[前編]「界面活性剤」本当に肌に悪い?そもそも「界面活性剤」ってなに?その秘密暴きます。

キレイ研究室では中立の立場から「キレイ」を発信しています。
今回は化粧品開発者の目線で、化粧品成分のひとつ「界面活性剤」についてフューチャー。

皆さんは『合成界面活性剤フリー』『界面活性剤不使用』といった謳い文句の化粧品を使用したことがある。見かけたことがある。という方は多いのではないでしょうか?
この文言だけをみると、「界面活性剤は入っていないほうがいい?」「界面活性剤は肌に悪い??」と思ってしまいませんか?
では、なぜ化粧品に使われているのか?そして、肌に対して、どのような影響があるのか気になりませんか?今回は界面活性剤とはどんなものでどんな役割があるか2回に渡りお話したいと思います。

界面活性剤ってなに?

界面活性剤をお話する前に、水と油の関係性について皆さんに質問です。
水と油って混ざると思いますか?
相性の悪い2人のことを「水と油」なんて表現もするように、水と油は混ざりにくいものなのです。
一番イメージしやすいものとすればドレッシング。
ドレッシングをかける前に振って一見混ざったように見えても、しばらくすると油と水は分かれてしまいますよね。比重の軽い油が上、重い水が下となり、2層に分離します。
このとき、水分と油分の間にできる境界面を界面と呼びます。

液体はお互いの分子を引きあって集まる性質があり、面積を縮小する方向に働いていますが、これを表面張力といいます。
一般的に水はさまざまなものを溶かすことができるのですが、表面張力の差異が大きい液体は混ざりにくく、水の表面張力が油よりもかなり大きいため、2つは混ざらず分離してしまうのです。

ここで登場するのが界面活性剤(SAA:Surface Active Agent)というわけです。

界面活性剤は水になじみやすい親水性(Hydrophilic group/水色の球体)と呼ばれる性質と、油になじみやすい親油性(Lyophilic group/黄色の棒状)の両方の性質(両親媒性)を持っています。
一般的に図1のようにマッチ棒のような形の模型で示されます。

界面のエネルギーを水と油を近づけるようコントロールすることができるため、水と油を均一に混ぜ合わせることができるようになります。

化粧品ではどのように利用されているの?

では化粧品ではこの性質を利用してどのように使われているのでしょうか?
化粧品は、いわゆるモイスチャー成分である水性の原料と、エモリエント成分である油性の原料の両方を使ってつくられることがほとんどです。
そのため、界面活性剤を全く使用しないで安定なものをつくることはとても難しく、界面活性剤は使用性や効果実感、安定性などの面で非常に重要な役割を担っているのです。

界面活性剤がどんなもので、どうして化粧品に使用されているかおわかりいただけたでしょうか?
後半は粧品にも利用されている代表的なものをご紹介いたします。

[文:キレイ研究室研究員 船木(化粧品メーカー研究員・サプリメントアドバイザー・健康管理士一般指導員・健康管理能力検定1級)]

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