AI加工で「本当の自分」が嫌いに?加工疲れから抜け出す本当の美しさをエステティシャンが解説

AI加工アプリの進化により、画面越しならいつでも理想の肌や輪郭を手に入れられる時代になりました。
しかし、画面の中の美しい自分に見慣れるほど、「現実の自分が嫌いになりそう」「本当の自分に自信が持てない」と苦しくなってしまう人が増えています。
綺麗になりたいと願う気持ちが、いつの間にか「今の自分には価値がない」という自己否定に変わってしまうのはなぜなのでしょうか。
今回は、日々多くのお客様の肌と心に向き合うエステティシャンの石川ありささまが、AI加工が自己肯定感に与える影響と、誰かになるためではない「自分らしさを大切にする本当の美しさ」について解説します。

「加工した自分のほうが好き・・・」AI加工の普及で本当の自分に厳しくなってしまう理由

「加工した写真のほうが好き」
そんなふうに感じたことはありませんか。
AI加工アプリの進化によって、肌の質感やフェイスライン、目の大きさまで、理想の姿を簡単につくれる時代になりました。
SNSには、加工された美しい写真があふれ、それを見ることも、自分を加工することも、ごく当たり前のことになっています。
もちろん、AI加工そのものが悪いわけではありません。
写真を楽しんだり、自分らしい表現を広げたりする一つの手段として、多くの人に親しまれています。
ただ、美容に携わる立場として少し気になることがあります。
それは、加工した自分に見慣れるほど、「本当の自分」に厳しくなってしまう人が増えていることです。
「もっと小顔だったら。」
「もっと肌がきれいだったら。」
「あと少し若く見えたら。」
そんな言葉を、お客様から耳にすることが多いのです。
もっときれいになりたいと思う気持ちは、とても自然なものです。
美容には、人を前向きにする力があります。
でも、その気持ちが「今の自分では足りない」という自己否定に変わってしまったとき、美容は少し苦しいものになってしまいます。

なぜAI加工で自己肯定感が下がるのか?「存在しない理想の自分」と比較してしまう問題

私たちエステティシャンは、毎日さまざまなお客様と向き合っています。
施術を通して感じるのは、本当に満足される方は「理想の顔になれた人」ではなく、「今の自分が少し好きになれた人」だということです。
美容は本来、昨日の自分より少し好きになるためのもの。
ところがAI加工では、比べる相手が現実の自分ではなく、「存在しない理想の自分」になります。
理想はどこまでも自由につくれるからこそ、現実との距離は埋まりません。
どれだけ肌を整えても、どれだけ身体をケアしても、「まだ足りない」と感じてしまう。
その状態が続けば、美容は自分を好きになる時間ではなく、自分の欠点を探す時間になってしまいます。
だから私は、AI加工が自己肯定感を下げるのではなく、「比較する相手」が変わってしまうことが問題なのだと思っています。

劇的な変化じゃなくていい!「今日の自分、なんだか好き」と思える本質的な美容効果

施術後、お客様からこんな言葉をいただくことがあります。
「なんだか今日の自分、好きです。」
私たちにとって、それは「若返った」「別人みたい」と言っていただくこと以上にうれしい言葉です。
美容は、誰かになるためのものではありません。
その人が本来持っている魅力を引き出し、「これが私でいい」と思えるきっかけをつくるものだと思っています。
肌が整うことで、表情がやわらぐ。
身体が軽くなることで、姿勢が自然と伸びる。
疲れが和らぐことで、笑顔が増える。
そんな変化は劇的ではないかもしれません。
けれど、人と会ったときに「なんだか素敵になったね」と感じてもらえる美しさは、案外そういう小さな変化から生まれるものです。

「若返り」よりも「自分らしく歳を重ねたい」:年齢やシワを消すのではない美しさの価値

美容業界では、「若々しさ」が価値として語られる場面も少なくありません。
もちろん、健やかな肌を保ちたい、疲れて見えたくないという気持ちは自然なことです。
しかし、長く美容に携わっていると、年齢を重ねたお客様ほど、少し違う言葉を口にされます。
「若返りたい」というよりも、
「元気に見られたい」
「自分らしく歳を重ねたい」
「疲れて見えるのだけは嫌」
そう話される方が、とても多いのです。
私は、その言葉の中に、美容の本質があるように感じています。
年齢は、隠すものではなく、その人だけが歩んできた時間です。
私たちが整えたいのは、その時間を消すことではありません。
肌や身体を整えることで、その人らしい魅力が自然と輝くよう寄り添うこと。
美容とは、人生の跡を消すものではなく、その人が積み重ねてきた時間を、より健やかに、美しく見せるためのものだと考えています。
だから私は、シワや年齢だけに目を向けるのではなく、その人が笑ったときの表情や、ふとした仕草、話しているときの空気感まで含めて、「美しい」と感じます。
そうした魅力は、AIではつくることができません。

誰かの理想に近づくより「自分らしくいられること」を!今日から始める本質的な自分磨き

流行より、本質を。
これから先も、美しさの基準は変わり続けるでしょう。
AIはさらに進化し、理想の顔をつくる技術も、もっと身近になるかもしれません。
だからこそ、私たちは「誰かの理想」に近づくことよりも、「自分らしくいられること」を大切にしたいと思っています。
AIは、理想の顔をつくることはできます。
でも、その人らしさをつくることはできません。
美容は、誰かになるためではなく、自分を大切にするためにあるものです。
鏡に映る自分を見て、「今日の私、なんだかいいな」と思えること。
その積み重ねが、自分らしく歳を重ねることにつながり、本質的な美しさになっていくのではないでしょうか。
私たちは、これからも一人ひとりが持つ「その人らしさ」に寄り添う美容を届けていきたいと思っています。

執筆者

石川ありさ
侘寂-wabisabi-オーナー

美容業界歴16年、インディバ施術歴10年以上。
最高峰資格「インディバスーパーバイザー」を取得し、4,000件以上の施術経験を持つ。
顔の骨格や筋肉のバランスを見極め、一人ひとりに合わせたオーダーメイド施術を提供。
「流行より、本質を。」を大切に、その人本来の美しさを引き出すケアを追求している。

侘寂
https://wabisabi-okinawa.com/

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