ただ美しいだけじゃない!!現代女性にも参考になるクレオパトラの 「美」のテクニックとは?|キレイ今昔物語
『歴史上もっとも有名な美女は?』と聞かれたら、誰の名前を思い浮かべますか?
古代エジプトの女王、クレオパトラの名を思い出す方も多いのではないでしょうか。
クレオパトラ7世(古代エジプトにおいてクレオパトラという名は多く使われており、彼女の母親はクレオパトラ5世、娘もクレオパトラ・セレネ2世だといわれています)は、中国の楊貴妃、ギリシアのヘレネ(日本では小野小町とされることも多いです)と並び、世界三大美女と称される美貌の持ち主。
美しいだけでなく、エジプトの女王として、当時破竹の勢いであったローマとの同盟に手を尽くしたり、カエサルやアントニウスといった英雄たちを虜にしたり・・・と、逸話も盛りだくさんなクレオパトラ。
今回は、そんな彼女の美しさのヒミツをのぞいてみましょう!
歴史を動かす美貌!クレオパトラの美容方法[1]香りを味方に
「クレオパトラの鼻がもう少し短かったら(低かったら)歴史が変わっていた」との言葉を残したのは哲学者のパスカルですが、その美しさを得るために、クレオパトラはどのような美容法を取り入れていたのでしょうか。
クレオパトラはバラの花を重用していたことで知られています。
今でもバラは多くの女性に愛され、人気のある花ですが、当時のエジプトでは金よりも高い値段で取引されていたほどの貴重なものでした。
そんなバラの花をふんだんに使ったバラ風呂に入り、バラの香油を使ったマッサージを受け、バラの練り香水をつけ、クレオパトラはバラの香りをいつもまとっていたそうです。
バラの香りには、さまざまな美容効果があるといわれています。
鳥取大学によると、バラの香りを嗅ぐとストレスが緩和され、その結果肌のバリア機能の低下を防ぐことでうるおいを守り、肌の状態を良くするとのこと(出典:Chem Senses 37:347-356, 2012)。
現在でもローズの香りはコスメや雑貨、食品など、多岐にわたって利用されています。
香りが素晴らしいのはもちろんですが、クレオパトラはバラの美容効果も知っていたのかもしれません。
歴史を動かす美貌!クレオパトラの美容方法[2]アイシャドウの生みの親だった?
クレオパトラと聞くと、目を縁どる印象的なアイメイクを思い出しませんか?
あのアイシャドウは、孔雀石(マラカイト)やラピスラズリなどといった宝石を粉にしたという贅沢なもので、その美しさや輝きは想像にかたくありません。
しかし、その贅沢なアイシャドウは、美しさを演出するためだけでなく、虫よけ(孔雀石には毒性があるため)や悪霊よけ(目から悪霊が入ると信じられていたため)の効果と、日射をやわらげる効果(プロ野球選手が目の下を黒くするのと同じですね)を期待されて使用されていたそうです。
そのため、当時は女性のみではなく、男性もアイシャドウを使用していました。
実はエジプトの男性は、肌色を良くするために黄褐色やオレンジ色の化粧品(今でいうファンデーションやチーク代わり)を使っていたことも知られている上、マニキュアを施す男性もいたことがレリーフに残っており、現代の男性に負けないほど(それ以上に!?)美容に対する意識が高かったようです。
なんと、クレオパトラはアイシャドウを眼病予防のためだけでなく、自分を美しく見せるためのメイクとして取り入れた初めての人物だといわれています。
塗り方にもこだわりがあり、上まぶたを青、下まぶたを緑と塗り分けるのがお気に入りだったとか。
目ヂカラ、デカ目などの言葉は今も浸透しており、アイメイクは現代女性にとっても重要です。
特に、最近はマスクをする機会が増え、リップが隠れてしまうことも多いので、アイメイクへの注目度は高まる傾向が。
そんな需要の高いアイメイクですが、日本でアイシャドウが一般に広まったのは昭和になってからといわれています。
そう思うと、紀元前を生きたクレオパトラの高い美意識のすごさが感じられますね!
ただ美しいだけじゃない!!クレオパトラのテクニックとは?
ところで、クレオパトラの魅力とは、美しさだけなのでしょうか?
実は、帝政ローマの著述家プルタルコスは、「クレオパトラの美しさは、抜きんでた美しさではなく、見る人に衝撃を与えるというほどのものではなかった」と対比列伝(英雄伝)に記しています。
しかし、クレオパトラの声については「弦楽器の音のように甘美な声の響きは、聞いているだけで喜びだった」と絶賛しています。
クレオパトラの美貌には、歴史家の間でも意見が分かれるところですが、彼女が魅力的であったことには、疑いの余地はありません。
当時の地中海周辺国で使われていた7つの言語を自在に操り、話術にも長けていたため、その美しい声で海外の英雄たちを次々と夢中にさせていったとか。
また、クレオパトラは歴史や詩、演劇などにも造詣が深く、さまざまな書物を読んで学び、馬術を嗜み、王女としての立ち居振る舞いの美しさを身に付けた、まさに才色兼備な女性だったそうです。
クレオパトラがカエサルに初めて会ったとき、彼女が贈り物のじゅうたんにくるまって現れたというエピソードは有名ですよね。
彼女はその聡明さで、自分の魅力を演出し、周囲にアピールしていったのでしょう。
美しさというのは、顔の造形だけにとどまらず、香りや雰囲気、しぐさ、知性や教養などさまざまな要素が相まってつくられるものなのかもしれませんね。
いかがでしたか?
さまざまな美容法やメイクで自分を磨き、理知に富み、自分の魅力を最大限に引き出して世の中を魅了したクレオパトラ。
自分の魅力をセルフプロデュースしていた彼女は、わたしたち現代女性に通じる要素や学ぶべき点を持った、『究極の美女』といえるのではないでしょうか。
自分自身のことを自らが世界中に発信するツール、SNSの大流行によりさまざまなムーブメントやBuzzが起こっている現在。
クレオパトラのセルフプロデュース力、参考にしてみては?
今は昔「キレイになりたい」と願えるものありけり。
かくて今もうつろわず「キレイになりたい」と願い続けていたり。
・・・今も昔も。
「キレイになりたい」という気持ちって、変わらないのです。
[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]