
更年期と季節の変化って関係あるの?クリニック院長の中澤先生に伺いました
せっかく暦の上でも春になったのに、なぜか不調・・・何が原因なの?
季節の変化と更年期の関係って??
なかざわ腎泌尿器科クリニック院長の中澤佑介先生による解説です。

更年期っていつから?まずは基礎知識
更年期は「閉経(12か月以上月経がない状態)をはさむ前後約5年、計10年」の時期のこと。
日本人の平均的な閉経年齢は約50.5歳で、一般的には45〜55歳頃が該当します。
更年期には、ホルモンの揺らぎに心理的・社会的要因が重なることで、多彩な症状が出ます。
治療や対応はガイドラインに基づき、生活支障があれば医療機関での評価が推奨されています。
春に不調が目立つ理由:環境変化+生理学的要因
春は寒暖差・気圧の変化、新年度の生活変化が重なり自律神経が乱れやすい季節。
研究では、気圧が標準(1013hPa)から6~10hPa下がる時に片頭痛が増えるといった報告があり、気象変化が症状のトリガーになりうることが示されています。
一方で、季節差と片頭痛発症の関連は明確でないという大規模データもあり、気圧と体調に関しては個人差が大きい点に注意が必要です。
また、閉経移行期のほてり・寝汗・睡眠の不調には季節的ピークが見られます。
季節の最小時に比べピーク時のオッズがそれぞれほてり66%・寝汗50%%・睡眠24%高かったと報告されています。
症状別:春に増えやすい『あるある』と対処
この時期に増えやすい症状と、その対処法についてお話したいと思います。
だるさ・頭痛・めまい
こまめな体温調整(重ね着)、朝の光曝露・軽い有酸素運動で体内時計を整える。
片頭痛持ちの方は「低気圧の前兆」に気づけるよう頭痛日誌アプリ等で気圧×症状を記録しておくとよいでしょう。
必要に応じて、予防薬・頓挫薬の使用を医師と検討できます。
気象との関連は人により差があるため、自分のパターンを把握することが鍵です。
ホットフラッシュ・寝汗と睡眠の質
第一選択治療はホルモン補充療法(HRT)で、血管運動神経症状(ほてり等)に最も有効。
開始年齢や閉経からの年数、リスクを専門医と共有して個別判断します。
非ホルモン薬(例:低用量パロキセチン、フェゾリネタントなど)も選択肢。
エビデンスに基づき処方薬で対応可能です。
生活面では、カフェインは就寝6時間前以降を控える、就床1-2時間前のぬるめ入浴、寝室の温湿度管理など睡眠衛生を整えるのが基本です。
イライラ・不安・落ち込み
更年期の情動症状はホルモン変化と心理社会的要因が絡み合います。
症状が持続・強い場合は医療機関で評価を。うつ病が疑われれば専門的治療(心理療法/薬物療法)を検討します。
夜のスクリーン時間を減らし、日中の活動量と日光曝露を増やすことは睡眠・気分双方に有益です。
むくみ・冷え・関節のこわばり
体を冷やさない服装・入浴、ふくらはぎのポンプ運動やウォーキングで循環を促す。
塩分過多に注意。
症状が一側性で強い、息切れを伴うなど危険サインがあれば受診の検討を。
「更年期だと思ったら別の病気」見分けと受診の目安
更年期の症状だから・・・と思っていたら、別の病気が原因だということもあります。
すぐ受診・救急相談のサイン
・胸痛や圧迫感、冷汗、呼吸困難を伴う動悸/
・めまい・失神を伴う動悸
・安静時心拍数が持続的に100/分超または50/分未満など
循環器疾患も鑑別が必要です。
日本循環器学会の不整脈ガイドラインでも、致死性不整脈を見逃さない評価が重要とされています。
・夜間の激しいいびき・無呼吸の指摘と動悸が併存する場合
睡眠時無呼吸症候群や心房細動のスクリーニングを。
婦人科で相談したいこと(初診の持ち物)
月経状況、症状の出方・頻度(日誌が有用)、既往歴・家族歴、使用中薬剤・サプリ。
必要に応じてFSH・エストロゲン、甲状腺、貧血などの検査、心電図等を組み合わせて評価します。
おすすめの漢方やサプリメントってあるの?
漢方は「有効例はあるがエビデンスの質は限定的」という扱いで、ガイドラインでは補完的に位置づけられます。
独自判断で長期使用するより、医師と適応・効果判定・副作用を確認しながら使用することが大切です。
サプリメントなど、特定商品の宣伝は推奨されません。
まとめ:春は『整える力』を底上げするチャンス
春の環境変化は更年期症状を揺らしがち。
睡眠衛生・体温調整・軽運動で土台を整え、生活支障や危険サインがあれば早めに受診を。
HRTはほてり・寝汗に最も有効で、非ホルモン薬も選択肢。あなたに合う治療を、日本産科婦人科学会やNorth American Menopause Society (NAMS)の推奨を参考に、主治医と一緒に選びましょう。
主要参考文献
更年期の診療指針:産婦人科診療ガイドライン‐婦人科外来編2023(CQ407/408/411/412)。(minds.jcqhc.or.jp)
HRT/非ホルモン療法:NAMS 2022 HRT声明、2023 非ホルモン療法声明。(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
季節・気象と症状:気圧変動と片頭痛(Okuma 2015、Kimoto 2011)、更年期症状の季節変動(Harlow 2020)。(pmc.ncbi.nlm.nih.gov)
睡眠衛生:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」。(mhlw.go.jp)
危険サイン・鑑別:日本循環器学会 不整脈ガイドライン(評価の重要性)。(j-circ.or.jp)
(本記事は「春の体調不良と更年期に関する記事」の募集要項に沿って作成しました。)
執筆・監修:泌尿器科専門医/糖尿病専門医(エビデンスに基づき作成)
執筆者

中澤佑介(なかざわ ゆうすけ)先生
金沢医科大学医学部医学科卒業。
「患者さんに近い立場で専門的医療を提供したい」という思いで2021年、なかざわ腎泌尿器科クリニックを開設。
2024年9月、JR金沢駅前に金沢駅前内科・糖尿病クリニック(https://kanazawa-naika.jp/)を開院。
なかざわ腎泌尿器科クリニック
https://www.nakazawa-cl.jp/



