデリケートな肌におすすめな成分をご紹介します。
1.ナイアシンアミド
ビタミンB3、ニコチン酸アミドともいわれる成分です。
美白効果やシワ改善効果があることでもおなじみの成分ですが、抗炎症効果も報告された成分です。
さらに、ナイアシンアミドには角層内の脂質(セラミド・脂肪酸・コレステロールの三大脂質)を増加させることが報告されており、バリア機能の修復効果も期待できます。
2.ヒト型セラミド
以前はセラミド3など数字で表記されていましたが、現在ではINCIに合わせ、NPなどアルファベット表記に変更されています。
セラミドは、種類によって少しずつ働きが異なります。
それぞれの働きや皮膚に存在する量などを鑑みると、冬のケアにおすすめなのはセラミドNP(セラミド3)、セラミドAP(セラミド6)、セラミドNS(セラミド2)など。
セラミドは、ラメラ構造を構築する成分で、バリア機能の維持にとても重要な成分です。
肌の水分が蒸散しがちなこの季節には、特に重要な成分です。
3.グリセリン
保湿成分の中でも特に使用頻度が高いグリセリン。
シンプルながら高い保湿力を持ち、多くの化粧品に採用されています。
コスメ好きにとっては当たり前すぎる存在かもしれませんが、この時季も外せない重要な保湿成分なのです。
グリセリンは角層の水分を保持する力が高く、空気中の湿度が下がっても影響を受けにくい性質を持ちます。
そのため、空気中の乾燥が進む冬でも、頼れる保湿成分といえます。
また、グリセリンは角層のNMFの一部として、元々私たちの体内に存在する生体保湿成分のひとつ。
肌なじみが良く、安全性も高いことが特徴です。
ただ、油分を全く含まないので、冬場はグリセリン+油分(クリームや乳液)のセット使用がおすすめ。
水分と油分のバランスが整うことで、お肌のうるおいを保持することができます。
4.スクワラン
冬に減少してしまう、皮脂の代替としておすすめのオイルです。
スクワランは、皮脂に10~15%ほど含まれるスクワレンを安定化させたオイルで、皮脂に近く肌なじみの良いオイル。
スクワレンは酸化しやすく、毛穴に詰まったり、炎症や黒ずみの原因となったりすることがありますが、スクワランは酸化しないため、多くの化粧品に使用されているオイルでもあります。
保湿後の肌を保護するために、取り入れたい成分のひとつです。
5.尿素
成分名に含まれる『尿』・・・という文字のインパクトが強すぎて、果たして顔に塗布していいのか悩んでしまう成分ですよね。
名前の由来のとおり、実際に、はじめて発見された際には、尿から抽出されている成分でもあります。
もちろん現在の尿素は合成されたもので、衛生面やにおいを心配する必要はありません。
尿素は、NMFに含まれる成分で、高い保湿効果と、角層を柔らかくする効果が期待される成分です。
そのため、悪化した手荒れや、ガサガサになったかかとのケアなどにも良く使用されています。
乾燥して硬くなってしまった肌のケアにおすすめの成分です。
手足のケア成分のイメージが強い尿素ですが、顔用では低濃度で使われるため、刺激性も抑えられています。
悩み別おすすめ成分
上記でご紹介した成分は、どんな肌悩みのときにおすすめ?
肌悩み毎にご紹介します。
[乾燥・粉ふき]
グリセリン・セラミド全般・尿素
[赤み・ヒリヒリ感]
ナイアシンアミド・スクワラン
[ごわつき]
尿素・セラミドAP
[バリア機能の低下]
ナイアシンアミド・セラミドNP
肌悩みに合わせて、組み合わせるのもおすすめ。
化粧品選びの参考になれば幸いです。
自身の肌状態を見ながら選んでみてくださいね。
冬は肌にとっては厳しい季節。
肌トラブルが起こる原因を知った上での対策と、冬の肌におすすめの成分で、しっかりケアしてあげてくださいね。
[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員
[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」
<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ
[監修]キレイ研究室編集部



