
紫外線を浴びるメリットがあるって本当?SO.グレイスクリニック院長の近藤惣一郎先生にお伺いしました。
紫外線が気になる季節ですが、紫外線ってキレイの敵だと思っていませんか?
実は紫外線を浴びるメリットもあるのです。
今回は、SO.グレイスクリニック院長の近藤惣一郎先生にお話を伺いました。
紫外線とは
日差しが強くなるこれからの季節、心配になるのが「紫外線」そして「日焼け」ですね。
紫外線とは、電磁波の一つで、可視光より波長が短く、X線より波長が長い電磁波のことを言います。
紫外線は、
・UV-C(波長が280nm以下の紫外線)
・UV-B(波長:280-320nm)
・UV-A(波長:320-400nm)
の3つの波長領域に分類されています。
紫外線のうち毒性の強い波長290nm以下(UV-C)は、大気中のオゾン層により吸収され地表に到達しません。
UVBは皮膚に急性の炎症をおこし、いわゆるサンバーン状態にします。
UVBについては免疫抑制効果が報告されており、多量に暴露した場合は皮膚がんの発症にも関与していると言われています。
UVAはUVBより皮膚への浸透性が強く、皮膚のメラニン細胞を刺激しメラニンが形成されます。UVBのような炎症は起こさず、UV-Aは肌を黒くする、いわゆる日焼け(サンタン)を促します。
UVAは皮膚への浸透性が強いため、皮膚の奥深い真皮層の弾力性繊維を変性させる作用が近年知られるようになり、皮膚の老化を加速する要因の一つと考えられるようになりました。
紫外線の影響
紫外線は、日焼け、シミ、シワ、皮膚がん、白内障などの悪影響を引き起こす可能性があります。
しかし一方で、ビタミンDの生成を促し、健康に良い影響を与える側面もあります。
1990年代に南極オゾンホールが発見され、紫外線の有害性が指摘されてきたこともあり、日本人の特に若年女性の間に、過度に紫外線を忌避する風潮が広まってきました。
その結果、最近の調査では若年女性の8割以上が慢性的にビタミンD不足状態に陥っているという結果が明らかになってきました。
ですから、紫外線は人間にとって必要なものとも言えるのです。
紫外線による悪影響
紫外線を過剰に浴びることのデメリットとメリットについて以下にまとめます。
1)デメリット
・日焼け:皮膚が赤くなる、炎症を起こす。
・シミ、シワ:皮膚の老化を加速させ、シミやシワを引き起こす。
・皮膚がん:長年の紫外線照射で、皮膚がんのリスクを高める。
・白内障:眼球内の水晶体が濁り、視力が低下する。
・免疫機能の低下:免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる。
・紫外線角膜炎(雪目)::強い紫外線を浴びると、角膜に炎症が起こり、痛みや充血などの症状が現れる。
2)メリット
・ビタミンDの生成:ビタミンDは、骨の健康や免疫機能の維持に重要な役割を持つ。
・殺菌作用:細菌やウイルスを殺菌する効果がある。
正しい知識で紫外線対策を
最近は女性のみならず、男性でも「紫外線対策」という言葉を耳にしていると思います。
私自身、以前は日焼けで真っ黒でしたが、美容外科医としても活動している現在は、その立場もあって、紫外線対策には非常に気を遣っています。
確かに、青白い肌より小麦色の肌の方が健康的に見えます。
見た目だけでなく、紫外線の好影響で免疫力が高まり、風邪をひき難くなったり、皮膚アレルギーが改善する場合もあります。
体内でビタミンDが生成されるときには、紫外線が必要ですし、布団の日干しなどで利用されるように、紫外線には殺菌作用もあります。
太陽光を利用した光線治療として、人体のホルモンバランスの改善を図ったり、アトピー治療にも役立つことも知られています。
ただし、先にも述べたように無防備に皮膚に紫外線があたれば、サンバーン(火傷同様皮膚が赤くなり、水疱形成)で炎症を生じます。
また皮膚の老化を加速させ、シミやシワを引き起こし、長期的には、長年の紫外線照射で、皮膚がんのリスクをも高まります。
皮膚だけでなく、髪も傷みます。
眼科的には、紫外線は紫外線性角膜炎、翼状片、白内障、黄斑変性症も引き起こします。
ですから 紫外線対策は必要なのなのです。
紫外線対策の実際
紫外線への耐性が弱いTypeI〜IIIの方(紫外線で赤くなる方)ほど紫外線対策は大切!
美容の観点では、疎まれがちなメラニン色素ですが、
実は『肌や髪の毛に沈着して有害な紫外線から体を守る』という大事な役割の他、ストレス防御や抗菌作用、温度調整など、生きる上でなくてはならないものです。
一般的に肌のメラニン量が多いほど、紫外線耐性があるといわれていますが、メラニン量が多いからといって紫外線対策をしなくても良いかというと、その答えは「NO」です。
肌の健康を考えると、どんなスキンタイプであっても紫外線対策は重要なものです。
スキンタイプとは、75年に近代皮膚科学の父と呼ばれる米国人の皮膚科医であるトーマス・B・フィッツパトリックによってつくられた尺度で、メラニン量による肌色と紫外線に対する反応の違いによる分類法です。
メラニンが少ないTypeIの白い肌から、メラニンが多く褐色、黒色になるにつれグレードがV Iまで上がってゆきます。
あなたの肌タイプは?確認したい場合はどこをチェックする??
日本人の多くはTypeIIからIVといわれています。
TypeIII〜の人はメラニン量を増やし肌を保護しようとする働きの影響で、肌色が黒くなりやすい傾向のある方です。
スキンタイプのチェックは、その人の本来の肌カラーがわかる部位で行うことがおすすめです。
例えばご自身のお尻の肌など、普段肌が露出していないことで紫外線の影響を受けていない部位で確認してみましょう。
紫外線への耐性が弱いTypeI〜IIIの方(紫外線で赤くなる方)ほど紫外線対策は大切になります。
一般的に紫外線で、サンバーン(赤くなる)を起こしやすいタイプは紫外線感受性が高いTypeI〜III、サンバーンは起こさずにサンタン(肌が黒くなる)を起こすタイプは紫外線感受性が低いTypeIV〜VIと判断できます。
実は、健康などにいい面もあり、悪いものとは限らない紫外線。
ですが、肌が黒くならない人も、黒くなる人も、過剰には浴びないよう紫外線対策は重要です。
自分のスキンタイプを知って、あなたのお肌に合わせた紫外線対策をおこないましょう!
[執筆者]
近藤惣一郎(ロンリー侍ドクター)
SO グレイスクリニック 院長
昭和63年 京都大学医学部卒
医学博士(京都大学)
日本美容外科学会専門医
日本脳神経外科学会専門医・評議員
若返り専門の美容外科医。
「美は健康の上に成り立つ!」をモットーに、自らもダンサー・プロ沖釣り師として活動中。
SOグレイスクリニック
https://so-graceclinic.com/