[後編]「界面活性剤」は食品にも使われている!?どんなものにどんなふうに使われているか、その秘密暴きます。

キレイ研究室では中立の立場から「キレイ」を発信しています。
今回は化粧品開発者の目線で、化粧品成分のひとつ「界面活性剤」についてフューチャー。
前編では界面活性剤とはなにか?そしてどうして化粧品に使われているかをお話しました。
後編ではどんなものにどんなふうに使われているかをご説明します。

どんなものにどんなふうに使われている?

水と油をつなぎ合わせる役目を持つ界面活性剤。
さまざまな働きがありますが、中でもよく化粧品にも利用されている代表的なものをご紹介したいと思います。

乳化

互いに溶けあわない水と油のような液体の一方が、ほかの一方に微細な液滴(乳化粒子:エマルション)として分散させることを乳化といいます。

水に油が分散している水中油(O/W)型
食品ではアイスクリームや生クリーム、マヨネーズなど。化粧品では乳液や化粧水などに用いられています。

油が水に分散している油中水(W/O)型
食品ではバターやマーガリン、化粧品ではこってりしたクリームなどに用いられています。

最近ではO/W/O型やW/O/W型など複雑なタイプもあります。
このような形はダブルエマルションなどともいわれ、例えば食品ではくちどけの良いクリームやマーガリンを開発したり、化粧品では使用感や浸透感を調整したりするときなどに利用されています。

可溶化

水に溶けないはずの油性成分を、まるで水に溶けたかのように透明に溶解させることを可溶化といいます。
化粧品では透明タイプの化粧水に油性成分(エモリエント剤や香料など)を溶解させるときなどに用いられています。

分散

不溶性の固体粒子を水中や油中に均一に散在させることを分散といいます。
・食品ではココア飲料やチョコレート、化粧品では主にメイク品(リキッドファンデーションなど)に用いられています。

洗浄

汚れ成分洗い流すことをいいます。
肌の汚れには、ほこりや汗が乾いて残った成分、細菌などの水性のものと皮脂やメイクアップ化粧品などの油性のものがあります。そのため、両方になじむ界面活性剤は洗浄にも利用されています。
化粧品では石鹸やシャンプーなどに用いられています。

そのほかにも、殺菌、帯電防止、湿潤、起泡、消泡など、さまざまな目的で界面活性剤は使用されています。
化粧品だけではなく、食品などにも利用されている界面活性剤は、実は私たちにとって、とっても身近な成分だったんです。

界面活性剤の「起泡」の働きは、実は食品の美味しさにも欠かせないもの。
皆さんの大好きなビールの泡やカプチーノの泡、マーガリンやアイスクリーム、マヨネーズなども、界面活性物質によって成り立っています。

いかがでしたか?
「界面活性剤」「合成界面活性剤」なんて書かれるといかにも人工的で、肌にも悪そうな感じがしてしまいますが、食品で利用されていたり、私たちの体内にもあったりと身近な成分だったなんて、ちょっと意外ですよね。

次回は、界面活性剤の種類についてご説明したいと思います。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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