怒りたくなったら「6秒待つ!」イライラした時に取り入れたいアンガーマネジメントで怒りの感情をコントロールしませんか
イラっとしたり、ムッとしたり、落ち込んだり。
日々、私たちはマイナスの感情に振り回されがちです。
実は、「怒り」の感情をコントロールすることで、より楽になったり、物事がうまくいったりするかもしれません。
今回は、株式会社宙の代表でアンガーマネジメントファシリテーターの栗栖佳子さまにお話を伺いました。
「怒り」の感情、コントロールできていますか?
忙しい毎日、私たちはさまざまなシーンでストレスを感じる機会が多くなっています。
例えば、恋人に対して、友人や家族に対して、職場で、そして自分自身に対して。
「イラッとする!」「ムカつく!」「カチン!とくる」
といった心の声が一日に何度も聞こえてきませんか?
「なぜ、あんなことで怒ってしまったんだろう」
と後悔し、
「あの人に、あんなことを言わなければよかった・・・」
と、罪悪感を感じるなど、怒りの感情が発端の感情に苛まれていませんか?
怒りをため込むと、それだけで心が苦しくなり辛いですよね。
そこでまずお伝えしたいのが『怒ることは悪くない』ということです。
「喜怒哀楽」という感情はすべて大切な感情で、完全になくすことはできません。
特に「怒りの感情」は、自分の身を守るための「防衛感情」といわれ、自分の大切なものや、自尊心を守るために必要な感情です。
また、怒りを表現することでこちらの本気度や真剣さが伝わることもあります。
つまり怒りを感じることも、怒ることも悪いことではないということです。
ただ、怒りの感情は他の感情に比べてとても強い感情なので、怒りの感情に振り回された結果、相手を傷つけたり、自分自身を傷つけることにもなりますからその扱い方には注意が必要です。
アンガーマネジメントって知ってる?
この怒りの感情を上手に扱えるようになるためにご紹介したいのが「アンガーマネジメント」です。
アンガーマネジメントは1970年代にアメリカで開発され、怒りの感情を上手にマネジメント(上手に付き合う)するための心理トレーニングのこと。
アメリカでは学校で子どもたちも学んでいます。
アンガーマネジメントが目指すのは「怒らなくなること」ではなく、「怒って後悔しない」ことです。
つまり、怒る必要のある場合は、感情的にならずに相手に伝わる「怒らない伝え方」ができるようになり、怒る必要がないことには、怒らないようになることです。
怒りの感情を無理に抑え込んでいると苦しくなり、自分が嫌になる人もいるでしょう。
アンガーマネジメントはとても簡単で分かりやすいメソッドです。
怒りの感情を無理やり我慢したり、怒りがないようなふりをしたりするのではなく、怒りの感情について正しく理解し、怒りの対処法を学びましょう。
自分に合ったものから毎日少しずつ試してみることは、あなたの心のケアに繋がります。
ここからはあなたの心を元気にするアンガーマネジメントのメソッドをご紹介しますので是非、試してみてください。
そもそも「怒り」って何?
皆さんは「怒り」について、学校で学んだことはありますか?
おそらく、「ある」と答えられる方は少ないのではないでしょうか。
私たちは「怒り」について正しく学んだことがないので、
●怒ること=悪いこと・恥ずかしいこと・ダメなこと
●怒ればなんとかなる
●怒りは吐き出せばいい
●怒りはコントロールできない
などと思い込んでいるのです。
この「怒り」に対する思い込み、刷り込み、固定観念が、怒ることや怒られることに対する苦手意識となり、さらに私たちを苦しめています。
怒ったことに対して自己嫌悪になるのも、この思い込みが原因です。
怒りの加害者にも被害者にもならないために、「怒り」はどこからやってくるのか?まず、そこからご紹介しましょう。
「怒り」はどこからやってくるの?
私たちが怒りを感じる対象は「誰か=人」や「何か=物」「出来事」に対してなとさまざま。
ですが、自分が大切にしている「価値観=べき」が裏切られた時に、怒りの感情が生まれると考えられます。
つまり怒りの原因は私たちがそれぞれ持っている「価値感=べき」なのです。
「べき」とは、自分の理想、願望、譲れない価値観を表す言葉で、自分にとっては「当たり前」「当然」「普通」「常識」と思い込んでいるものです。
受けてきた教育や家庭での躾け、育ってきた環境、時代背景、今までの経験によって一人一人違います。
あなたにもたくさんの「べき」があるのではないでしょうか?
自分にはどのような「べき」があるのか、またその「べき」に縛られているのか?
一度洗い出してみましょう!
例えば・・・このような「べき」はありませんか?
