洗顔後はタオルよりペーパーがいいって本当?コスメコンシェルジュの視点から解説します

「洗顔後にはタオルじゃなくてペーパーを使うのが美肌の秘訣!」
SNSなどでこんなフレーズを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
フェイス用ペーパーもたくさん販売されていますが、本当に効果があるの?
現役化粧品メーカー研究員で特級コスメコンシェルジュでもある船木彩夏さんの解説です。

ペーパーで期待できるのは「清潔に使いやすい」こと

洗顔後にペーパーを使うメリットとして、まず考えられるのは「毎回新しいものを使える」という点です。
タオルは一度使うと水分を含みます。
湿ったまま洗面所や浴室に置いておくと、乾きにくく、清潔な状態を保ちにくいことがあります。
また、家族で同じタオルを共有している場合や、何度も使い回している場合は、衛生面が気になることもあるでしょう。
黄色ブドウ球菌を付着させた綿タオルの研究では、条件によってタオル上に菌が残る可能性が示唆されています[1]。
これは「タオルを使うと必ず肌トラブルが起きる」という意味ではありませんが、タオルが微生物の移行に関わる可能性は考えられます。
タオルを清潔に保つ方法として、洗濯や乾燥に加え、必要に応じて漂白剤を使用することも選択肢のひとつです。
前述の試験では、漂白剤を用いた洗浄が、水洗いや洗剤洗いよりも菌の残存を減らす効果が高いことが示されています[1]。
そのため、毎回漂白剤を使用した洗濯をするという方法も衛生面ではよいといえますが、タオルが傷んでしまったり、手間が増えてしまったりする可能性も考えられます。
その点、使い捨てのペーパーは、毎回新しいものを使えるため、タオルの洗濯や管理が面倒な方にとっては、手軽に使用できる点はメリットです。
実際に、手洗い後の乾燥方法に関するレビューでは、ペーパータオルは手を効率よく乾かし、細菌を減らしやすい方法のひとつとされています[2]。
ただ、これはあくまで手指衛生に関する研究です。
顔の美容効果を直接示すものではありませんが、「清潔な方法で、肌表面の余分な水分を取ることができる」という意味では参考になりますね。

ニキビにいい?影響は「限定的」と考えるのが現実的

ペーパー美容でよく聞かれるのが、「ニキビにいい」という説明です。
確かに、湿ったタオルを何度も使い回したり、ゴシゴシこすったりすることは、ニキビが気になる肌にとって好ましいとはいえません。
ただし、ニキビは単純に「外部からの雑菌の付着によりできるもの」ではありません。
ニキビは、皮脂分泌、毛穴の出口の角化異常、アクネ菌などと呼ばれる皮膚常在菌の関与、炎症などが複雑に関係して起こる毛包脂腺系の疾患とされています[3]。
そのため、
・タオルの雑菌がニキビの主な原因
・ペーパーに替えればニキビが治る
と考えてしまうのは、少し飛躍しすぎといえます。
ペーパーに替えることで期待できるのは、ニキビそのものを治すことではなく、不衛生なタオルの使い回しといった、悪化要因になりうるものを減らすことです。
つまり、ニキビ対策としては、ペーパーは治療ではなく、あくまでスキンケア環境を整える工夫のひとつと考えるのがよいでしょう。
ニキビが繰り返しできる、赤みや炎症が強い、跡が残りやすいという場合は、拭き方だけで解決しようとせず、皮膚科で相談することが大切です。

大切なのは「何で拭くか」より「どう拭くか」

洗顔後の肌にとって重要なのは、拭くのに適しているのはタオルかペーパーかを考えることではありません。
それ以上に大切なのが、「こすらないこと」です。
米国皮膚科学会は、洗顔時には指先でやさしく洗い、タオルやスポンジなどでこすらないこと、洗顔後はやわらかいタオルで軽く押さえるように乾かすことをすすめています[4]。
摩擦による刺激は、肌への負担となることが考えられます。
これはペーパーを使う場合も同じです。
せっかく使い捨ての清潔なペーパーを選んでも、硬いペーパーでゴシゴシこすってしまえば、肌への負担になる可能性があります。
特にキッチンペーパーや硬いティッシュなどは、顔用としてつくられていないため、これらを使用してゴシゴシ拭いてしまっては本末転倒です。
使う場合は、肌あたりがやわらかく、繊維が残りにくいものを選び、押さえるように水分を取りましょう。
タオルを使う場合も、顔専用の清潔なタオルを用意し(家族間で使うのではなく、個人のものを用意するのがおすすめ)、使った後はしっかり乾かす、こまめに洗濯する(たまには漂白剤を使用する)などの工夫で、十分に対応ができると考えられます。
ただし、漂白剤を使う場合は、タオルの洗濯表示や漂白剤の使用方法を確認し、きちんとすすぐことを忘れずに。

濡れたまま放置はダメ?

顔を拭くにもいろいろ考えるのは面倒・・・濡れたまま放置しちゃいたい、と考える方もいるでしょう。
濡れたまま放置することが、絶対にNGとは言いませんが、自然乾燥に任せると、肌の表面の水分が蒸発する過程で乾燥を感じやすくなる方もいます。
そのため、洗顔後は清潔なタオルやペーパーで軽く水分を押さえ、その後、肌状態に合わせて保湿ケアを行うのがおすすめです。
米国皮膚科学会でも、洗顔後はやわらかいタオルで軽く乾かし、乾燥やかゆみがある場合は保湿剤を使うことがすすめられています[4]。

まとめ

洗顔後にペーパーを使うことは、清潔に使いやすく、洗濯の手間がないという点で便利な方法です。
特に、タオルを毎回清潔に使うのが難しい方や、家族とタオルを共有している方、ニキビや肌荒れが気になる方にとっては、選択肢のひとつになるでしょう。
ただし、ペーパーに替えればニキビが治る、肌が劇的にキレイになる、との効果が期待できるものではなく、清潔を保てるスキンケアの一環として考えましょう。
一方で、ペーパーを毎日使う場合は、コストやごみが増える点も考えておきたいところです。
タオルにも洗濯の手間や水・洗剤の使用はありますが、使い捨てペーパーは毎回新しいものを使う分、消耗品としての費用がかかり、廃棄する量も増えます。
「肌に合うか」「清潔に使いやすいか」だけでなく、続けやすさや生活スタイルに合うかも含めて選ぶとよいでしょう。
洗顔後に本当に大切なのは、清潔なもので、こすらず、やさしく水分を取ること。
タオル派でもペーパー派でも、この基本を守ることが、肌への負担を減らす第一歩です。

参考文献:
1.Oller AR, Mitchell A. Staphylococcus aureus recovery from cotton towels. J Infect Dev Ctries. 2009;3(3):224-228. doi:10.3855/jidc.40.
2.Huang C, Ma W, Stack S. The hygienic efficacy of different hand-drying methods: a review of the evidence. Mayo Clin Proc. 2012;87(8):791-798. doi:10.1016/j.mayocp.2012.02.019.
3.Vasam M, Korutla S, Bohara RA. Acne vulgaris: A review of the pathophysiology, treatment, and recent nanotechnology based advances. Biochem Biophys Rep. 2023;36:101578. doi:10.1016/j.bbrep.2023.101578.
4.American Academy of Dermatology Association. Face washing 101 [Internet]. [cited 2026 May 11]. Available from: https://www.aad.org/public/everyday-care/skin-care-basics/care/face-washing-101

[執筆者]

船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

関連記事一覧