【秋のレジャーを計画されている方へ】蜂による虫刺されがあった場合に覚えておきたい対処法をたかはし皮膚科クリニック院長、高橋先生に伺いました!
少しずつ暑さも和らぎ、秋のレジャーを計画されている方も多いと思います。
キャンプやハイキング、山登りなど、屋外でのレジャーが楽しい季節ですね。
そんな時、気になるのが…蜂などによる虫刺され。
特に、命にかかわることもある蜂は、遭遇するだけで恐怖感がありますよね。
今回は、蜂の被害に合ったときについて、たかはし皮膚科クリニック 院長の高橋先生にお話を伺いました。
蜂に刺されたら、まずは患部を清潔に!
蜂に刺された時にはまず患部を流水できれいに洗い流しましょう。
その上で患部をよく観察し、針など残存しているようなら取り除きましょう。
次には手持ちにポイズンリムーバーがあればそれを使って患部から注入された毒素を可能な限り早く取り除くようにしましょう。
ポイズンリムーバーとは、虫に刺された後に毒液(や毒針)を吸引して取り除く器具で、応急処置として役立ちます。
アウトドアグッズを取り扱う店やホームセンター、ドラッグストアなどで市販されています。
そして痛み・腫れが出てきたら保冷剤をタオルでくるむなどしてそれを患部に当てて冷やすようにしましょう。
蜂に刺されたら受診は必要? 病院に行く目安とは
受診の目安としては、刺された後の症状の出方はかなり個人差がありますので、基本的には「苦痛が強ければ受診しましょう」ということになります。
一般的にミツバチ程度の大きさの蜂であれば冷却程度で済むことが多く、皮膚科外来へ受診されることはほとんどありません。
しかし、アシナガバチほどの大きさの蜂になると痛み・腫れ、経過とともに痒みを伴うようになり、受診される方が多くなります。
したがって、それくらいの大きさの蜂に刺された場合には受診してもらうほうがよいといえるでしょう。
また、スズメバチほどの大きさのものになると、やはり受診をしていただくほうが安全です。
受診のタイミングですが、やはりなるべく早くが良いと言えます。
休日であれば、すべての医師が診られる疾患ではありませんので、対応してもらえるクリニック・病院を探してもらうほうが良いでしょう。
炎症が進んでしまう前に対処をする方が軽傷で済むことが多いからです。
刺された後、絶対にやらないでほしい4つのこと
また刺された後に控えてもらうべきことが4つあります。
1つ目:飲酒(アルコール摂取)
2つ目:汗をかくような食べ物(うどん・ラーメン・なべ物など温度が高いもの、カレー・キムチなど)
3つ目:汗をかくような運動
4つ目:湯船につかって温まること
※ぬるめのシャワー浴が望ましい
いずれの行為も体が温まったり全身の血流が良くなったりするものとなります。
血流が良くなると、皮膚に行く(患部に行く)血流が増え、炎症が進み、腫れが強くなったり症状が拡がったりしてしまうためです。
自然の中など、蜂に遭遇する可能性があるときに用意したいもの
蜂に刺されそうな環境へ行くときに準備しておくとよいものについてご紹介します。
・清潔な水
・ポイズンリムーバー
・棘抜き
・手持ちのステロイド系外用剤(赤み・腫れの患部へ塗ります)
・2~3種類の大きさの絆創膏
・当てガーゼとそれを止めておくテープなど
があると良いでしょう。
また、とっさのときに慌てないよう、アイテムの使い方や応急処置の手順を予習しておきましょう。
命に係わることも!アナフィラキシーショックとは
蜂による刺虫症で気を付けておくべきことがあります。
皆さんも耳にしたことがあると思いますが、「アナフィラキシーショック」です。
これは蜂によって注入された毒素に対するアレルギー反応の一種で、最も重篤なアレルギー反応です。
ショック状態が続けば死に至ることもあります。
よって、蜂に刺された直後から呼吸困難感、全身にかゆみを伴う発疹が出始めたら速やかに救急車を呼んで対応してください。
ただし、基本的には2回目以降に刺されたときに発症するもので、どの蜂の毒素によってどの人が発症するかは個人差があり、基本的には採血検査をしないと分かりません。
ですから、もし気になっている方がおられましたら皮膚科、アレルギー科を標榜しているクリニック・病院を受診して、調べてみてください。
今回は、蜂に刺されたときの処置についてお話ししました。
しかし、最も重要なのは蜂に刺されないことです。
・長袖や長ズボン、帽子などを着用し、皮膚を守る
・巣や個体を見かけても近づかない・触れない
・黒色の服を着る、香水や飲料など甘いにおいを漂わせるなど、虫を寄せることは避ける
など、気を付けてレジャーを楽しみましょう。
[執筆者]
高橋謙先生
たかはし皮膚科クリニック院長
1999年大阪医科大学(現大阪医科薬科大学)卒業、東京女子医科大学循環器内科へ入局。
その後、大阪府下で有数の患者数を誇った実家クリニック(元髙橋内科皮膚科クリニック、現在は閉院)の継承を念頭に様々な疾患を診れるよう、2004年に京大病院総合診療科へ入局。
専門科に割り振れない、様々な疾患(難病・奇病)の診療を経験し、2006年に関西電力病院総合内科へ入局。
日常診療に加え、研修医・医学生への指導に当たる。2009年に髙橋内科皮膚科クリニックへ所属し、大阪市立総合医療センター皮膚科にて研修をおこなう。
その後、髙橋内科皮膚科クリニックにて皮膚病疾患診療の研鑽を積み、2015年12月にたかはし皮膚科クリニックを開業。
現在は1日当たり80~130人の患者さんの診療にあたる。
たかはし皮膚科クリニック
https://www.takahashi-hifuka.com