あきらめないで!アトピー性皮膚炎のための治療方法とは?皮膚科医に聞いてみました!

冬になると悪化しがちなアトピー性皮膚炎。かゆみに悩まれている方も多いと思います。
今回は、冬のアトピー性皮膚炎について、原因・治療方法・ホームケアのポイントなど、アルバアレルギークリニック院長の続木先生に伺いました。

冬にアトピー性皮膚炎が悪化する原因

冬にアトピー性皮膚炎が悪化する要因は、空気の乾燥です。
アトピー性皮膚炎の肌は、肌のバリア機能がデリケートになっているので、冬の気温や湿度の変化にも耐えられません。
このため、肌の水分量が夏よりもさらに減少し、かゆみを感じるようになり、そのかゆみから肌を掻いてしまうことで肌バリアが直接壊れ、赤みやブツブツした肌荒れにつながっていきます。
私は、アトピー性皮膚炎は肌の問題ではなく、アレルギー体質が表現の形として肌に表れているだけと考えています。
つまり、全身の問題なので、局所にだけアトピー性皮膚炎の悪化が起こるわけではなく、冬の乾燥に加え、睡眠不足などのストレスが重なると一気に全身が悪化してしまうことも、多くあります。

あきらめないで!アトピー性皮膚炎のための治療方法とは?

肌の状態が悪化するのは、冬場は仕方がないとおもっていませんか?
ガイドライン(医師の教科書みたいなもの)には、アトピー性皮皮膚炎は、「症状がない、もしくはほとんどない」状態を維持することが目標と書いてあります。
以前は、リアクティブ療法と呼ばれる、炎症が強い場合にのみ一般的な薬(ステロイドと呼ばれる。いくつか種類がある)を悪い時だけ一時的に保湿剤とともに塗る。
そして症状が落ち着いたら保湿剤のみに切り替えるという治療が行われることが多かったです。
しかし、これだと基本的に悪い状態がさらに悪くなったときだけ薬を使う羽目になるので、すぐに症状が再び現れ、ずっと同じ事を繰り返してしまいます。
現在は、プロアクティブ療法と呼ばれる、毎日薬と保湿剤を塗り、薬を段階的に減らしていくのが主流です。
最近はステロイド以外にも、有効な薬があるので、症状やその方の体質に合わせて薬を処方します。
きちんと治療していれば、症状が無いもしくはほとんど無い日常を目指せます。
実は、ステロイドの成分はもともと体内でつくられている物質です。
体内でつくられる量が足りないときに、外から補充するイメージとなります。
インターネットなどに氾濫する情報を見聞きして、ステロイドに良くないイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ステロイドは正しく使えば、基本的に副作用のない安全な薬だといえます。

寒いから湯船に浸かりたいけどアトピーが悪化する。そんな時どうする?

お風呂に入った後にかゆみが増すなど、症状の悪化を訴える方は多いです。
それは、入浴後に急激に水分が蒸発することが原因です。
この対策としては、十分な脂分を与えることが必要です。
ポイントは、保湿剤を塗る量。
ティッシュがくっ付いて落ちないくらい」の量が標準的で、想像されているよりも多くの量が必要です。
肌の状態が悪化される方は、そもそも保湿剤の塗布量が足りていない方が多いのです。
保湿剤を塗る量を変えるだけで、1週間後には肌質が大きく変わります。
そこから湯船に浸かってみましょう。早ければ3日で、ほぼ悪化しなくなる方も多いです。
保湿剤だけでアトピーが悪化する場合には、ステロイドを使用した標準治療が必要となります。

冬を乗り切るアトピー対策

冬にアトピー性皮膚炎が悪化する要因は、空気の乾燥とお話ししましたが、実は夏のスキンケア対策が不十分だったことが、根本的な理由です。
夏に、十分な脂分と水分を肌に与え、肌荒れをなくし、薬を使わないくてもよい状態を目指しておきます。
そうすれば、冬場の悪化は十分に避けられることを多く経験しています。
夏の間に、しっかりとケアをして肌を健常な状態にしておくことが大切です。
それでも冬に悪化してしまったら、出来るだけ早く湿疹をなくすことを考えます。
保湿や薬を塗る量を変えるだけで、肌荒れが解決することも多いのです。

アトピー性皮膚炎は、かゆみも肌の見た目の変化もあり、悩まれる方は多いと思います。
正しいケアで、良い状態を保つようにしましょう。
それには医師選びも重要です。
きちんとコミュニケーションを取ることができ、一緒に歩んでいける、信頼できる医師を選びましょう。

執筆者

続木康伸先生
アルバアレルギークリニック院長

[経歴]
新生児から妊婦まで年間のべ1万人、九州や東京からも患者が訪れるアルバアレルギークリニック院長 。
Podcast:続木康伸の「知れば勇気が湧くアレルギー攻略講座」は、現在Amazon musicのおすすめにピックアップ中。

アルバアレルギークリニックホームページ
https://alba-allergy-clinic.com/

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