・デートのランチは、彼が事前に予約を取るべき
・仕事は最後まで終わらせてから帰るべき
・順番は必ず守るべき
・社内での挨拶は、部下や年下のほうから先にするべき
しかし、この「べき」がくせ者なのです。
あなたの周りの人達は、あなたとまったく同じ「べき」の持ち主ではないからです。
あなたの「べき」が裏切られたとき、
「普通は〇〇だよね!?」「〇〇って常識じゃない!?」「これってありえない!?〇〇するべきだよね!」
と、怒っていませんか?
あなたにとって大切で守りたい「べき」があるように、相手の人にも大切で守りたい「べき」があり、お互いの「べき」の違いには優劣も正しい・間違いもないのです。
だからこそ、自分がイライラしている時には自分の「べき」と相手の「べき」の違いに目を向けて、勝ち負け、優劣で判断するのではなく、どうすればお互いの「べき」の折り合いが付けられるのか、お互いの「べきの違い」を客観的に見てすり合わせをしてみることが大切です。
メソッド「6秒待つ!」
まず覚えていただきたいキーワードは「6秒」待つことです。
6秒経つと、自然と理性が働くようになり、怒りの感情に振り回されずに済むようになるからです。
アンガーマネジメントでやってはいけないことのひとつが、怒りに任せた反射的な行動です。
例えば、人や物への八つ当たり、暴力的な言動、売り言葉に買い言葉などで、相手を傷つけるような行動をしていると、大切な人との関係が悪くなり信用を失うばかりではなく、孤立してしまい自分の居場所すらなくなります。
まず、イラっとしたら「6秒待つ」ことを心がけてみてください。
理性が戻ってくることで、怒りの感情に振り回されない体質改善に繋がります。
「え、6秒待つってどういうこと?」
って戸惑われる方もいるでしょう。
ただ6秒間黙っているだけよりも効果的なやり過ごし方がありますので、いくつかご紹介しましょう。
1:思考を止める
まずイラっとした気持ちが湧いてきたら、心の中で「ストップ!!」と唱えて自分の思考にブレーキをかける方法です。
具体的には何も考えない瞬間をつくり、真っ白な状態をイメージして気持ちを切り替えます。その後で、相手に伝えるべきことを冷静に伝えます。
2:魔法の呪文を唱える
不思議に思うかもしれませんが、この言葉を唱えたら心が落ち着いた…という経験はありませんか?
例えば、「大丈夫、大丈夫」「必ず何とかる」「まぁ、いいか」「気にしない、気にしない」「たいしたことないさ」「これぐらいはかすり傷」「落ち着け、落ち着け」など、自分が落ち着くものなら何でもOKです。
言葉だけではなく動作も取り入れることも効果的です。
3:深呼吸する
イラっとしているときは呼吸が浅くなっているものです。
だからこそ、あえてゆっくりと時間をかけ、呼吸に意識を向けて体中いっぱいに新鮮な空気を取り入れましょう。
まず口からゆっくり息を吐き出します。
すべて吐き出したら、今度鼻からゆっくり息を吸います。
一旦息を止めて、またゆっくり口から息を吐き出します。
4:カウントバック
頭の中でちょっと難しい引き算をします(簡単に暗算できないものでやってみる)。
例えば、1,000から順番に7ずつ引いていきましょう。
1,000-7=993
993-7=986
986-7=979
979-7=972
972-7=965・・・
いかがですか?
ちょっと真剣に考えないとできないため、計算に集中し、頭の切り替えができるのです。
そのため、衝動的な怒りの行動を止めることができるようになります。
その他、できればあなた自身のアイディアで、何とか6秒間をやり過ごすための方法を考えてみてください。
自分にとって一番やりやすく、納得度の高いものを選んで試してみましょう!
また、6秒やり過ごすための方法を友人や職場で仲間と一緒にアイディアを出し合いながら考えてみることもお勧めです。
身近な人に対してほど、怒りの感情は強く向かいがち。
自分一人でアンガーマネジメントをするのではなく、あなたの大切な人たちを巻き込んで、是非一緒に試してみてください。
体と心は繋がっています。
体のケアをするように、心のケアにも取り組んでみませんか?
[執筆者]
栗栖佳子
株式会社宙代表取締役
アンガーマネジメントファシリテーター・アンガーマネジメントアドバイザー
大学卒業後、人材サービス会社で法人営業およびコーディネーターとして1万人以上の採用・面接・キャリアカウンセリング並びにスタッフや部下の人材育成に取り組む。
2009年にビジネスコーチとして、株式会社宙を設立。
コーチング、アンガーマネジメントなどのコミュニケーション研修の他、世界一幸福度が高いとされる北欧の教育プログラムや、LEGO®SERIOUS PLAY®メソッドと教材を活用したファシリテーターとしてオリジナルメソッドを活用し、社員や管理職の意識改革、組織風土改革の研修やセミナー、講演活動に取り組む。
また、3人の子どもを育てながら働いてきた経験から、ワーク&ライフマネジメント、女性のキャリアアップ、行政・教育関係からの依頼も数多い。
株式会社宙
http://kurisu-sora.com/