
水だけじゃ熱中症は防げない?水分補給についてクリニック院長寺井先生に伺いました
7月下旬に入り、暑さも本格化。
この時季は、熱中症や夏バテが気になりますよね。
これらを防ぐには、どうしたらいいの?
ミサクリニック六本木本院院長の寺井美佐栄先生の解説です。

熱中症になるから、水をたくさん飲もう!・・・で熱中症は防げる?
夏になると、「熱中症対策のために水をたくさん飲みましょう」という言葉を耳にする機会が増えます。
しかし実際には、水分補給だけでは十分とはいえない場合もあります。
また、「熱中症」と「夏バテ」は同じものと思われがちですが、実は原因や対策が異なります。
今回は、夏の健康管理について日々患者さまと向き合うなかで感じるポイントも交えながら、熱中症と夏バテの違い、水分や塩分補給の考え方、夏を元気に乗り切るための食事のポイントについて解説します。
熱中症と夏バテはどう違う?
熱中症は、高温多湿な環境によって体温調節機能がうまく働かなくなり、体内の水分や電解質(ナトリウムなど)が不足することで起こります。
症状としては、
・めまい
・立ちくらみ
・頭痛
・吐き気
・筋肉のけいれん
・意識障害
などが挙げられます。
一方、夏バテは医学的な病名ではありませんが、暑さや冷房による自律神経の乱れ、睡眠不足、食欲低下などによって起こる体調不良の総称です。
・疲れやすい
・食欲がない
・だるさが続く
・寝ても疲れが取れない
といった症状が特徴です。
熱中症は命に関わることもある急性の症状であり、夏バテは日々の生活習慣の影響が大きい慢性的な不調と考えると分かりやすいでしょう。
水だけをたくさん飲めば熱中症対策になる?
水分補給は重要ですが、水だけを大量に飲めば良いというわけではありません。
汗をかくと、水分だけでなく塩分やミネラルも失われます。
その状態で水だけを大量に摂取すると、体内のナトリウム濃度が低下し、かえって体調不良につながることがあります。
特に長時間屋外で活動する場合や大量の汗をかいた場合は、水分とあわせて適度な塩分補給も意識することが大切です。
塩分補給はどのくらい必要?
通常の食事がしっかり摂れている方であれば、過度に塩分を追加する必要はありません。
一方で、
・屋外で長時間作業する
・スポーツを行う
・大量の汗をかく
といった場合には、塩分も失われやすくなります。
そのような場面では、経口補水液やスポーツドリンク、塩分を含む食品などを活用するとよいでしょう。
ただし、高血圧や腎疾患などで塩分制限を受けている方は、自己判断で塩分を過剰摂取しないよう注意が必要です。
経口補水液・スポーツドリンク・水はどう使い分ける?
それぞれ役割が異なります。
【水】
日常的な水分補給に適しています。
【スポーツドリンク】
運動時や発汗量が多い場合の水分・糖分補給に向いています。
【経口補水液】
脱水状態が疑われる場合や、発熱・下痢・嘔吐などで水分と電解質が失われている場合に適しています。
健康な方が日常的に経口補水液を飲む必要はありません。
状況に応じて使い分けることが大切です。
カフェインやアルコールは水分補給になる?
コーヒーや緑茶などは水分補給の一部にはなりますが、カフェインには利尿作用があります。
また、アルコールは体内の水分排出を促進するため、水分補給の代わりにはなりません。
特に夏場の飲酒後は脱水状態になりやすいため、アルコールを飲む際には、アルコールを含まない飲み物での十分な水分摂取を心掛けましょう。
朝食を抜くと熱中症になりやすい?
朝食を抜くことで、睡眠中に失われた水分や塩分、エネルギーを補給できないまま活動を始めることになります。
特に夏場は起床時点ですでに軽い脱水状態になっていることもあります。
朝食で、
・水分
・炭水化物
・たんぱく質
・適度な塩分
を補給することは、熱中症予防にも役立ちます。
忙しい日でも、味噌汁やスープ、ヨーグルト、バナナなどを取り入れると良いでしょう。
夏バテ予防におすすめの栄養素とは?
夏は食欲が低下しやすいため、効率よく栄養を摂ることが重要です。
特に意識したいのは、
・たんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品)
・ビタミンB群(豚肉、納豆など)
・ビタミンC(野菜、果物)
・ミネラル(海藻類、乳製品など)
です。
冷たい麺類だけで済ませる食事が続くと栄養が偏りやすくなるため、たんぱく質や野菜を組み合わせることをおすすめします。
食欲がないときの食事の工夫
暑さで食欲が落ちているときは、無理に大量に食べる必要はありません。
・冷しゃぶ
・豆腐
・卵料理
・果物
・ヨーグルト
など、消化しやすく栄養を摂りやすい食品を活用しましょう。
一度に食べられない場合は、少量ずつ回数を分けて摂る方法も有効です。
屋内でも熱中症になるって本当?
熱中症は屋外だけで起こるものではありません。
実際には、
・高齢者
・小さな子ども
・在宅勤務中の方
などが、自宅で熱中症になるケースも少なくありません。
室温が高くても自覚しにくいことがあり、「まだ大丈夫」と我慢しているうちに症状が進行することがあります。
エアコンを適切に使用し、室温や湿度を管理することも重要な熱中症対策です。
医師から伝えたい夏の体調管理のポイント
熱中症も夏バテも、「水分補給だけ」で防げるものではありません。
十分な睡眠、バランスの良い食事、適切な冷房使用、そしてこまめな水分補給を組み合わせることが大切です。
また、体調不良を感じたときは無理をせず、早めに休息を取ることも重要です。
夏は知らないうちに体へ負担がかかりやすい季節です。毎日の小さな習慣を見直しながら、ご自身やご家族の健康管理に役立てていただければと思います。
[執筆者]

寺井美佐栄先生
ミサクリニック六本木本院院長
産業医科大学医学部卒業後、医療機関にて経験を積み、美容皮膚科へ転身。
10年にわたり複数の大手美容皮膚科クリニックで院長を歴任し、豊富な症例経験と技術力を培う。
2022年にミサクリニック六本木本院を開院し、メスを使わず“ナチュラルな美しさ”を引き出す施術に定評があり、特に切らないたるみ治療やクマ取りなどのエイジングケアを得意とする。
YouTubeなどでの情報発信にも力を入れ、患者目線に立った分かりやすい解説にも定評。患者一人ひとりに寄り添った美容医療を提供している。
MiSA Clinic六本木本院
https://misa.clinic/



